リアホナ2013年4月号  霊的な数学で生活する ─七十人会長会 タッド・R・カリスター長老

霊的な数学で生活する ─七十人会長会 タッド・R・カリスター長老

3月2日(土),東京・吉祥寺の武蔵野ステークセンターにカリスターご夫妻を迎えてディボーショナルが開かれた。

聖文と心の大きな変化

カリスター姉妹は聖約の子として生まれ育った。けれども彼女の姉妹の一人は16歳のとき教会を離れてしまった。その後長く福音に添わない生活をし,会員資格も失った。「わたしたち家族また彼女の近しい友人はほんとうに心を痛めました。しかしわたしたちは彼女に対してあきらめる気持ちはありませんでした。」家族や友人や家庭訪問教師が祈り続け,誘い続け,愛を示し続ける。

やがて─「モルモン書に出てくるエノスのように,子供のときからの教えが,ついに彼女の心の中に深くしみ込んだ瞬間がありました。30年かかりました。」彼女は再びバプテスマを受け,聖餐を取り,神殿に行きたいと強く望むようになった。しかし,どうしてもたばこをやめられない。薬やニコチンパッチなどいろいろなことを試したが,一度にやめることはできなかった。「それを行うための霊的な強さに欠けていたからです。」

賢明なビショップは彼女にモルモン書を読むように勧める。彼女は読み始め,苦労しながら初めて最後まで読み通した。「彼女がモルモン書を読み進むとき,わたしたち家族には彼女の中の変化が手に取るように見て取れました。福音の光が彼女の生活にもたらされ,彼女のすべてが変わりました。ほんとうにこの心の変化※1 を経験しました。」霊的な強さを得て彼女はたばこをやめ,その後すぐにバプテスマを受けると,これまで感じたことのない平安と喜びを得た。「彼女の表情が文字どおり暗闇から光に,悲しみから喜びに変わるのを見ました。……彼らの心の中には教えがとどまっていて,必ず帰って来ます。ですから皆さんの愛する人を決してあきらめないで,愛し続け,祈り続け,手を差し伸べ続けてください。そして,彼らが戻って来るとき聖文が果たす役割を忘れないでください。」

霊的な数学とこの世の数学

「わたしは日本人が教育を愛する民であることを知っています。日本人は勤勉で,仕事では完璧主義の傾向があるように思います。今日は,教育や仕事と,キリストの福音とのバランスをどのように取るかを話します」とカリスター長老は語り始める。

「この世の数学では〔1+1=2〕です。しかし霊的な数学では〔神様+x人>反対の力〕ということになります。つまり,どんなに少ない人数でも神様と一緒になれば反対の力よりも必ず強くなる,ということです。」

カリスター長老は聖文から例を挙げる。ニーファイたち兄弟がラバンから真鍮の版を手に入れようとしたとき,最初の2回は失敗に終わった。ニーファイはあきらめない。「しかしレーマンとレムエルはこの世の数学で考えていましたので,そんなことはできないと言いました。ラバンには50人もの兵士がいて,我々は4人にすぎないという理論〔4人<50人〕でした。ニーファイは霊的な数学〔神様+4人>50人〕を考えていましたので,エルサレムに戻って版を入手しました。」※2また,アンモンは独りでラモーナイ王の羊を守っていた。「泥棒たちはこの世の数学を考えました。我々は多いしアンモンは1人だけなので勝てると思ったのです。しかしアンモンは霊的な数学〔神様+1人>大勢の泥棒〕を考えていました。アンモンは泥棒全員を打ち負かしました。ここでも霊的な数学の方が勝ちました。」※3

2人の男が,朝6時から夜10時までの1日でどちらが多くの木を切り倒すことができるか勝負をした。それぞれ斧を持って森に入り,1人の男は1日中ほとんど休まず斧を振るう。もう1人は,2時間ごとに10分から15分ほど小屋に入って休憩をしては切り続ける。1日の終わりに数えると,ほとんど休まなかった男は100本の木を切った。ところが何回も小屋に入って休憩した男は125本もの木を切り倒した。負けたことに驚く男に,勝った男は秘訣を教える。「わたしは(2 時間ごとに)小屋で斧を研いでいたんだ。」

「もしわたしたちが日中に主との時間を過ごせば,わたしたちの霊的な斧を研ぐことになります。そうするとその日の残り時間をより効果的に使うことができます。」

カリスター長老は問いかける。収入の全額を自分で使うのか,什分の一を納めて残り9割を使うのか。「この世の数学に従っていれば100%を自分のために使うでしょう。霊的な数学で生きていれば主に10%を納めます。なぜなら〔神様+9割>1人の人間+10割〕だからです。」あるいは,自分の好きに24時間を過ごすか,24時間のうち1,2時間を主にささげて残りを賢く使えるように主に願い求めるか。「主の助けなしの24時間を選ぶのはこの世の数学です。毎日少しの時間を主にささげ,その残りをより効果的に使えるよう願い求めれば霊的な数学に従うことになります。

わたしたちは皆,その霊的な斧を研ぐ時間,主との少しの時間を毎日取る必要があります。わたしは34年間ロサンゼルスで弁護士の仕事をしました。毎日30分早めに出勤してそこで聖文を勉強しました。」カリスター長老の机には処理すべき案件,かけるべき電話のリストが山積みだった。「しかし多くの場合わたしは御霊に,霊的な数学に従いなさいと促されました。『聖文を研究し続ければわたしはその残りを助けてあげますよ』と。」34年間,仕事は滞らなかった。

「わたしたちが朝の祈りをひざまずいて行うときに,その霊的な斧を研いで,その日に必要なことができるよう主の助けを得ることができます。神殿に参入するのに忙しすぎると思う人がいます。預言者はこう言いました。もし神殿に参入するのであれば,霊的な問題のみならず,その他の問題も解決されると。……これは皆さんへのわたしの約束です。もし霊的な数学で生きれば,皆さんはその反対の勢力よりも強くなります。天の御父の御心を行うならば,神様は皆さんをお見捨てになることはありません。」◆