リアホナ2015年6月号 質問に答える簡潔な言葉─模範による宣教師のために

質問に答える簡潔な言葉─模範による宣教師のために

─十二使徒のネルソン長老,七十人のエバンズ長老を迎えてのディボーショナル

3月15 日,十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン長老,七十人のデビッド・F・エバンズ長老が東京で一般会員向けのディボーショナルを行いました。この集会はインターネットを通じて日本中のユニットに同時中継されました。そのおもなメッセージを抜粋してお伝えします。(編集室)

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エバンズ長老─神殿推薦状を常に保持する

エバンズ長老は,「神殿について話したいと思います」と切り出した。

2005 年,エバンズ長老はアジア北地域会長会の一員に召され東京に住むこととなった。そのとき,エバンズご夫妻の一番下の息子であるジェフが近所に住んでいた。

ある日,ジェフはエバンズ長老にこう告げる。「お父さん,今ぼくは神殿推薦状を持っていないんだ。でも心配しないで。ビショップと一緒に努力しているから。すぐに推薦状を受けられると信じてるよ。」

エバンズ長老はこう振り返る。「なぜ(神殿推薦状を)持っていないか,わたしは聞きませんでした。彼はその理由をいまだに話してくれません。」

しかし,1 ,2 か月するとまたジェフから電話がかかってきた。「お父さん,神殿推薦状を受けたよ。近いうちに一緒に神殿に行かない?」

「喜んで行くよ」とエバンズ長老は答えた。

翌日,エバンズ長老とジェフは東京神殿に参入した。ガラスの向こうにバプテスマフォントが見える席で儀式の順番を待っているとき,ジェフはこう言う。

「お父さん,神殿に入って,神殿にふさわしい平安を感じるのがどんなにすばらしい気持ちか分かる?」

「よく知ってるよ,ジェフ,お前を愛している。また一緒に神殿に入って,お互いに同じこの気持ちを感じられるのは本当に大きな祝福だね。」

エバンズ長老は日本全国の聴衆に語りかける。「今晩わたしが勧めたいのは,いつでも神殿推薦状を保持していることです。神殿が近くても遠くても,神殿推薦状を持つようにしていただきたいと本当に思います。いつもそのふさわしさを保てるように努力していただきたいと思います。

また,できる限り神殿に行くように計画して努力していただきたいと思います。神殿というのは神の家です。そこでわたしたちは主の御霊をよく,深く感じることができます。また,ふさわしい状態で神殿に入るといつも,御霊がすぐに感じられることを証します。」

エバンズ長老は,ネルソン長老が主の使徒であり預言者であることを証した。

「これは主イエス・キリストのまことの教会です。それがまだ分からなければ,今晩その御霊を感じてください。(そうするならば)今晩,これは真実だと理解できると,わたしは約束いたします。」

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ネルソン姉妹─聖約を尊ぶ 

ネルソン姉妹は,「聖約」について語った。主が語られるときにはあまり多くの形容詞を使われない,しかし御自分の民を形容するのに「聖約の民」という形容詞を用いられる。聖書には35 回,モルモン書にも35 回,「わたしの聖約の民」という言葉が出て来るという。「主はわたしたちを天の暮らしにふさわしい者とするために,『聖約』という言葉を使っておられるのです」とネルソン姉妹は続け,「聖約がどれほど大切か考えてみてください」と聴衆に問いかける。

わたしたちは前世で主と聖約を交わした。地上でも,バプテスマの聖約に始まり,神殿における聖約を含め,人生の途上で多くの聖約を交わす。またわたしたちの先祖も,儀式を受ける備え= 聖約を交わす備えができている。彼らは聖約を交わしたいと心から求めている,とネルソン姉妹は言う。

「わたしたちが地上にいる間に行うことの中で,主と聖約を交わし,それを守ること以上に重要なことはありません。わたしたちが関わる一つ一つの活動や,会う一人一人の人について,こう自問するとよいでしょう。『この活動,あるいは,この人は,わたしが聖約を守る助けになるだろうか。』わたしたちは,聖約が力を与えてくれることを知っています。そして,よくそのことを口にします。ですが,わたしたちは自分が交わした聖約を,心の中で正確に暗唱することができるでしょうか。」

ソルトレーク・シティーのカンファレンスセンターの奉献式にて,ゴードン・B・ヒンクレー大管長が語った言葉をネルソン姉妹は引用する。「『これからも度々,皆さんが独りでいるときに,心の中でホサナ斉唱を思い出してください。この言葉には大きな力があります。』……それは,神との聖約を交わす際に使う大切な聖なる言葉です。聖約の言葉を定期的に心の中で思い起こすなら,生活の中に大きな力がもたらされるということです。わたしたちは安息日に聖餐でそのようにしています。他の聖約についても同様に,聖約の言葉を心の中で思い起こすなら,どれほど大きな力が得られるでしょうか。」

東京便への乗り継ぎのためロサンゼルス空港に降り立ったネルソンご夫妻は,こんな標識を目にした。「この先,搭乗券をお持ちのお客様のみ」─「実はこの標識を見ると,言葉に詰まるほど感情が込み上げてきます」とネルソン姉妹は述懐する。

「わたしたちの聖約は搭乗券です。聖約を交わし,守ることにより,再び主とともに暮らすふさわしさを身につけることができるのです。わたしたちが聖約を理解し,覚え,さらに聖約を交わす備えをすることができますように。そしてそうすることにより,わたしたちがまことの神の聖約の民となることができますように。」

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ネルソン長老─教会についての簡潔な説明 

ネルソン長老が初めて日本の土を踏んだのは1951年であった。64 年後の今日,発展した教会が日本にあるのは,これまで日本列島で仕えた全ての宣教師の働きによる,とネルソン長老は感謝を表す。

「広い意味では,全ての会員は宣教師です」とネルソン長老は述べ,模範によって魅力的な存在になるならば,周囲の人々は教会について質問するようになる,と語った。「皆さんには,そういった質問に答える準備をしていただきたい,長々と説明するのではなく,短く答えていただきたいのです。」ネルソン長老は,長老自身がこれまで尋ねられたというテーマを列挙する。

「皆さんが教会のことを正確に,また速やかに説明できるようになるためです。」

【天におられる方々】─父なる神とその御子イエス・キリストが預言者ジョセフ・スミスのもとを最初に訪れられたのは1820 年でした。また御二方の指示の下,別の使者も天からジョセフを訪れられました。バプテスマのヨハネや,天使モロナイ,使徒のペテロ,ヤコブ,ヨハネ,そしてモーセ,エライアス,エリアも来られました。このような生い立ちのある組織は他にはありません。

【神会】─神会の御三方が御一人であるという誤った概念は,ニカイアの会議※ 1 に出席していた人々によって作られたものです。これは聖典に記されていない事柄で,論理的でなく,不可解です。実際のところ神会は,父なる神と,その愛する御子イエス・キリストと,聖霊という別々の御三方によって構成されています。

【主イエス・キリスト】─その贖罪は,全人類の歴史における最も重要な行いです。贖罪は,一つの短い文章にまとめることができます。「イエスの戒めを守るならば,イエスはあなたの罪の代価を支払ってくださいます。」神の子供であることの意味を覚えていてください。わたしたち一人一人には,神の性質があります。

【教会】─わたしたちの教会の唯一の主張は,簡潔にまとめられます。わたしたちは,イエス・キリストがもともと定められ,そして再び回復された教会です。

 時の中間においてイエス様がこの地上におられたとき,御自身の教会を組織されました。十二使徒を召されました。主が十字架にかけられ,使徒たちも亡くなってから,人間がその教義と教会を変えてしまいました。神権の権能は失われました。大背教の時代として知られるその時期,教会の組織が変えられただけでなく,父なる神に対する人々の理解をも曇らせてしまいました。

そして人生の目的に対する人々の理解をあいまいにしてしまいました。背教は,信仰と悔い改めの大切さをぼかしてしまいました。ネルソン姉妹が話した,大切な儀式や聖約についてもそうです。聖なる儀式や聖約は,失われたり,変えられたりしました。

現在,父なる神と主イエス・キリストの指示の下,純粋な教義と純粋な教会が回復されています。

【聖文】─わたしたちは聖書を信じています。また,モルモン書を信じています。どちらも神からのもので,神の御言葉が書かれています。どちらもイエス・キリストについての証です。わたしたちにはさらに,教義と聖約と,高価な真珠があります。これらを標準聖典と呼んでいます。さて,わたしたちは聖書を信じていないのかと聞かれることがあるかもしれません。もちろん信じています。実際,わたしたちは聖書を書いた人々と同じ宗教に属しています。救いと昇栄に関わる儀式を行う権能が,現在回復されています。また,教会を正当に管理できる人々もいます。

【キリスト教】─キリスト教は新しいものではありません。キリスト教はキリストがお生まれになるはるか以前から存在していました。アダムとエバに教えられた宗教はキリスト教でした。キリスト教はこの地球と同じほど古いものなのです。イエス・キリストは旧約聖書のエホバです。このイエスがシナイ山でモーセに十戒をお与えになりました。キリスト教の中心的な教義はわたしたちの希望を表す御父の言葉の中にあります。御父の業と栄光は,人の不死不滅と永遠の命をもたらすことです。御父のこの二つのすばらしい目的は,イエス・キリストによって可能となりました。イエス・キリストにしかこの贖罪を成し遂げることはできませんでした。なぜなら主は人間の母と不死不滅の父との間に生まれたからです。そのため,死ぬこと,そして死を克服する力を合わせ持っておられたのです。なぜこれらのことが起きたのだろうか,と皆さんも自問するかもしれません。その答えは次のテーマの中にあります。

【結婚と家族】─わたしは,結婚と家族を同じテーマとして扱います。結婚は,神の制度であり,神が定められたものです。アダムとエバは結婚していました。その結婚は永遠の結婚でした。神はその御姿に似せて男女を創造されました。夫と妻は対等のパートナーとして,ともに暮らすように造られました。それぞれが相手の足りない部分を補い,一人ではできないことを成し遂げるためです。ネルソン姉妹は前世の神の子供たちについて話しましたが,その子供たちは結婚や家族のおかげでこの地上に来ることができます。自分自身の肉体を持ち,この地球で人生を経験するのです。結婚と家族は神の幸福の計画において不可欠なものです。家族の愛や霊的肉体的な養いを得る望みは,人類を存続させるために欠かせないものです。

【生活における宗教】─わたしたちの宗教は日曜だけの宗教以上のものです。それは,生き方です。わたしたちは自由な意志と選択によって,感謝して,その生き方に従っています。主の民は他の民とは異なっています。ネルソン姉妹が説明したように,彼らは聖約の民とならなければなりません。これまでも常に周りの人々とは異なっていましたし,これからも常に異なり続けます。わたしたち教会員は,他の人々が宣言できない真理を宣言することができます。

わたしたちには神殿があります。神殿はいつでもバプテスマや聖餐と同じく,神の御業の一部でした。神殿における礼拝の様式はアダムとエバの時代に定められていました。モーセの時代の幕屋は神殿の前兆でした。旧約聖書には神殿での衣服や聖約について多くが述べられています。また新約聖書には死者のためのバプテスマについて述べられています。人々は,幕の向こう側にいる人のためになぜ神殿の業を行うのか,と尋ねるかもしれません。皆さんはそれに対して簡潔に答えることができます。

わたしたちは業を行います,そして幕の向こうにいる人々は選びます。わたしたちは自分たちの働きをなし,彼らはその賜物を受け入れることもできるし,拒むこともできるのです。なんと公平な教義でしょうか。御父がその子供たちのために備えておられる全ての祝福が,福音の知識を持たずに亡くなった人にも与えられるのです。皆さんも御存じのように,144 の神殿で儀式が行われています。144 の神殿で行われている儀式は,等しく結び固めの力を有し,また等しく有効なものです。

【救いの計画】─これは神の偉大な幸福の計画として知られています。わたしたちは前世での生活について知らされています。またこの地球にいる理由も知っています。またわたしたちは,日の栄えの栄光の中で再び生きることができると知っています。もしくは月の栄え,星の栄えの栄光の中でかもしれません。しかしこの世に生きた全ての人々は復活します。そして永遠に続く命が与えられます。わたしたちの人生のこの3 つのステージは,3 幕仕立ての劇に例えられます。もし第1 幕を見逃してしまえば,第2 幕で何が起こっているのか分からなくなってしまいます。3 幕全てを見なければ,その劇の意味を理解することはできません。救いの計画も同様です。わたしたちは前世,そしてこの現世での生活の後,来世の生活があります。現世というのはきわめて短いものです。

【女性の役割】─わたしたちは女性を敬っています。女性は教会で指導者として奉仕しています。ここにいる姉妹たちも教会で責任を持っていると思います。また家庭での責任のように,終わりのない責任もあります。姉妹たちは,教会の中央の扶助協会,若い女性,初等協会の会長会の責任を果たします。彼女たちは教会の中央役員です。わたしたちは彼女たちと密接に働いています。彼女たちの助言を求め,聞いています。教会で女性たちは祈り,宣べ伝え,教えています。神殿では儀式を執り行うこともあります。教会は,女性,子供,男性を等しく祝福するために存在します。結婚において,夫と妻は対等のパートナーです。どちらかが偉いわけではありません。

【人道支援】─ちょうど4 年前の今週,東北で大震災がありました。教会は速やかに,しっかり対応しました。今週は太平洋の島々でサイクロンが起こりました。バヌアツやフィジー,その他の島々がサイクロンによる大きな影響を受けました。皆さんの人道支援への献金は,4 年前の日本での震災のときと同様,確実に被災地の人々を助けるために使われることを知っていただきたいと思います。これらの献金は,神の子供たちを心から愛する教会員から惜しみなく寄せられています。

【断食日】─断食の律法について教えてあげてください。とても簡潔なものです。わたしたちは月に1 日,断食日に食事を断ちます。食べていたら使っていたであろうお金が,貧しい人々のために使われます。また次のような簡潔な言葉で答えることができます。空腹の人々を助けるために自分も空腹になることで,主の方法で重荷を分かち合うことができます。

【無償の奉仕】─教会の指導者は教会からどのようにお金をもらっているのか,あるいはお金をもらっているのか,と尋ねられるかもしれません。地元の教会員は皆,無償で奉仕をしている指導者から導かれます。この教会の会員は参加する者であり,傍観する者ではありません。救い主から無料で頂いたものを,無料で宣べ伝えています。この福音は価値をつけることができないものです。

【専任宣教師】─宣教師たちもボランティアであることを人々にお伝えください。彼らは多くの場合,外国で,母国語ではない言語で働き,宣べ伝えています。現在8 万人以上の専任宣教師が奉仕しています。彼らの望みはたった一つ,人々の生活をより良くすることです。なんと簡潔でしょうか。

彼らは,地上に平和があるように,人々が互いに親しみ合うようにと唱道しています。彼らはイエス・キリストの純粋な教義を宣べ伝えています。彼らは古代における神の約束に不可欠です。それは散らされたイスラエルを集めることです。宣教師は人々にキリストのみもとに来るよう招きます。そして彼らが聖なる福音の神聖な儀式を受ける備えをします。彼らは,聖なる神殿で交わす聖約にわたしたちが従順であるなら,永遠の命という最高の賜物にふさわしくなれると教えています。わたしたちは,この偉大な業において教会員が宣教師のパートナーとなるように勧めています。全てのワードにワード伝道主任が召されるように,そしてワードの評議会がワード宣教師や伝道主任を熱心に助けることによって,宣教師が常に多くの有意義な約束を持って忙しく働くことができるようにと願っています。教会員は,周りの人々の中で誰が福音を必要としているのかを知っています。その方たちを宣教師と一緒に教える時間を作るようにお願いします。また宣教師が教えている方たちや彼らの友人たちと親しくなるようにお願いします。そうすれば,ともに教化されることができます。

「今晩わたしが皆さんに切に願うことは,皆さんが模範によって良い宣教師になることです。そうすれば,もっと皆さんのようになりたいと思う人々から,自然に質問が寄せられるでしょう。そのために,わたしは日本の聖徒の皆さんに使徒として祝福を求めます。皆さんが主イエス・キリストの言葉を味わうことができますよう,そして主の教えを個人の生活に当てはめることができますように祝福いたします。皆さんの家庭に愛がありますよう祝福いたします。皆さんの中に病気の方がいらっしゃれば,健康の祝福を求めます。それは癒やしの祝福です。これはそのような個人への主の御心により成就します。皆さんが信者の模範として生きることができるように,そして神殿の祝福に的を絞ることができるように祝福します。わたしは以上の祝福を皆さんに授けます。また次のことを証します。神は生きておられます。イエスはキリストです。この教会はイエス・キリストの教会です。トーマス・S・モンソン大管長は現在の地上における主の生ける預言者です。皆さん一人一人への愛を込めて,これらの祝福と証をいたします。」◆

※1─ニカイア公会議(325年)。さまざまな立場があったキリスト教の教義の混乱を収拾すべく開催された初の全教会規模での会議。三位一体説をはじめとするニカイア信条が採択され,従わない教派は異端と見なされた。