沖縄ステークのメサイアコンサート

沖縄ステークのメサイアコンサート

地元の会員と軍人地方部,招聘した音楽家が一つになって

日本最大の敷地面積を持つ沖縄ワードが暮色に包まれる,2015年12月19日(土)午後6時,クリスマスコンサート「ヘンデル メサイア」が開演した。


オルガン独奏に始まり,数曲のクリスマスの賛美歌の後,ヘンデル作曲オラトリオ「メサイア」が演奏された。 礼拝堂の壇上には64人から成る日米合同聖歌隊,17人から成るオーケストラ,4人のソリストが登壇した。



沖縄におけるクリスマスコンサートは3 回目となる。 中心となって準備してきた指揮者の平良 久兄弟はこう語る。 「これまでメサイアの代表的な曲は抜粋して歌ってきたことはありますけど,一つのまとまった形で,曲数を増やしてソリストも入れてという本格的な取り組みは今年が初めてです。 素人が歌うには,この曲はかなり難曲なんですね。最初は取り付きにくいところがありましたが,やはり仕上がっていくにつれて皆さんの喜びも高まっていきました。」
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現在は,沖縄全体が一つのステークとして組織されており,用意された1,000 枚のチケット,1,500 枚のちらしを,沖縄ステークと軍人地方部の会員,宣教師たちが配った。



「多くの会員が,自分のご兄弟やお友達,職場の方々などをお連れになったのが分かりました。 わたしや家内も頑張ってちらしを配り,高校の同期の皆さんをはじめかなりの方が来てくださいました。」(平良兄弟) この日,礼拝堂からホールの舞台まで客席が準備され,ほぼ満席の聴衆およそ750人が詰めかけた。 通常,メサイアコンサートでは,一連の曲を全て演奏した後に拍手をするが,この晩は1 曲ごとに拍手が起こり,温かく親密な雰囲気のもとでコンサートは進んだ。 最後のハレルヤコーラスを歌い終えたときには,聴衆が立ち上がり大きな拍手が湧き起こった。 アンコール曲「聖きよしこの夜」では,オーケストラをバックに,1 番は聖歌隊,2番はソリスト,3番は会場の聴衆も一緒になって歌った。



招待された一般の方々はこう話す。「ハレルヤコーラスのとき,感動のあまり涙を抑えることができませんでした。 隣に座っている家内に気づかれないように振る舞うのがやっとでした。」 「これほど大掛かりなコンサートとは思ってもいませんでした。」
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平良兄弟もこう振り返る。 「非常に熱いものを感じました。 指揮をしていて思わず涙が出そうになりましたね。 会場に来てくださった皆さんも同じことをおっしゃっていました。 またバリトンのソリストである具志史郎さんは言われました。 『歌いながら涙が出てきたのは初めてです。 なぜか涙が出てきました。 この気持ちはなんでしょうかね!?』 聴衆を感動させることを生業とするプロの演奏家ですから,自分で感動して涙するということは普通あり得ません,教会で感じる御霊でしょうか。」 他の出演者の方からも,温かさを感じたという声が数多く上がった。ソプラノのソリストとして招聘された仲間幹子さんは,前の週に教会の聖餐会に出席された。 「コンサートの1 週間前なので,身を清めるために来ました」と話されたという。


メサイアを通じて生まれた交流


「メサイアというのはイエス・キリストの生誕を歌った曲なので,クリスマスに教会で演奏されるのが一番ふさわしいのじゃないか,とかねがね考えていました。」 沖縄ワードの大きな教会堂が2014年2月に奉献され,平良兄弟のその思いが具体化し始めた。



メサイアを演奏するには,オーケストラをどのように編成するかが最大の課題であった。 2014 年のクリスマスには,チェンバロ奏者と,教会員のご主人がチェロで参加しているバプテスト教会の弦楽四重奏団を招聘した。 そこからつながりができ,教会員もバプテスト教会のコンサートを聴きに行くなど互いに交流が生まれた。 「末日聖徒に対して誤解があったことは事実だと思います。 もちろん,声に出してはおっしゃいませんけれども。 ただ,一番良かったのはこういう機会を通して,実際に練習からわたしたちの教会に来ていただいて,聖歌隊のメンバーと親しく交わり,練習が終わってからリフレッシュメントを頂きつつ歓談をしたことです。 教会に対するイメージがかなり変わったんじゃないでしょうか。 彼らは,また来年も声をかけてくださいね,とおっしゃって帰られました。 



そこで,次はもっと本格的にやろうと,いろいろな方面に声をかけてメンバーを募りました。」(平良兄弟)



今回は,バプテスト教会の弦楽四重奏団に加えて,教会員の弟さんが団長を務める,沖縄で一番歴史あるアマチュアオーケストラの
沖縄交響楽団に声をかけてもらい,協力者を募った。 そうして,メサイアを演奏するフルオーケストラの編成が整った。
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また,同じ集会所を使用する沖縄ステークと軍人地方部の会員は,それまであまり交流がなかったが,初めて合同聖歌隊を編成し
た。 「大きな一致がありました。 指揮をしていてとても御霊を感じましたね。 特に軍人地方部の皆さんには,日本語の歌詞をよく覚
えていただいて,日本人の会員の皆さんは英語に挑戦して,難しいメサイアの曲に取り組みました。 非常に感謝しています。」 那覇第二ワードの仲地里織姉妹も言う。 「賛美歌はすごく力があって特別で,練習のときも御霊を強く感じて泣きそうになりました。」◆
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