リアホナ2005年1月号 社会に称賛される家族の価値観 熊本ステーク坪井ワードの岸家族

社会に称賛される家族の価値観 熊本ステーク坪井ワードの岸家族,

社会貢献支援財団より「ハッピーファミリー賞」を受賞

社会貢献支援財団が主催する社会貢献者表彰式典が11月15日に東京全日空ホテルで行われ,特別分野の功績として「ハッピーファミリー賞」を,熊本ステーク坪井ワード所属,岸英治・信子ご夫妻と10人の子供たちの一家が受賞した。同財団は1971年に設立された公益法人であり,「社会の分野で功績を挙げながら社会的に報われる機会の少ない方」を対象に表彰を行っている。ハッピーファミリー賞は「多くの子供たちを育て苦労を重ねながらも明るく生きてこられた方々」に与えられるもので,岸家族は「世の中を明るくする家族」として表彰された。

受賞のきっかけは,岸家の日常生活を採り上げたテレビ番組にある。両親を手伝って新聞配達をする子供たちや,一人一人の子供との時間を大切にする岸ご夫妻の姿勢が財団関係者の目に留まり推薦された。受賞について岸姉妹は,「福音に添った生活ができるように努力すれば,それは光になるんですよね」と語る。

岸家には10年続いている行事がある。受賞のきっかけの一つとなった「子供と1対1で過ごす日」である。長男の英智君が10歳のとき,岸家にはすでに7人の子供がいた。まだまだ親の愛情を受けたい年齢の英智君だったが,弟や妹のために寂しい思いをすることもしばしばあった。下の子供と同じように英智君に対して十分に愛情を注ぐ時間が取れないことや,均等に愛を伝える方法が見つからないことが岸姉妹は気がかりだった。ちょうどそのころ,福岡伝道部のフィゲレス伝道部長(当時)が熊本ステーク大会で,ご自分の家庭での取り組みを紹介して「子供と1対1の時間を持とう」と教会員にチャレンジした。子育て真っ最中のフィゲレス家では毎週土曜日に一人の子供と両親でディナーに出かけるという特別な日を設けていた。他の子供たちはベビーシッターと留守番をする。「このチャレンジはわたしがちょうどそのときに求めていたものでした」と岸姉妹。早速始めることにしたが,外食をするゆとりはない。子供も7人いるので毎週土曜日では足りない。そこで岸家流にアレンジし,毎月誕生日と同じ日をその子のための日とした。特別なことは何もせず,子供の望むことをする。親と二人だけになる環境のない岸家での一番人気は「一緒に寝ること」だった。二人で横になって自分の小さいころの話や,どれほど両親に愛されているかを聞くだけで子供たちは満足した。「フィゲレス伝道部長の模範とチャレンジが,今では我が家のトレードマークです」と岸兄弟は言う。10人の子供たちは,天から授かった特質を伸ばしながら個性豊かに成長している。たくさんの子供を持つ教会員が指導者の言葉に耳を傾け,小さなチャレンジを実践したことによって,今や社会的に認められる存在にまでなっている。

「打算ではなく,主の言われることをしていての受賞です。できないこともいっぱいあるけれど,うちの家族にしかできないこともあると思って一生懸命しています」と岸兄弟は穏やかに語る。また,岸姉妹は「わたしたちは世間から見ると一致した仲の良い,いい家庭です。でも神様の目から見れば欠けているところだらけで,全然喜ばれる家族ではありません。けれど神様は悔い改めて心の向きを変えて頑張ろうと思った時点で祝福を下さる気がします。神様は限りなく忍耐強いお方だと分かります。わたしたちを見放さず何度もチャンスをくださいます」と証した。福音に基づいた生活は教会内にとどまらず,広く社会にも称賛をもって受け入れられるということを岸家族は体現している。◆(『リアホナ』2001年12月号チャーチ・ニュース,9 参照)