リアホナ2015年6月号 おばあちゃんの奇跡

おばあちゃんの奇跡

東京ステーク 浦安ワード 吉橋桃姉妹

おばあちゃんの奇跡の始まりは,5月7日 のことでした。

その日おばあちゃんは,宣教師と約束をしていました。足が悪いので,そういう活動にはいかないようにと言われていたのですが,内緒でしていたそうです。おじいちゃんは仕事をしていたので,内緒の奉仕がばれることはありませんでした。

その日は調子が悪く,おばあちゃんはいすに座っていました。すると,目の前の観葉植物が揺れたのです。変に感じたおばあちゃんは,居間に向かいました。すると,竜巻のようなめまいに襲われ,おばあちゃんは倒れてしまったのです。

這っておじいちゃんに電話をして,「調子が悪いから帰ってきて」と伝えましたが,そう急いで帰ることもできません。扶助協会の会長さんに連絡し,「今日は行けません」と伝えました。

おじいちゃんが帰ってきてくれ,心配した教会のひとたちから電話がきましたが,おばあちゃんは言いました。「ビショップと救急車を呼んで。」救急車に乗って,おばあちゃんは病院へと運ばれ,検査しました。経過を見ると,「異常はありません。」と言われてしまいました。困惑はしましたが,どこにも異常はないので,おばあちゃんとおじいちゃんは家へ帰りました。

ビショップに祝福を受けたあと,おばあちゃんは,内緒で奉仕をしていたことを話しました。そのときビショップは,「姉妹がした奉仕のことを,神様はご存知ですよ。」と言ってくれたそうです。

うれしくて,涙が出ました。

数日後まためまいがし,救急車を呼びましたがどこも悪くなく,納得できない気持ちを抱えながらおばあちゃんは帰宅しました。教会の姉妹が病院を教えてくれ,行ってみたおばあちゃんは,様々な検査をしてみたのに,異常はありませんでした。「どこも悪くないのにめまいがするというのは,精神の病気の可能性がある。こういう病気になるのはたいていが,ひとに気を遣っているひとです」と言われてしまいます。

おばあちゃんは精神の病気になるかもしれないと言われたので,おじいちゃんとビショップにすべてを話しました。内緒で近所の家に行き,食事を持って行っていたこと。教会で傷つくことを言われることもあるけど,それを言うとおじいちゃんが教会に行きたくなくなるかもしれないので,黙っていたこと。病院の先生に言うわけにもいかず,熊本の病院の教会員の先生に,電話でカウンセリングを受けることにしました。

5月の終わり。病院の点滴室にいたら,女の子が泣いていました。「点滴はずっと針を刺してるからやだ。」長い間針を刺すのが嫌だったようです。看護師さんが来て,「すぐ終わるわよ」と言われ,すると女の子はけろりとして,鼻歌を歌い始めました。看護師さんに呼ばれ,女の子は点滴を受けて帰ってきました。

おばあちゃんはその子に,「何のお勉強が好き?」と聞いてみました。女の子は,「図工」と答えました。おばあちゃんは,「そう。図工は思った通りに表現できるからいいね」とほめました。「ありがとう。」女の子はそう言い,部屋を出てゆきました。かと思うと数分後,また入ってきました。女の子はおばあちゃんのほうに来ると,かわいい紙のお手紙を渡しました。

『たちばなさんへ』

おばあちゃんはびっくりしました。名前は知らないはずなのに。

『げんきになってね。あいな』と,お手紙には書かれていました。その子は握手をしてくれて,おばあちゃんは大きなうれしさを感じました。

その日おばあちゃんは,前まで食べられなかったごはんを食べられました。今日の出来事をおじいちゃんに話すと,「天使だね」と言われました。

おばあちゃんは,夫婦で歩くようになりました。お医者さんに,「ふたりで外の空気を吸ってください」と言われたからです。

おじいちゃんはこのことで仕事を辞めたので,洗い物などをし,おばあちゃんのために奉仕しました。あの女の子のことがあり,おばあちゃんも歩けるようになりました。やがて,薬をぬくのも許されました。日曜日の昼の薬をぬき,聖餐会だけ行くことができました。

6か月ほどたち,おばあちゃんが通っている教会がなくなるという報せが来て,おばあちゃんは今回のことを証しようと思ったそうです。12 月の7 日,おばあちゃんは,やっと3時間プログラムに参加できるようになりました」と証をしました。

病気のおかげでいいこともたくさんあったと,おばあちゃんは言いました。この病気のおかげで,近所の人たちもいろいろしてくれて,ビショップもおばあちゃんを助けてくれて,教会の人たちも心配してくれて,本当に助かったと。

あのときの女の子のあいなちゃんが,手紙を書いてくれたこともうれしかったと言っています。

互いに助け合っていたら,自分になにかあったときに,必ず誰かが助けてくれるとおばあちゃんは言いました。

祈れば,神様はどんな奇跡でも起こしてくださるんだなと,そう感じてやまない素敵な体験談でした。◆