fsy へ参加するよう,青少年をいかに招くか

fsy へ参加するよう,青少年をいかに招くか

事前登録しなかった子供たちの親御さんへ ─宗教教育セミナリー・インスティテュート  金城 寛兄弟

fsy は昨年秋に,説明会と参加の仮登録が行われた。 正式な参加申込期間は4 月1 日から5 月31 日の2 か月間である。 fsy は神権プログラムなので,対象年齢の全ての青少年が招待されている。
現在,参加を表明していない青少年をいかに招くか,それが親御さんと指導者の懸案となっている。こうしたテーマで,宗教教育セミナリー・インスティテュートの金城寛兄弟に提言を頂いた。



主の贖いの「人に能力を授ける力」


 「まず,モルモン書の最初の章にこうあります。 『この人たちを強くして自らを解放する力さえ与えることを,わたしニーファイはあなたがたに示そう。』※ 1

この『力を与える』というイエス・キリストの贖いの力の一側面について,モルモン書では全編にわたって繰り返し語られます。」 力を与えるという聖句はモルモン書にいっぱいありますよ,※ 2 と金城兄弟は言う。

「デビッド・A・ベドナー長老は,英語でいうgrace=『恵み』という言葉を聖文に見つけたら,『人に能力を授ける力』( the enabling power)と書き込むように勧めています。─『恵みは,わたしたち……にぜひとも必要な神の支援であり,天からの助けです。このように,贖罪が持つ 人に能力を授ける力は,善を行い,善人になり,自分自身の望みや本来の能力を超えた働きができるようにわたしたちを強めてくれるのです。』※ 3

試練や,何か達成できないことがあるときに,状況を変え試練を取り除いてくださるよう祈るのではなく,神様が方法を備えられるという信仰をもって,『この問題を解決する力を,主の恵み(= 能力を授ける贖いの力)によってわたしに下さい』と祈るのです。

そうしたことはもちろん皆さん御存じだと思うんです。教義として,理屈では分かっているんだけれど,じゃあいざ自分の子供がfsy に行きたくないと言ったとき,『はぁ,この子はなかなか難しいなぁ,どうしよう……』というときに,ひざまずいて,贖いの力を叫び求めるとこ
ろまで行くかどうか。そこが非常に大切なところです。


『この子に話しかけるとき,恵みによって,御霊を通して,心を開く力が自分の言葉に加わりますように』,『この子の心を開くためにわたしに何ができるか,理解する力が与えられますように』とか,いろいろな祈りがあると思うんですけど,イエス・キリストの贖いの力を信じて頼る,力を叫び求める,そこが出発点になるんじゃないでしょうか。

御霊を遠ざけないよう,怒りに注意する


子供が言うことを聞かないと,親も指導者もだんだんいらいらしてきたり,けんかになったりすることもあると思うんです。 けれど,ジョージ・アルバート・スミス大管長はこう言っています。 『かんしゃくを起こして互いに傷つけ合ってはならない……主の御霊を受けていれば,人は決して誰かを傷つけたりはしない。 人を傷つけるのは御霊以外の何か他のものに支配されているときである。』※ 4
暴力などはもっての外ですけれど,怒りも御霊を遠ざけます。



『怒りをぶちまける態度は利己心に根ざしている。 思いどおりにならないことにいらだって怒りを表す人は,結局は,自分の気持ちや意見の方が他の人の気持ちや意見よりずっと大切だと言っているようなものである……
利己的な人は,他の人をコントロールするために怒りを利用する。 多くの人は,人々や特に子供たちを思いどおりに動かすために好んでこの方法を使う。』※ 5


またこうもあります。
『神権は義にかなった状態のときにだけ力を発揮する権威であることを忘れないでください。 子供たちとの間に愛のこもった関係を築いて,彼らの尊敬と信頼を勝ち得てください。 義にかなう父親は子供たちの社交活動,教育,霊的な活動や責任のために時間を取り,一緒にいて彼らを守ります。 子供に心からの愛と関心を示すのは,母親ばかりでなく父親の責任でもあります。 どうか子供たちに皆さんの愛を伝えてください。』※ 6


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fsy まであと半年くらいですが,この機会に,親と子供の関係を( fsy に行かせるためにではもちろんなく)本当に普段から良いものにしておきませんか。 そのときに初めて,『説得,温厚,寛容,柔和,偽りのない愛,優しさと純粋な知識……』※ 7 などによって,自分の子供,あるいは青少年に対して影響力を持つことができるのです。


ヘンリー・B・アイリング管長はこう語っています。 『生徒は,聖なる御霊によって教えられない限り,神について知ることはできませんし,本来あるべき愛し方を知ることもできません。 御霊によってのみ,……確かな土台の上に足を置き,人生の誘惑と試練を通じてしっかりと立てることでしょう。』※ 8  御霊によってのみ,本当の意味でわたしたちの心は動きます。」



行いを約束して祈り,答えを聴く


「ジョセフ・スミスは,どの教会が正しいか,教えてくださったらそこに加わります,と祈りました。※ 9 行動しますから,という前提で,教えてください,と求めたのです。

同様にわたしたちも,例えば,『家族の祈りを』あるいは『家族の聖典学習を』あるいは『家庭の夕べを』(もし行っていなければ)『今からでも行うよう励みますから』 と行動を約束して,『この子の心が高められますように,霊性が強められますように,福音に喜びを感じ始めますように,わたしたちに何ができるかお示しください……』というふうに叫び求めることができます。

そして祈った後に,神様からの答えを聴きましょう。 皆,忙しいから,例えば朝出かける前に手短かにお祈りをしますけれど,どこかでじっくりその答えを聴くための時間を取っているでしょうか。 人と会話をするときは,話したら聴かなければなりませんね。 同様に,祈ったら,少なくとも同じ時間だけ耳を傾けてください。」


家庭で啓示を受ける


金城兄弟はノウハウや対症療法を語らない。 すぐに効き目は現れないかもしれないけれども,根治の方法を語っている。
「fsy は青少年のプログラムだから,送り込みさえすればどうにかなる,青少年が準備して青少年が行って青少年が啓示を受けてきなさい,という発想では多分,うまくいきません。


青少年が個人の啓示を受けられる環境を整えるというのがfsy の一つの目的ですけど,それ以前にまず,わたしたちが家庭で,啓示を受けられる環境を整えることが大切です。 まず親が,家族の祈り,家族の聖典学習,家庭の夕べなどを通じて,子供たちにどのように働きかけられるのか,御霊と啓示を受けなければなりません。

七十人のジョン・K・カーマック長老はこう述べています。『彼らに助けの手を差し伸べる正しい方法は一つではありません。 祈りによって主に助けを求めることが,それぞれの状況に合った指示を得るための最良で唯一の方法でしょう。……心からの誠実な祈りによって主に近づいたら,御霊の励ましを感知することを学ばなければなりません。……その時々に応じて何を必要としているかを,御霊を通して具体的な指示を受けることができます。』※ 10

結局,子供に影響力を持ちたいと思ったら,親も指導者も,彼らと話をするときに,御霊によって,何と声をかけたらいいか分かるよう自分自身を備えることが大切なのではないでしょうか。

そして,御霊によって青少年の心が動いたら,彼らもまた個人的な啓示を受けて,ああfsy に行こう,と感じる時が来るのではないでしょうか。」◆
 


※1─1ニーファイ1:20
※2─1ニーファイ7:17;モーサヤ24:15−16;アルマ14:26;アルマ31:31,33,38 他を参照
※3─デビッド・A・ベドナー「贖罪と現世の旅」『リアホナ』2012年4月号,14−15
※4─大会報告 1950年10月号
※5─Dealing with Anger and Contention Ensign , 1988年9月号, 62
※6─『歴代大管長の教え─ハワード・W・ハンター』,204
※7─教義と聖約 121:41−42参照
※8─『福音を教え学ぶ:宗教教育セミナリー・インスティテュートの教師ならびに指導者用手引き』,11
※9─ジョセフ・スミス─歴史 1:18参照
※10─ジョン・K・カーマック「子供が道から迷い出たとき」『リアホナ』1999年3月号,34