リアホナ2013年12月 東北における教会による支援

東北における教会による支援

東北における教会による支援

末日聖徒イエス・キリスト教会とその会員たちは,将来を見据えた堅実な生活を送り,助けを必要とする人々を助けるために備えをしていることで知られている。2011年3月11日の大震災の後,教会が膨大な支援を提供し続けることができたのは,この生活様式と備えがあったからである。この地震は尋常なものではなく,続いて生じた津波も前例のないものだった。したがって,教会の対応も過去の多くの事例とは異なっていた。

何に着手するよりもまず,状況を正確に把握する必要があった。管理本部の職員は最も助けを必要としている場所を特定するために,日本中の神権指導者と連絡を取り始めた。全国から報告が寄せられ,24時間以内に,正確な状況を把握し,計画が実行に移された。この対応の重点は福島,宮城,岩手3県の沿岸部に置かれた。

地震発生5日目に,支援チームが仙台に到着し,地元指導者による災害対策センターの開設を支援した。しかし実際の支援はそれよりもずっと前から日本中の会員の家庭で始まっていた。例えば,東北出身の二人の若者が,災害のことを聞いて地元の神権者と扶助協会の会員に連絡を取り,二人の集う集会所に物資が集められ,2日後には現地に送られた。別のステークでは,会員たちが家庭の貯蔵品から食料,水,衣服,その他の物資を持ち寄り,支援を必要とする被災者向けの積み荷に加えた。このトラックも災害発生5日後に仙台に到着した。

地元の動きも迅速だった。会員たちは自分の家が被災しているか否かにかかわらず,友人の捜索および安否確認作業に取り組み始めた。指導者と会員が協力して,ワードや支部のすべての会員の安否確認を行った。災害発生から数日間,教会員は自分たちの名前を集会所の外に設置された紙やホワイトボードに書き込んだ。こうすることで指導者は,安全だが別の手段によらなければ連絡を取り合うことができない人を確認することができた。この作業を支援するために,シニア宣教師が召され,沿岸地域の多くのユニットに配属された。

地域会長会は3月19日から21日にかけて被災地域を訪問した。彼らは3つのグループに分かれ,それぞれが日曜日に3つのユニットを訪問した。教会員は通常の集会や特別集会に集い,地域会長会の訪問から霊的な力を受けた。月曜日,地域会長会は避難所にいた会員を訪れ,そこでも彼らを励ました。災害発生初日から,地域会長会をはじめ,多くの教会員は東北に住むすべての人たちのことを心配し,大きな関心を寄せてきた。

教会の非常事態への対応は包括的であることで知られている。教会は,可能な場所においては地域社会の指導者に連絡を取り,食料,水,衛生用品,毛布,ガソリン,その他の必要物資を提供した。大量の物資が必要とされたときには,連絡を受けた東京,名古屋,大阪の教会員が喜んで集まり,3万個の衛生キットの詰め合わせ作業を行った。これらの衛生キットは,数十万人にも及ぶ被災者に必要物資を提供しようとする政府団体が喜んで受け取った。

徐々に生活が落ち着きを取り戻し,ビショップや支部会長は家屋,車,事業,その他の生活に必要な物を失った会員に会うことができた。可能な場所では,ビショップや支部会長が手を差し伸べ,断食献金を使って会員がもっと自立できるように支援を提供した。そのような支援は個人レベルでしかできないものである。

おそらく最も目についたのは,黄色いTシャツを身に着けた何千人もの会員による支援だろう。彼らは倒壊した家屋に入り込み,神社や墓地を清掃し,道路や畑から瓦礫を撤去し,さらに多くのことを行った。延べ30,000人以上のボランティアがこの重大な事業に参加した。これらのヘルピングハンズのボランティアは,東北の人々が元の生活に戻れるように自分たちにできることをして助けようと日本中から集まった人たちである。韓国や合衆国から来た人たちもいた。

最後に,教会は漁協や農協に協力する特別な機会を得て,漁業や農業に携わってきた人たちが再び自立できるように支援した。彼らの生活は大きな打撃を受けており,家屋や仕事道具,土地を失っただけでなく,妻や子供,ほかにも愛する人や友人を亡くしていた。すべてを失った彼らの多くには,もう一度やり直そうという希望も熱意も残ってはいなかった。このすばらしい人たちとの関係を築くことは容易なことではなかった。しかし,ただ彼らが自分の得意なことに従事できるよう支援したいという教会の誠実な願いが通じたとき,彼らは心を開き,支援を受け入れた。教会の人道支援活動を通して,何千もの人が直接的な支援を受け,また様々な形でその活動から影響を受けた人も数万人に上る。

末日聖徒イエス・キリスト教会は現在も続く東北の復興事業の一部を担っている。完全な復興はまだ先である。かなりきれいになったとは言え,被災地域に行ったことのある人には,かつての東北の姿にはまだほど遠いことがはっきりと分かる。個人や団体が支援できる機会はまだ残されている。現在必要な支援は瓦礫を集め家屋から泥をかき出すことではない。必要なのは精神的支援であり,訪問や励ましである。状況を把握し,今日必要とされている方法で進んで支援することが求められている。