リアホナ2015年12月号 fsyは,何のために開催されるのですか

fsyは,何のために開催されるのですか

 fsy のビジョン 担当 地域七十人恩田  豊長老に聞く

2 011年のefy,2013年のsmycに続 き,2016年の夏に日本で3 回目となる青少年のためのプログラム,fsy(for the strength of youth─若人の強さのために)が開催されます。全国6か所で行われるこの大きなイベントは何のためにあるのか,なぜ今の日本の教会に必要なのか─fsyの全体を統括する地域 七十人の恩田 豊長老に伺いました。(編集室)

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松明が集まって……

恩田長老─ 2008 年秋の総大会でトーマス・S・モンソン大管長は,パナマ・パナマシティー神殿,アイダホ州ツインフォールズ神殿の奉献式の前の文化行事に触れました。パナマでは900人の,アイダホでは3,200人の青少年のよく準備された発表を賞賛しました。「わたしはこのような催しを支持します。青少年を決して忘れることのできない何かに参画させてくれるからです。
そこで生まれた友情や思い出はいつまでも消え去ることはないでしょう。」※ 1


2014 年春の総大会でも同様に,アリゾナ州ギルバート神殿の奉献式前日の文化行事における1 万2,000人の若者について話されました。「見事なダンスや歌,音楽の演奏が披露されました……青少年はずぶぬれになり,寒さに震えましたが……寒さと雨にもかかわらず,この催しは,信仰に満ちた,霊を鼓舞する経験となりました。あの若者たちにとって大切な思い出となり,将来,子供や孫に語られていくことでしょう。」※ 2


この若者たちだけじゃなくて,わたしたち大人にも人生のイベントってあったと思うんですよ。わたしにとって,スペンサー・W・キンボール大管長がいらっしゃって東京神殿の建設が発表された1975年の日本武道館の地域総大会とか,福岡神殿の奉献のときに来られたゴードン・B・ヒンクレー大管長,そういうことは忘れることのできない大きな思い出になっていますね。


モンソン大管長の言葉を読むと,fsy は,彼ら若い人たちのこれからの人生,信仰生活の中で,決して忘れることのできない大きなイベントになる,と思います。14 歳から18 歳までの青少年のみならず,ヤングシングルアダルトの30 歳未満の若者たちにとっても,(カウンセラー※ 3 として)このfsyに携わった,参加したという思いは,将来自分の子供や孫に語り継がれる大切な伝統になると思うんです。


また,自分の子供だけではなく,お互いに語り継ぐ。この同じfsy(efy/smyc)に集った同窓会みたいなことが今でも行われているんです。わたしは前回smyc のセッションディレクター※ 4 でしたけれども,カウンセラーだった人たちは今でも(当時の)青少年と交流が続いていて,2 年後の現時点で自分のカンパニー※ 3 だった子が7人も伝道に出ました,とか教えてくれるんです。
伝道に出る子をカンパニーやカウンセラーの子たちが一緒にお祝いしたり,東京神殿に参入するときに一緒に集まったり。たぶんわたしたちの知らないところで日本国中,何十何百のカンパニーでそういうつながりがまだ続いているというのは,ちょっと感動的ですよね。例えば地方で,支部でただ一人の青少年として集っていても,仲間がいるんだというこの力強い思いが彼らの信仰の糧となり,つらいときに,この思い出が彼らを踏ん張らせてくれるのかなと。


昔の日本宣教師訓練センター( JMTC)では多くても30人40人の集まりでした。今ではユタ州プロボの宣教師訓練センター(MTC)に行くようになって,日本の子たちも1,000人単位の宣教師に会っているんです。その感動,心強い思いというのは必ずあると思います。わたしも,伝道部会長に召されたときに1週間だけ訓練でプロボへ行ったんですけれども,そのときにユースのタバナクル合唱団みたいなのがあって,100人,200人単位のコーラス隊が歌ってくれるんです。その霊的な迫力には感動しました。一つ一つの松明が集まって大きな火になって,小さな野火が大きな輝き,光となって圧倒するような力になる。青少年はfsy の1週間でそういう経験をするのではないかと思います。それがモンソン大管長がお感じになっている,また推奨している大きなものではないかなと感じますね。

預言者のビジョン


現在の生ける預言者の言葉が一番優先順位が高いんです。モンソン大管長がおっしゃっていることが過去の預言者と違っていたとして,同じ神様からの啓示なのに,と見てしまうと,わたしたちは本質を見抜けないと思うんです。社会が全然違っていますしね。ブリガム・ヤングの時代の永代移住基金は,今は永代教育基金になりました。このように過去の指示は応用は利きますけれど,過去の預言者の言葉は過去のことだから。ブルース・R・マッコンキー長老は,わたしの言った言葉は捨てなさい,とすごくはっきりと言ってるんですけれども。

モンソン大管長が今,何を言われているのかを研究すると,わたしたちは神様の御心がよく分かります。その預言者が,最初に挙げたように,神殿の奉献時の文化行事といった若い人たちの活動のことを不思議と毎回話すんですよ。なぜだろうなってぼくはずっと思っていたんだけれど,神殿の大切さだけではなく,(若い人に忘れられない経験をさせる,)そういうことの大切さも教えてくれているのかなと,あぁこれはfsyの一つのコンセプト(概念)を総大会でモンソン大管長がおっしゃっているんだなって強く感じましたね。

沿道でランナーに旗を振る

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ちょうど人生のマラソンを走っているような青少年やヤングアダルトは,わたしたち大人に道の両側で旗を振りながら頑張れーって応援されたら頑張れるでしょう。誰もいない所の坂道は苦しい。でも坂道に大人がいて一緒に上ってくれたら,若者は信じられないような力を発揮できると思うんですよ。だから,どれだけわたしたち大人が旗を振れるかにかかっているのかな。旗というとシオンの大義,まさしくわたしたちはシオンの旗を振っているんじゃないかと思います。
大人の皆さんがfsy やFR 活動に関して,全面的に助けてくださる方もいるし,またやるのかっていう方も正直いらっしゃるかもしれません。それに対して,日本の教会員みんなが沿道で旗を振れるようになったらいいなと。


これは青少年とヤングアダルト・帰還宣教師のための,神様からのすばらしい贈り物だと思っています。預言者がこういう形でfsyという環境を提供してくれているから,わたしたちはプレゼントとして,喜んで受けたいな,と思います。

洗練されたシンプルなプログラム


fsy の目的は,キリストのもとに来るために努力をする青少年とヤングシングルアダルト=リーダーを強めるため,個人的な啓示を受けられる環境を提供することです。

楽しい活動と霊的な活動がちょうどバランスよくあって,霊的なものを子供たちが受け入れられるように最初の2日間でこの世の垢を洗い流して。それからバラエティーショーとか音楽プログラムとか証会とか,彼らが自発的に自らの潜在能力を発揮し,5日間の中で大きく変わっていく。過去2回,その効果は参加した全ての人が証として実感していると思うんです。BYU(ブリガム・ヤング大学)が何十年にもわたるefy(especially for youth)の経験を積み重ねて,良いものは成長させ,うまくいかなかったものはなくして洗練させていったので
しょうね。fsy は,基本的なプログラムはefyと変わらず,今の最善と言えるものを提供しています。

日本では最初はefy で,次にsmyc,fsyと地域会長会からもう承認されています。過去2 回の人々の働きの上に立って,わたしたちは3度目の正直に向かっています。大変だったのは過去のことで,今回は本当にシンプルにできると思うんです。ホップ・ステップ・ジャンプで,今回のfsy が一つの基準,スタンダードとなって続いていくのかなと思っています。

fsy が定例化されてきたら,実施に当たってのヤングシングルアダルトの訓練は,それぞれ地元の伝道部で十分できます。帰還宣教師であればほとんど訓練されているから,決まったプログラムをカウンセラーとして十分こなしていける。会場を借りるにしても施設側と,「毎年この季節は教会が入りますから」と定例で予約できる関係を築けたら,もう会場を探さなくていい。

ユースカンファレンスの実行委員会で毎回,あぁでもないこうでもないと青少年がやっていますが,そういう意味ではfsy はユースカンファレンスより楽です,プログラムはもう決まっていますから。このプログラムはすごくシンプルで楽で,ある意味では簡単にできるシステムですよ。実際,アメリカのefy のセッションディレクターは前日くらいに会場入りします。毎年,一夏に幾つもセッションをやっているから慣れているんです。

例えばインターハイや甲子園がありますね。あれは毎回同じことをしていて,でも感動がありますよね。末日聖徒の青少年とヤングアダルトにとってのfsy は霊的な甲子園のようなものです。青少年にとって,今年はユースカンファレンス,来年はfsy と定例化したら,もうそれが彼らの一つの目標になる。青少年とヤングアダルトの共通のお祭りとしてfsy がある。そうなったらすばらしいですね。それが日本の霊的な自立,成熟のバロメーターになるのかなと,そんなふうに思っています。

先ほど言った,最初の2日間でこの世の垢を落とすというようなことは,実はもう始まっています。1年前から,「成長するわたし」や「神への務め」を,fsy へ参加する前にぜひやってほしいと盛んに強調しているのはそういう意味です。もし,参加する前から世のいろいろなものをそぎ落として来ているのであれば,この5日間がもうフルに彼らの訓練になるわけですね。そうすると,青少年たちの成長はどのくらいになるのか計り知れないと思います。宣教師がよく,伝道の2 年間の自分の成長は20 年分と同じぐらいでしたと言います。それくらい凝縮して訓練される2年間なんですね。同様に,青少年にとってこの5日間が,どのくらい凝縮された訓練の機会となるかは,その子たちの,また周りの指導者や親御さんの心構えと備えにかかっていると思います。

過去を振り返っている時間はない


─最近の総大会では,あなたが過去どのような人であっても,贖いに頼るなら問題ではない,といったメッセージを多くの中央幹部が語っています。


それは急を要することなんだと思います。贖いの力について近年,ベドナー長老にしてもホランド長老にしても,ウークトドルフ管長にしても,もう本当によく説明してくれています。だから贖いの力について理解したら─例えば,過去のことは忘れることができる。忘れるというのも贖いの力です。そうでなければ過去の自分の間違いを忘れられないし,人の犯した罪も忘れられなくて赦すことができない。贖いの力をもっと本当の意味で理解してくださいというメッセージなのかなと思います。


マザー・テレサの言葉に,「人のことを批判していたら愛する時間がなくなってしまいます」※ 5 とあります。だから,主の再臨は近い,優先してなすべきことは何かというときに,わたしたちが過去にこだわったり人を赦せなかったり,そんなことをしていたら,人を愛する時間はもう本当に少ないんだと思うんですよ。人を愛することは福音を実践するということだから。


わたしは小学校の先生から何を教わったかはあまり覚えていません。でも,あるとき先生が示してくれたキラっとした愛とか思いやりといった,その先生のパーソナリティーは,三つ子の魂百までで忘れないですよね。親が子を教えるのもまた,そういうことだと思います。
─ fsy の会場でカウンセラーや青少年が実践するのも,愛することや思いやることですね。

それは,もう過去は忘れて福音を実践しなさい,贖いの効力を受けなさい,ということです。パウロの言葉に,「後のものを忘れ,前のものに向かってからだを伸ばしつつ,目標を目指して走り,キリスト・イエスにおいて……神の賞与を得ようと努めている」※ 6 とあります。そういう時代なんですよ。なぜならば,再臨が近くて,再臨に備えるという時代の次のステップ,福千年で働くという時代になっているからです。

力強く進む


「キリストを確固として信じ,力強く進む」というのが今回のfsy のテーマであり,ミューチャルのテーマでもあるんです。キンボール大管長の「歩幅を広げなさい」という有名な言葉があります。わたしたちは歩みを速める,歩幅を広げることも含めて前進することが必要です。これはやっぱり主の御心なんだろうなと強く感じますね。わたしたちが過去にこだわらなければ,すっと一致して,主の業に献身できるのかなと思います。


ゴードン・B・ヒンクレー大管長は就任時のインタビューで,“Carry on, carry on carry on”と言われました。日本語ではまさしく「続け,励め,進め」※ 7 ですね。BYUが開発したefy が良いプログラムなので,神権プログラム(fsy)となり,日本でもできる時代になりました。この贈り物をCarry on, carry on と,わたしたちが次世代へ手渡していかなければならないのです。◆