リアホナ 2005年6月号 標準建築プランの建物が地域に宣言する福音

標準建築プランの建物が地域に宣言する福音

春雨が新緑を静かに揺らす安息日。2005年5月1日,新築された熊本ステーク大分ワードの教会堂に167人が集い,地域会長会から第一副会長のウィリアム・R・ワーカー長老を迎えて奉献式が執り行われた。落ち着いたレンガ色の壁,重い両開きの玄関の上には2階から3階まで飾りの入った大きなガラスがはめ込まれている。その上にある窓のついた尖塔は夜になると四方に光を放ち,その姿はまるで小さなカートランド神殿のようでひときわ目を引く。教会堂は社宅やマンションが建ち並ぶ大型団地の中にあり,大通りに面していて,通りすがりの人や信号待ちの車の中の人が一様に振り返って見る。「以前からいつが奉献式なのかなと思って通っていました」と,ほかの教会に所属する60代の女性が奉献式当日に教会を訪れ,聖餐式に参加した。原田陽章兄弟に招待され奉献式に出席したご両親は教会堂を目にして,「教会の建物としても普通の建物としても洗練されていていいんじゃないかな」と第一印象を語る。

大分ワードの独特なデザインは地域の人々の関心も集めているようだ。「入院先の看護師さんや清掃の方が『最近大きな教会が建ってるなあ』と言うので,ぼくが行っている教会だと答えると関心を持っていろいろと質問してきました。相手が興味を持っているので,安息日の集会のことや英会話,だれでも教会の中に入れることなどを自然な形で話すことができました」と野中浩兄弟は話す。

また,ドライブの途中で友人を教会堂に案内した萱野裕子姉妹は,「近くを通ったので友だちに教会堂を紹介したら,後日ほかの友だちに『ここが萱野さんの教会なんだって』とわざわざ寄って見せてくれたそうです。それくらいインパクトが強くてもう一度見たくなる建物なんだと思います。」

教会堂が建つ明野自治区の佐藤充美会長は,「教会堂が地域の教育と文化の発信地となる」ようにと大きな期待を寄せている。

大分ワードの会員の気持ちにも変化がある。伝道所と言われていたころからの会員の清水恵子姉妹は「伝道所からの歴史を考えると大きな祝福だと感じます。わたしは建築資金をたくさん出しました。当時はよその支部が建つばかりでしたがそれの千倍,何千倍もの祝福を頂きました」と涙ぐむ。

「ずっと大分にいるわたしたちにとってみれば大きくて立派でもったいないなという気持ちです。ここに骨をうずめるくらいの気持ちでやっていけるなあとそういう気持ちがしますね。もっともっと伝道していかなければという使命感が芽生えました」と佐藤福丸兄弟。

内田健治兄弟は将来へ思いをはせている。「この教会堂が大分の栄えていく地域にちょうど建ったでしょう。教会が建ってそれに伴って発展の輪がだんだん広がっていく。そんな気がします。ここはワード仕様の建物と聞きました。いつか大分市内にステーク仕様の建物が建つんですよ。教会を中心に地域ができていく,そういう大分での最初の場所という感じがしています。」

伝道主任の西原和美兄弟は教会のデザイン性に加えて立地条件の良さがこれからの伝道に大きく役立つと話す。「目に付くっていうことはそれだけでも広告。いつも人の目に付いているとだんだんその人の心に居場所を作っていく。人々にとって目に付きやすい場所,それも目に心地いい形になっていれば建物を通して福音を受け入れやすいと思います。」すでに宣教師は教会堂の前で通りすがりの人と話をし,電話番号などを教えてもらっている。教会堂のデザインは,会員にとってはもちろん地域の人々にとっても特別なものであり,神聖さを感じさせているようだ。

そのような建物に集う者として徳丸隆監督は,「このようなすばらしい建物を頂いたときにわたしたちは,内側を清めないといけないと感じます。教会堂は100人の宣教師に勝ると言われるように,ここはほんとうに光ですね。たくさんの人が集まると思います。本来ならばどのような建物であっても,わたしたちの内側から光るもので人々に福音は広まっていくものです。それであるからこそたくさんの方が集われると思うこの教会に対して,わたしたちはいつでも証ができるようよく備えなければならないと心から感じています」と穏やかながらも固い決意をもって語った。

主の尊厳を表現した教会堂が,地域の人々の目を引き,そこに集う会員たちに主の業に携わる者としての誇りを感じさせてくれる──会員の心が一つになるとき,この教会は地域とともに大きく発展することだろう。◆