末日聖徒イエスキリスト教会 会員がキャリアプランを立てるのを助ける

会員がキャリアプランを立てるのを助ける

ビショップの指示の下,神権指導者と扶助協会指導者は助けを必要としている会員が一時的にも長期的にも自立するための計画を立てられるよう助けるべきです。

会員の特定の必要を満たせるように取り組む際,その会員が就職先を探す上での選択肢や計画について,ワード評議会で話し合います。評議会はその必要に対応するために,ワード内のリソースにまず目を向けるべきです。

雇用の必要性は様々な方法で明らかになる場合があります。ある会員が十分にお金を稼いでいないと感じている場合,新たな就職先を見つけられるように助けるよりも,むしろ支出計画を立てられるよう助ける必要があるかもしれません。あるいは,支出が支払能力を超えてしまっている場合には,不要な資産を売却したり,支出を減らしたり,不要なサービスをキャンセルしたりすることにより,自分の収入の範囲内で生活できるようになるかもしれません。

同じように,ほんとうに新たな就職先を探している会員たちも,さらに訓練を受けたり,履歴書を書いたり,面接の練習をしたり,可能性のある求人情報や人脈に気づいて利用したりするうえで,助けが必要かもしれません。

長期的に自立するためのキャリアプランを立てる手順

自立とは,自分と家族のために生活必需品を提供するための能力であり,決意であり,努力です。

長期的に自立するための計画を立てる場合,正式な用紙は必要ありません。しかし,『必要と援助手段の分析表』(カタログ番号32290 300)を使うことができます。計画を完成するには,通常,数回にわたって話し合いを持つ必要があります。

助けを必要としている会員を訪問する場合,彼らが心を開けるような信頼関係を築いてください。自立に関してはほかにも様々な領域がありますが,職業に関して以下の4つの要素について必ず話し合ってください。

1.職業目標とそれに伴う希望収入

最初のステップは,会員が自分の就きたい職業を決めるのを助けることです。この職業選択は実行可能なものであり,また会員の財政的な必要を満たすものであるべきです。この目標は本人の興味や能力に基づいて,会員自身が設定すべきです。

会員が就きたい職業を決めるのを助けるために,以下のような質問について考えるとよいでしょう。

·     その会員がもともと持っている技能や能力は何ですか。

·     その会員の過去の職歴においてこれらの技能や能力はどのように活用されましたか。

·     訓練,教育,経験が問われないとしたら,その会員がほんとうにやりたい仕事は何ですか。

会員が就きたい職業を決められない場合,それ以上計画に時間をかける前にスペシャリストに支援を要請してもよいでしょう。あるいは,さらに支援を受けるために,最寄りの自立支援センターや職業安定所に会員が支援を求めるように勧めるのが賢明でしょう。

会員が家族を経済的に支えるために必要な所得水準を決めるのを助けます。もしも現在,支出計画がきちんとできていない場合は,まず支出計画を立てる必要があるかもしれません。この段階でさらに支援を提供するためにスペシャリストを割り当ててもよいでしょう。

会員が希望する職業を通して十分に経済的な責任を果たせるかどうか評価してください。

会員には,現在支出計画がありますか。

·     会員が現在の支出計画範囲で生活するには,あとどれくらいの収入が必要でしょうか。

·     その会員が希望する職業に対する需要は高いでしょうか,それとも,需要は傾いているでしょうか。

·     その職業に就いた場合,通常,会員の支出計画に見合う収入が得られるでしょうか。

スペシャリストは,会員が支出計画を立てたり,上記の質問に答えたりするのを助けることができます。さらに支援が必要な場合,会員は自立支援サービス(従来のLDS職業支援サービス)に問い合わせることもできます。

2.必要性

次の手順は,職業に関して立てた目標を達成する方法や,起こり得る障害を克服する方法を理解することです。

会員が以下の事柄を理解できるように助けます――

·     会員が目標とする職業に就くために必要な,具体的な手順。

·     子供を預かってもらえないことや移動手段がないことなど,会員が決めた目標を達成するうえでこれまで障害となってきたものや,これから障害となり得る状況。

·     予期せず発生する可能性のあるその他の障害。

恐らく,すべての必要を把握するには何回か話し合うことが必要となるでしょうし,計画を立てていくにつれて,新たな必要が出て来ることもよくあります。

会員の当面および長期的な必要を判断する助けとなるよう,次の質問事項について考えてください――

·     目標とする職業に就くためには,さらに訓練や教育を受ける必要があるでしょうか。

·     その訓練を終えるには,どれくらいの時間がかかるでしょうか。

·     会員はこれまで,主にどのような方法で仕事を見つけてきたでしょうか。

·     会員の知り合いの中に,会員が目指す職業分野で働いている人はいないでしょうか。

·     会員は自分が目標とする職業について,ほかの人と気楽に話し合うことができますか。

·     会員は最新の履歴書を持っていますか。その履歴書の内容や書き方は,面接の機会を得るのにどれほど効果的でしょうか。

会員は,キャリアワークショップに参加すること,さらに訓練や教育を受けること,どのような人脈や求人情報を利用できるか認識することで,目標達成に近づけるでしょう。

会員の計画を立てる際,これらの必要の中から課題として組み入れるとよいでしょう。

3.リソース

リソースとは,会員が職業上の目標を達成したり,長期的な自立を目指す上で必要な事柄を行ったりするのを助けるために利用できる物や人のことです。

多くの場合,助けを必要としている人は自分の困難な状況を超えて物事を見ることができず,短期的または長期的な目標を達成するのに役立つ,すでに現在持っているリソースに気づけなかったりするものです。神権指導者や扶助協会指導者は,これらのリソースに気づけるように助けることができます。

会員に何を行うべきか伝えるよりも,質問することによって,会員自身が主体的に考え,行動できるように助けてください。以下のような質問を一つずつ投げかけることによって,会員の必要に対応してください――

·     この件について助けてくれそうな人を知っていますか。

·     同じような状況にある人々を支援する地域団体を知っていますか。

·     同じような状況にある人々は,どのようにしてそれらを解決しているでしょうか。

·     この大変な状況を乗り越えることは,あなたが目標とする職業に就くために,どのように役立つでしょうか。

会員が仕事を得たり,自立したりするのに役立つ指示や連絡先を提供してください。これらのリソースはワードやステーク内で得られるものもあるでしょうし,教会の福祉事業部やその他の地域社会から得られるものもあるでしょう。

指導者は年次調査を実施することによって,助けを必要とする人々を支援することのできる会員を見いだすことができます。

ワードまたはステークの雇用スペシャリストは,ワードやステークの情報を集めたり,まとめたりするうえですばらしいリソースとなり得ます。

4.課題

会員が自分の目標を達成するためには,課題が必要でしょう。会員,ビショップ,神権指導者や扶助協会指導者,メンター,スペシャリストそれぞれが,何らかの具体的な行動を起こす必要があるでしょう。

行動を起こし,一歩ずつ進めていくために,以下のことを確認します――

·     どのような行動を起こす必要がありますか。

·     会員がその課題を果たせるように,だれが支援できるでしょうか。

·     各課題をいつまでに完了しますか。

·     完了した課題については,いつ報告すべきですか。

会員自身が主体的に考え,行動することは,自立するうえで非常に重要です。可能であればいつでも,会員は課題に一つ一つ取組み,進捗状況を神権指導者や扶助協会指導者に報告するようにすべきです。

理想的には,会員は立てた計画に取り組む前にビショップと話し合うとよいでしょう。ワード評議会は定期的に各会員の計画を見直し,進捗状況を話し合い,新たに起こる問題に対処できるよう,継続して支援します。