リアホナ2013年7月号  「彼らをここに連れて来なさい」

「彼らをここに連れて来なさい」

  元東京神殿会長 中野正之兄弟

御手洗岩男兄弟は身体的には障碍を持っていても,お祈りも証もしますし,霊的には非常に高貴な方です。大事なことは,神殿で儀式を受けなかったらその霊は強くならないということです。

 神殿会長のときに,「なぜ,うちの息子は神殿で儀式を受けさせてくれないのですか? 受けさせたいんです」というような相談をよく聞きました。でもそれは,神殿会長会ではなく神権ラインが決めることです。

「あなたがたの中に病気の者……足の不自由な者,目の見えない者……どんなことでも苦しんでいる者がいるか。彼らをここに連れて来なさい。癒いやしてあげよう。」(3ニーファイ17:7)主の足もとで,主の衣に触って癒されたいという人はたくさんいるでしょう。なぜその人を神殿に連れて行けないのか。ところが,「いやあ,彼は障碍を持ってるから,十分,力がないから」と,それだけで決めてしまって,「彼は(障碍のため)救われている人だから(神殿に入る)必要はない」と言っているケースが多いのです。

 神権を持っていても,神権を行使しないとその人は霊的に成長する機会を失ってしまいます。たとえ車いすでも,たとえどのような状態であったとしても神権を使うことはできるのです。岩男兄弟も懸命に準備しました。周りの人を導いて,家で伝道して,お祈りして……そういうことには神権を使っているんですよ。目に見える形で神権を使っていなければ神権者ではない,神殿に入るにふさわしくない,といった話ではなくて。

 だから主はその日,突然,夜10時ごろにわたしを御手洗家に遣わされたんじゃないかと思う。岩男兄弟の努力だと思います。神殿推薦状の面接にしても,だれも同席していなくてもできたということは,主が助けられた,そんな気がします。

 昔の指導者のごと 貧しき者を訪ねて

 とこしえの生命教え

 シオンを知らせ,励まさん

(「イスラエルの長老たちよ」『賛美歌』196番)

 教会や神殿で人を待つのではなく,訪ねて行って,彼らを連れて来てあげることが必要ではないでしょうか。(談)◆