リアホナ2015年3月号 街に突然響く120人のクリスマスの歌声

街に突然響く120人のクリスマスの歌声

─日本の玄関都市,千葉県成田市で宣教師らが『フラッシュ・モブ』を実施

クリスマス気分も盛り上がる昨年12月23日の正午,千葉県の成田国際空港からほど近い大型商業施設のフードコートは昼食を取る買い物客でにぎわっていた。そのとき,黒い名札を着けネクタイを締めた外国人の二人の青年が立ち上がり,おもむろに英語で歌い始める。「Joy to the world……」歌の途中から,その場で食事をしていた外国人や日本人たちが次々に立ち上がり,歌声に加わる。「─もろびと こぞりて 迎えまつれ」日本語の歌詞に切り替わる頃には,総勢120人の群衆のコーラスへと広がっていた。

これは,千葉ステークで企画され,教会としては日本初の試みとして行われたサプライズイベント,フラッシュ・モブ※1の一幕である。地元の皆さんにクリスマスの精神を届け,教会を知ってもらいたいとの思いから,教会員であるなしにかかわらず気軽に参加できる活動として計画,実施された。前日までに43人の宣教師が協力してくれることが分かった。facebook※2の呼びかけに応えた日本人の参加希望者は33人。ところが当日には80人近くの日本人が集まり,用意した100枚の楽譜もすぐに足りなくなった。NHKの取材カメラも入り,40秒ほどではあったが,トピックスの一部として全国ネットで放映された。

商業施設側との交渉から取材のアレンジまでイベント全般を担当した千葉ステーク高等評議員の池田和政兄弟に伺った。「英会話の生徒さん,お友達やその親御さん,子供さんなど,喜んでたくさん参加してくださり,宣教師との関係も強くなったように感じました。宣教師には事前に『終了後もしばらくフードコートにとどまって食事をし,周りの人々と話ができるようにしてください』とお願いしました。あちらこちらで教会の紹介やパフォーマンスについて話していたので,良い種まきになったと思います。多くの買い物客は,パフォーマンスの間当惑したのか,『わたしは何も見ていない』という表情で下を向いてただ食事をしていました。(でも)後のNHKのインタビューでは笑顔で『すばらしかった』と答えておられました。」

このイベントは,宣教師が持つタブレット端末などのデジタルメディアを利用し,facebookをはじめとするSNS※2を通じて参加が呼びかけられ,当日の模様を収めた動画はYouTube※2で公開されるといった,いわゆるデジタル伝ミッション道の側面もあった。「集合場所,時間,歌の内容など情報共有のため流しましたが,教会員の間での情報共有ツールとしてはまだ(活用が)不十分かも。けれども,日本の会員だけでなく宣教師を含め,広く一般に知らせるにはSNSは良いツールだったと思います。」(池田兄弟)

また,NHKの取材が実現した経緯について池田兄弟はこう語る。「2週間ほど前から8つのマスコミ各社に取材依頼をしていました。全国の会員の方々が『黒い名札をつけて賛美歌を歌う宣教師の姿』をテレビで見たら,どんなに感激するだろうかとわくわくしました。公共放送のNHKが全国ネットで『キリストの誕生をお祝いするパフォーマンス』を報道してくれたことに大きな意味があると感じます。『あなたがたがわたしの名によって父に求めるもので,あなたがたにとって必要なものは何でも,与えられるであろう。』(教義と聖約88:64)主が望まれることなら,どんなに難しそうでもそれはかなうことを再認識しました。祈った結果として,最良の報道の機会が与えられたのです。参加した方からも『すばらしい経験をさせていただいた』とお礼を言われました。」

YouTube(左下)では当日の準備段階からの動画が見られる。IT技術の革新によって,世に教会を知らせる方法が変化し,会員が気軽に情報発信できるような時代になった。発信する側も受ける側も,多くの祝福を受ける機会がさらに広がっている。◆

※1─フラッシュ・モブ:インターネット上や口コミで呼びかけた不特定多数の人々が申し合わせて,雑踏の中の歩行者として通りすがりを装って公共の場に集まり,前触れなく突如としてパフォーマンス(ダンスや演奏など)を行って周囲の関心を引き,その目的を達成するとすぐに解散する行為(出典:ウィキペディア)


※2─インターネットを通じ,メッセージや画像・動画などの情報を共有する機能によって人と人とを結びつけるサービスを,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)という。記事中のフェイスブック(facebook)や動画共有サイトのユーチューブ(YouTube),他にツイッター(twitter),ライン(LINE)などが代表的