リアホナ2013年10月号 竜巻の被災者を助けるヘルピングハンズ

竜巻の被災者を助けるヘルピングハンズ

去る9月2日午後2時ごろに発生した竜巻が,埼玉県越谷市と千葉県野田市で甚大な被害をもたらした。被害が集中した越谷市の北陽中学校周辺では,全半壊した建物,倒れた電柱,屋根瓦が飛ばされた家屋が目立った。中学校の体育館の屋根も飛ばされ,窓ガラスも砕け散る状況だった。さいたまステークと全国広報評議会は,竜巻被害があった翌日にモルモン・ヘルピングハンズのボランティア活動の調整を始め,行政機関やボランティアセンターへボランティア派遣を打診した。同時に広報部の夫婦宣教師を現地へ派遣し,被害状況の視察とボランティアの可能性を調査した。その結果,行政に通達した20名という人数での活動を決め,神権指導者からの連絡とインターネットでの告知を始め,さいたまステークの会員と宣教師を中心にボランティアグループが組織された。

 

危険物や大きながれきは市役所や県庁の関係者によって撤去されており,おもな活動は,助けを必要とする民家の要請に応じての荷物の運び出し,清掃作業,がれき撤去等だった。また,地面に細かく散乱したガラスの破片を一つ一つ丁寧に回収する作業は単調ながら集中力が求められた。小さい子供を持つ母親から,「たくさんの人数で助けてくれてとてもありがたい」と感謝される場面もあった。

 

「自分たちも助けられたので,今回はぜひお返ししたい」と仙台からボランティアに参加した兄弟姉妹,「宣教師と一緒にほかの人たちを助けたい」と語る求道者の男性,「とにかく何かをしなくては!」という思いでほかのステークから参加した姉妹。黄色いベストを着用したボランティアは被災地では目立ち,「キリスト教会の皆さんは,今度はこちらをお願いします」と次々と助けの手が求められた。

 

「たとえ少人数のグループであっても,助けを必要とする人がいるならば,モルモン・ヘルピングハンズの活動をすることに意味があります」と楠目克美長老(地域七十人・全国広報評議会神権アドバイザー)は話す。また,アジア北地域会長会ではそれぞれのステークや地方部が将来いつでもボランティア活動に携われるように,モルモン・ヘルピングハンズのベストを常備するように奨励している。

 

ボランティアに参加した会員のfacebookには次のようなコメントが書かれていた。「屋根を吹き飛ばされた方は荷物を運び出せず,ほんとうに困っていました。役所を通して順番待ちしていたらこんなレスキューはできませんでした。」そして,結びのコメント。「やっぱり『善は急げ』なのです」。

 

「善は急げ」。今回の竜巻の被災地へ赴いた兄弟姉妹の行動,そして,モルモン・ヘルピングハンズの精神を一言で表現しているような言葉が印象的だった。