文具キットを贈り続けて13年

文具キットを贈り続けて13年

カンボジアの子供たちへ福岡ステークの息の長い奉仕活動

カンボジアの子供たちへ福岡ステークの息の長い奉仕活動

 福岡ステークでは,カンボジアフレンド協会※1を通じ,2001年から13年間継続してカンボジアの小・中学生に文房具キットを贈っている。

 カンボジアフレンド協会は,桐生ステーク高崎ワードの坂本(さか もと) 侃(すなお) 兄弟が立ち上げ,2002年にNPO法人格を取得。カンボジアで小・中学校を建設し,教育文化事業を行い,飲料水を井戸からくみ上げる手動ポンプを多数寄贈するなどの活動を進めてきた。この坂本兄弟の取り組みに,2001年から福岡ステーク会長を務めた恩田(おん だ) 豊(ゆたか) 兄弟が賛同し,福岡ステークでの福祉プログラムとして取り入れた。それを発端に,代々の福岡ステーク会長に引き継がれてきた。

 この文房具キットは鉛筆5本,消しゴム1個,ノート2冊が姉妹たちの手作りの巾着袋(きん ちゃく ぶくろ) に入っているものだ。毎年9月に各ユニットのビショップリックに声かけをし,12月のクリスマスの時期に,でき上がった文房具キットを取りまとめて協会へ送る。当初はステーク全体で200セットと決めて各ユニットに割り振っていたが,現在は数量の指定はしていない。福祉担当の高等評議員,緒方節男(お がた せつ お) 兄弟は語る。「善意の寄付なので割り当てはしないで集まった分を送っています。年によってばらつきはありますが,平均すると150セット前後集まります。……行動をするということは信仰を使っていることです。今年は皆に心の余裕があるだろうか,これを作るだけの信仰生活を送っているだろうか, それとも他の人に奉仕もできないような慌ただしい人生なのか,ということですよ。」

 ステーク扶助協会会長の新貝(しん かい) 緑(みどり) 姉妹はこう話す。「会長に召される前,一姉妹として携わっていたころは『鉛筆とかでよかったら』という気持ちで出していました。(今は)本当に定着していると思います。各ユニットの扶助協会の会長会が夏くらいから自分たちで動くんです。本来はビショップリックから声かけすることだけれど,『そろそろですね』と(彼女たちの方から)連絡が来るんです。今までのことが習慣になっているんですね。姉妹たちはいろいろなことで社会に貢献したいと思っているようです。」緒方兄弟も言う。「外に向けて(の奉仕)は,ヘルピングハンズ活動とかがなければなかなか機会がないので。少しずつでもアメリカのように,社会の第三者に向けてそういう(奉仕をする)機会が増えればいいんじゃないかと思います。」

 文房具が送られるカンボジアとの直接的なつながりはほとんどない。「坂本兄弟が春にカンボジアに行くときに持って行ってもらっています。福岡ステークは間に一つ組織が入って送るだけ,(キットを)作るだけです。」(緒方兄弟)しかし時折,カンボジアフレンド協会から現地の子供たちの写真や手紙が送られてくる。昨年,同協会が社会貢献支援財団の社会貢献者表彰を受けたときは,その新聞の切り抜きと文房具寄贈に対する感謝の手紙が送られてきた。こういった写真や情報は各ユニットに全て分かち合っている。

 遠い異国の子供たちに届く文房具キットは神権指導者の熱意によって定着し,会員の信仰を基とした自主性と愛情と奉仕の精神によって作られ,贈られ続けてきた。緒方兄弟は笑顔で言う。「今年はどうかな,どれくらい出るかなと楽しみに待っていますね。続けるかどうかはステークの力量。ステーク会長会がもうやらないと言わない限りこのプログラムはずっと続くと思います。」◆

※1─『リアホナ』2004年8月号チャーチ・ニュース,12参照