リアホナ2009年8月号 最大限の努力により信仰を示すとき,主の助けが

最大限の努力により信仰を示すとき,主の助けが

──主に導かれて能力を伸ばし,転職のチャンスを得る                                                

匿名希望  

給料が低いせいで,我が家は万年金欠の状態が続いていました。仕事に励んでも一向に給料は上がりません。残業もしましたが,それでも生活を支えているのは什分の一がもたらす主からの祝福でした。主は,多くの方の愛ある手により我が家を支えられていました。

ワード伝道主任に召されたのはそんなときでした。教会について多くの方に知っていただきたい,何ができるだろう? そう考えていたとき浮かんだのは英会話の活用です。しかし,安くはない掲載料を払って新聞に案内を掲載し,そのときは多くの方が来られても,すぐにその人数は減ります。考えたあげく,ネットで英会話を宣伝してみたらとの考えが浮かびました。ネット検索をかける人は興味ある情報を検索し,ニーズが合致すれば来る。費用もかからない広告です。

しかしわたしはホームページを作ったことがありません。無料のツールを使って作ろうとしましたが思うようにいかず,時間をかけてもあまり進みません。作ったところで効果があるとは限らないと,あきらめの気持ちが日に日に募りました。しかし,伝道主任として受けた思い(啓示)を大切にしたかったので,やり遂げようと思い直し,悪戦苦闘の末,何とか英会話教室の宣伝ページを設置することができました。

ページを設置して数か月後,ある姉妹のご主人が経営しているベンチャー企業が,事業拡大に伴い人を求めているので社長と会ってみないかとの誘いがありました。その会社ではホームページ制作のプロデュース業務も行っており,それまで外注に出していたものを自社で賄うホームページ制作部門の新設を考えていました。

この誘いがあったとき,わたしには到底できないと思い,先方にお断りを入れました。わたしが作った英会話のホームページは商用としてのレベルではありませんでしたし,仕事として行うスキルもありません。しかし,社長はとにかく会ってみないかとおっしゃられ,社長の伴侶である姉妹とわたしの妻の勧めもあって,だめもとで会うことになりました。

社長はこれまで,何人かのホームページ制作能力が高い人々と面接をしましたが,高いモラルや人格がある人と仕事をしたかったので,決定できずにきたとわたしに話されました。伴侶である姉妹から教会の信条や道徳観を聞いてよく知っておられ,またホームティーチャーや宣教師の模範により教会員へ信頼を寄せておられました。そして,わたしにまだ制作能力がないのはよく分かったうえで,機材や制作にかかわるソフトを投資し,時間を与えるのでチャレンジしてみないかと提案されたのです。ビジネスパートナーとして教会員に惹かれたのだと思います。転職すれば給与も上がりますし,かねてからやってみたい仕事でしたので,この機会を生かしたいと思いました。主に感謝した夜でした。このチャンスがもたらされたきっかけは英会話サイトを作ったことと確信しています。召しを果たすことは個人にも祝福をもたらします。

「導きが与えられるのは,あなたがそれに従うことを主が確信されたときだけです。主の御心を知るには,それを行うという決意が必要です。『御心が行われますように』という言葉が心に書き記されて初めて,啓示の窓が開くのです。」※1

その日から転職へ向けてのチャレンジが始まりました。仕事から帰った後,時間の許す限り,多岐にわたる事柄を独学で学ぶ必要がありました。スクールに通う時間もお金もなかったのです。実用書を多く学びテストサイトを作っていくのですが,分からないことが次々にわいてきます。3か月おきに進歩を査定されるので必死になりました。自分の非力さ,能力のなさに落ち込みました。自分でできる限りの努力をするとき,主の助けにより問題が解決されて能力が向上するよう嘆願し祈りました。そうするとヒントを見いだせるのです。すぐに答えが与えられず悩んだこともありましたが,なすべき最大限の努力を払うと,主は必ずわたしを解決口へと導いてくださいました。

「答えを得るまでの長い間,時折神が皆さんを苦しむままにしておかれることに感謝しましょう。皆さんの人格が培われ,信仰が増すのです。」※2

3か月スパンの査定を主の助けによりクリアし続け,1年半がたったころ,世の経済状況が一変しました。リーマンショックを皮切りに日本の経済が一気に不況へ入りました。その影響は社長のベンチャー企業にも少なからず影響を与えました。新しくホームページの制作部門を立ち上げるには銀行からも融資を受けなくてはなりません。しかし世は100年に一度の大不況です。状況を見極めるために数か月,新部門の立ち上げを延ばすことが伝えられ,わたしはとても不安になりました。大不況で売り上げが低迷する中,未経験の新人を雇うことは常識から考えても得策ではありません。わたしの転職の話は絶望的だと思いました。これまでわたしを導いて来られたのは主であると確信していました。しかし転職が不可能になったらこれまでの努力は水泡に帰してしまいます。そう考えると努力することに意味を見いだせず悩みました。しかし,わたしがなすべきは落ち込むことではなく,答えがはっきり出るまで努力を払い続けることでした。それから数か月,徒労感と希望を捨ててはいけないとの思いが振り子のように交互に浮かんでは消えました。

そんなある日,ワードの兄弟が神殿結婚することになり証人を頼まれました。旅費の問題も祈りにより解決され,家族での神殿参入ができることになりました。

日の栄えの部屋に入り,転職にかかわるこれまでのすべてを御存じである主に,わたしの心の思いのたけを,祈りを通じてお伝えしました。──信じて待つ。そのような気持ちになり神殿から家路に就きました。

その翌々日,社長からメールが届きました。わたしの採用を正式に決定したとの知らせでした。祈りへの答えだと感じました。

召しを尊び,自分のできる範囲の努力を払うとき,主は人を祝福されます。祈り,主を信頼し,謙遜に努力を通じて信仰を示すとき,主の助けがもたらされます。祝福の実を得るために祈り,わたしを支えてくれた伴侶の助けに感謝しています。よい上司とやりたい仕事にも恵まれました。新米デザイナーのわたしにとってクリアすべき課題は山積みですが,主に頼るとき,また一歩前へ進めることを知っています。◆