リアホナ2005年8月号仕事と生活の調和

仕事と生活の調和

 「仕事と生活の調和」についてのシンポジウム2004レポート

教会では昨年より「ワーク・ライフバランス」をテーマとして様々な活動に取り組んできた。アメリカの研究者の中で使われ始めたこの言葉は,日本の研究者の中にも広がり,厚生労働省でも仕事と家庭の両立を支援する施策や,啓蒙活動,検討委員会の設置などが行われている。教会ではすでに仕事や家庭でのバランスのとれた生活に加え,教会での責任や地域社会での奉仕活動への積極的な参加も奨励してきた。そのため,時間管理や生活のバランスを題材とした研究や書籍の刊行も多く教会員によってなされてきた経緯がある。教会員にとっては新たに提唱され始めた理念ではないが,教会が蓄積してきた情報やノウハウを広く社会に還元する機会となり始めているのも事実である。

昨年開催されたいくつかのイベントを通じて,日本の教会員の中にも「ワーク・ライフバランス」という言葉が浸透し始めている。

5月,最初に開催されたのは,結婚と家族生活についての研究で著名なブリガム・ヤング大学教授ジェームズ・ハーパー兄弟を迎えてのシンポジウムだった。在日アメリカ商工会議所でのシンポジウムをはじめとし,ライオンズクラブ役員への講演など,教会外の団体によって主催され,教会が後援する形で開催された。

また11月に,フォード・ジャパンの佐藤勝彦社長,東京スター銀行頭取のタッド・バッジ兄弟,法政大学大学院の諏訪康雄教授,立正大学の宮城まり子助教授を招いてのシンポジウムが,各企業の人事労務関係部署の担当者を募って開催された。各企業とともに教会が後援となり,会場に集った約100人の出席者は基調講演やパネルディスカッションに耳を傾けた。

同じく11月に開かれた,『7つの習慣』の著者として知られるスティーブン・コヴィー兄弟と塩谷立文部科学副大臣との夕食会でも,「ワーク・ライフバランス」は主要なテーマであった。多忙な時間を割いて夕食懇談会を主催した塩谷副大臣は,文部科学省審議官とスタッフを伴い,コヴィー兄弟,そして東京主要都市広報評議会のメンバーとそれぞれの活動や価値観について意見交換を行った。

ハーバード大学ビジネススクール学部長のキム・クラーク兄弟(現BYUアイダホ校学長)が12月に来日した際には,民主党の衆参両院議員を招いての朝食勉強会が開催された。クラーク兄弟は「ワーク・ライフバランス」について語るとともに,その根底にある宣教師としての経験や自らの信仰に基づく信念について講演した。

このテーマは,これからも教会から日本社会へと発信される主要な題材となっていくことだろう。◆