リアホナ2005年10月号建築標準プラン

建築標準プラン

21世紀を迎えたここ数年,日本で,世界で,教会堂の建築デザインが次第に変化しています。きわめて現代風でシンプルだった従来のシンボルタワーが装飾的な尖塔に替わるなど,外観にも内装にも違いが見られます。なぜそうした変化が起こったのか,そして2004年,一つの完成型を確立したと言われる「地域建築標準プラン」とは何か── その全容をレポートします。

1949年7月17日,日本で最初の教会所有の建物である日本伝道本部を奉献するため,十二使徒のマシュー・カウリー長老が来日した。その奉献の祈りの中で,後に長く語り継がれる有名な預言がなされることになる。──「いつの日か,この国に多くの教会堂と,さらには幾つかの神殿が建てられるであろう。」── その預言から56年を経た今日,日本で使用される教会所有の集会所は196に上る。さらに,来年の2月までには3か所を奉献する予定があり,それに加えて2つの教会堂を建築準備中で,総数は今まさに200を超えようとしている。

カウリー長老の預言からちょうど半世紀を経た1999年,教会本部から全世界に向け,施設運営の新しい方針が提示された。従来の方針──〔年間予算・対応可能な人員配置・建築技術などの条件内で施工可能な建物の数が決められ,必要の差し迫ったところから優先順位に従い建設する〕──が根本的に見直され,今後の方針──〔実際の必要を踏まえた長期的な新築・増築・改修改築の計画がまず立てられ,計画を着実に完遂すべく日程を組み,予算や人員,建築技術などのリソースを手配する〕──に取って代わられた。すなわち会員の必要を満たすという観点からすべてが計画され,必要を認められたすべてのユニットの集会所は速やかに建設される。必要を測る基準は,聖餐会平均出席人数や什分の一の完納者率,現在の集会所への所要時間などである。

さらに施設運営の原則として,〔1. 顧客満足の品質〕〔2. 適切なコスト〕〔3. 期限を守る〕が目標として掲げられている。

ことに〔品質〕の項目にはこう記される。「品位,高潔,尊敬に値するイメージをもった品質の施設を提供し,維持する。」外観も内装も,より敬虔な雰囲気を備えた教会堂を,コスト・工期のバランスを取りつつ建設することを目指す。そのために,2000年以降建築された教会堂の実績を〔品質〕〔コスト〕〔期限〕の観点から評価し,それを年ごとに反映して,洗練された建物を効率よく建設するための標準設計を確立しようとしてきた。──正確に言うと,1999年以前も以後も,定められた「建築標準プラン」にのっとって教会堂は建てられている。ただ,上記のような方針の転換により劇的な変化を経て,2004年3月に正式承認されたのが今日の「地域建築標準プラン」なのである。

2004年秋の総大会でヒンクレー大管長はこう語っている。「教会は発展し続けています。毎年ますます多くの人の生活に影響を与えています。教会は全地にあまねく広がっています。

この発展に対応するためには,必然的に,礼拝の家を次々と建設していかなければなりません。現在世界各地で,様々な規模の451に及ぶ集会所が建設中です。わたしの知る限りでは,このような大規模な建設プログラムは,ほかに類のない,驚異的なものです。そしてわたしたちが建てる建築物は美しく,周辺地域の美観をさらに引き立てるものとなっています。よく手入れされています。わたしたちは礼拝の家の建築に関しては経験豊かです。そしてその豊富な経験から,教会でこれまで建設されてきた建物よりもさらに良い建物を建てています。美しさと使い勝手のよさを併せ持った建物となっています。現在建築中の建物同士は似通った外観になっていますが,それは意図的にそうしているのです。有効性が証明済みのデザインと方式に倣って建てることで,多額の経費を削減しながらも,教会員の必要を満たしていくことができるのです。」(「教会の状態」『リアホナ』2004年11月号,4)◆