リアホナ2015年10月号 世界の宗教とともに末日聖徒の信条を分かち合う

世界の宗教とともに末日聖徒の信条を分かち合う

日本で開催された,第23回世界スカウトジャンボリーにおける教会

2015年7月27日から8月8日にかけて,第23回世界スカウトジャンボ リーが日本で開催され,161か国から3万4,000人あまりのスカウトと指導者が参加 した。世界ジャンボリーとは,4年に1度開かれる世界スカウト機構の大会である。山口県の海岸に位置し,広大な敷地を擁する山口きらら博記念公園が会場となった。 

8月1日,山口宇部空港に,中央若い男性会長のオーウェン兄弟ご夫妻が到着し,山口地方部の古谷明寛会長が出迎えた。アジア訪問は初めてというオーウェンご夫妻に, 七十人の青柳弘一長老ご夫妻が付き添う。 早速会場入りした一行は,世界各地から集まったスカウトたちと交流した。

8月2日の安息日の朝には,インターレリ ジョスセレモニー(異なる宗教の共同礼拝)が開催され,末日聖徒は世界の主な宗教※1の代表者とともに2万人の観衆の前で信条と宗教儀礼を披露した。ユダヤ教徒,イスラム教徒,カトリック教徒,東方正教徒,仏教徒,シク教徒と並び,末日聖徒のスカウト10人が,約2万人の参加者に向かうステージで『神の子です』を歌った。ステージ上の巨大3面スクリーンには,スカウトの共通語である英語とフランス語で歌詞が表示された。 

また,各宗教の代表者が,それぞれ自分の様式で祈る場が設けられた。その場にいた家族歴史部のジム・グリーン兄弟はこう証する。「教会からは,ニューヨークのステーク会長が祈りをささげました。その祈りを聞いたとき,わたしは神権の力を感じました。 

他の教会の人たちは,お経やその他の方法で祈りました。それぞれの心にある強い信仰心は理解できましたが,神権者が祈るのを聞いたとき,2万人のスカウトの集まりに神の力が下るのを感じることができました。 それは非常に霊的な経験でした。」 

世界ジャンボリー会場での聖餐会 

その日の午前 11 時,さまざまな国からジャンボリーに参加している末日聖徒のス カウト約500人が集まり,国際色豊かな聖餐会が開かれた。中央若い男性会長のオーウェン兄弟が司会をする。世界中から4人 の若い男性が招かれ,壇上に立って証した。 ミャンマーのハイ・ソー兄弟,ナイジェリア のチャールズ・ウコー兄弟,日本の藤原心兄弟,アメリカのジェレド・ウォレット兄弟。

そしてオーウェン会長ご夫妻と青柳長老が壇上に立つ。それらは英・仏・日・韓・中の 5か国語に同時通訳された。世界に広がる末日聖徒の縮図が,そこにあった。 LDSボーイスカウト協議会事務局長の服部行彦兄弟は,熱中症にかかる人も多くいる中で,野外にて直射日光の当たらない聖餐会の場所を確保するのに直前まで腐心した。

 「もう本当にびっくりしました。何人来るかはまったく分からずに,祈るような気持ちで(準備)しました。実際に人が集まって,めいっぱい端から端まで座っているのを見て,とっても感激しましたね。 500名を超えたと聞いて,すごいと思いました。」 

教会の展示ブース 

教会は長年にわたってスカウトプログラムに関与・貢献してきた。スカウトは信仰を持つことが奨励される。その一環として,世界ジャンボリー会場に信仰奨励エリア(展示会場)が設けられた。教会もその一角に出展 し,訪れた世界中のスカウトたちに教会の信条を伝えた。 

「20の宗教団体が,それぞれのブースを設置しています。信じる宗教は異なっていても,皆が神を信じ,皆が神の子供であり,互いに助け合っていることを,若い人たちに 示したいと思います」と,教会のブースの責任者であるグリーン兄弟は語る。「多くの若いスカウトがここに来ますが,彼らは神について理解していません。神を信じてさえいない人もいるかもしれません。彼らは宗教が世界の戦争の原因であると思っています。 ですから,異なる宗教団体が協力し合う姿を示すことによって,若者たちは宗教の良さを 理解し始め,神を信じ始めることができるよ うになるのです。仏教徒,イスラム教徒,ユ ダヤ教徒とともに働きながら,わたしたちが協力できることや,皆が一つの神を信じるこ とができることを示しているのです。 

仏教やイスラム教,その他のキリスト教以外の宗教を信じるスカウトたちが最も霊感 を受けたメッセージは,人は皆神の子供であり,皆一つの家族であり,一つの家族として, 協力して平和で心の通い合う世界を築くこ とができるというものです。キリスト教徒以外の人々にとって,それはとてもすばらしい メッセージでした。 

教会のブースで若い人たちに最も強い印象を与えたのは,救い主の画像,特に,救い主が悩みを抱えた若者のそばに腰かけ,励ま している様子を描いた絵です。『救い主はわたしたちを愛しておられる。だから救い主

はわたしたちを助け,高めてくださる』というその絵の主題は,全ての人の心に響きました。」

このブースでは,インターネットに接続されたタブレット端末を使い,アプリ上で「わたしの家族」に自分の家族の情報を入力し, その成果をメールで自宅に送るというコーナーも設けられた。アジア北地域家族歴史部の杉本圭司部長はこう話す。「わたしたちのブースの展示意図は,(来訪者たちは)エリヤの御霊を通じて十分に感じ取っていると思います。やっぱり先祖は大切なんだと。父母や祖父母の受け継ぎがあって,自分たちはこの世に生かされているのだなと。」 

グリーン兄弟はまた,「教会のブースでの経験の中で最も印象的な経験は,ドイツから来た若い男性との経験です」と語る。「彼 はわたしの所にやって来て,末日聖徒が信じ ていることを教えてほしいと言いました。 

わたしは信仰箇条を紹介しました。『わた したちは……「聖書」は神の言葉であると信 じる』というところまで話したとき,彼はそこでわたしの話を遮 り,わたしを見てこう言い ました。『聖書の言葉全てを信じているのですか。それでは,聖書の中のおとぎ話も全部 信じているというのですか。』 わたしは言いました。『では,さっき言いかけたことを続けましょう。わたしたちは正確に翻訳されているかぎり,聖書は神の言葉だと信じています。でも末日聖徒の教会には,モルモン書と呼ばれる,イエス・キリストの もう一つの証もあるのです。』 それからわた しはモルモン書について説明しました。

 『奇跡や,多くの人がおとぎ話だと思っている聖書の出来事は,神の力により実際に起こったことです。奇跡とは単に人間が理解していないことなのです。もしわたしが2000年前の世界に行ってマッチで火をつけたら,マッチを理解していない人々はわた しを神だと思うでしょうね。神の力を理解 している人は,奇跡は人を祝福するものだと知っているのです。もし神様に対して心を ―耳や目ではなく―「心」を開くなら, 神様は語りかけてくださり,神様が話される言葉を聞くことができます。今わたしが君に話したことを信じたければ,時間を取って神様に尋ねてみてください。』

彼はしばらく考えてからこう言いました。 『今まで宗教についてそんなふうに話してくれた人はいませんでした。神様に尋ねてみ ます。』―それはわたしにとって,とても貴重なひと時でした。」 ◆