リアホナ2015年4月号 十二使徒のバラード長老が日本を訪問

十二使徒のバラード長老が日本を訪問

ラズバンド長老,スティーブンソンビショップとともに

この2 月中旬,アジア北地域のエリアレビュー(視察)のため,十二使徒定員会のM・ラッセル・バラード長老が,七十人会長会のロナルド・A・ラズバンド長老またゲーリー・E・スティーブンソン管理ビショップとともに来日した。

一行は名古屋と東京で宣教師や指導者を訓練し,幾つかのステーク特別大会を管理したほか,一般会員とのディボーショナル(礼拝集会)に臨んだ。会員ディボーショナルの模様はインターネットを通じて多数のステークセンターや集会所に生放送された。それら日本の聖徒へのメッセージの抜粋は本誌ローカルページ p.3以降に掲載されている。

バラード長老,ケネディ駐日米国大使を訪問

2 月23 日,バラード長老,ラズバンド長老とマイケル・T・リングウッド地域会長は,キャロライン・ケネディ駐日米国大使を赤坂の米国大使館に訪ねた。米国大使館をワードのエリアとしてカバーする東京ステーク渋谷ワード扶助協会会長のジェンセン光江姉妹も同行した。

ケネディ大使は,1960年に就任したジョン・F・ケネディ米国大統領(第35 代)の娘として知られる。また,歴代の駐日大使の中では初の女性大使として赴任している。会見では,女性大使らしく,社会における女性の役割が話題に上がった。ジェンセン姉妹は扶助協会の働きを紹介した。ケネディ大使から「具体的に地元ではどのような活動をしているのですか」との質問に,ジェンセン姉妹は渋谷ワードの扶助協会で行ってきた募金活動や,東京ステークの姉妹たちがキルトを縫って毎年孤児院から卒業する子供へ贈っているステッピング・ストーンズ(facebook.com/LDSSteppingStones)の活動について紹介した。

バラード長老は2 年前にベトナムで教会の伝道活動が開始されたことに触れ,日本で働く宣教師の数と世界中で奉仕する宣教師の数について話をした。そして,福音を伝えることの大切さを強調し,自身は十二使徒であることを伝えた。

ケネディ大使は「大使館の中にも多くの教会員が職員として働いています。彼らはとてもすばらしい人たちです」と称賛した。

また,バラード長老は教会の中で奉仕する姉妹たちについて説明した。「最近,わたしたちの教会の女性の立場について,多くの意見が語られていますが,わたしたちの教会の中でも,女性はとても重要な位置を占めています。教会には女性によって構成されている扶助協会と呼ばれる組織があります。扶助協会は女性による組織としては,世界で最も大きなものです。扶助協会の女性たちは,家庭を強め,困っている人を見つけ,助けの手を差し伸べ,奉仕活動に取り組んでいます。」

さらに続けて,女性の活躍に関連してケネディ大使への賛辞も贈った。「ケネディ大使も日本に赴任した駐日大使としては,初めての女性大使です。女性の働きについて門戸を開いてくださったことに感謝しています。」

ケネディ大使はバラード長老から「大使としての観点から,今の日本で求められている奉仕活動」について尋ねられた際,教会が行ってきた人道支援活動に関心を示された。バラード長老は,モルモン・ヘルピングハンズの活動の紹介,そして,東日本大震災のときに教会が行った奉仕活動とその規模について話した。

会見を記念し,バラード長老からケネディ大使には,ケネディ大使とご両親を象徴するような,父親と母親に守られる中で歩いている幼い少女の像が贈られた。

スティーブンソンビショップ,山谷えり子特命担当相を訪問

同2 月23 日,スティーブンソン管理ビショップは,アジア北地域会長会第二顧問のスコット・D・ホワイティング長老とともに内閣府を訪れ,安倍内閣の特命担当相(防災担当)の山谷えり子大臣を表敬訪問した。

二人を大臣室へ招き入れた大臣は「震災のときにはいろいろと助けてくださってありがとうございました。わたしの息子も宮城県でボランティアに従事したのですが,疲れを知らないのかと思うほどに働いている皆さんの活動(モルモン・ヘルピングハンズ)を見て,感動していました」と歓迎した。

会談の中で何度も「ありがとう」を繰り返す大臣に,ホワイティング長老がスティーブンソン・ビショップを紹介する。「スティーブンソンは,東北の震災が発生したときに東京に住んでいました。そのため,東北の震災のときには彼が中心になってさまざまな活動を行いました。現在はユタ州のソルトレーク・シティーに住んで,世界中のあらゆる場所で人道支援活動を行う責任者として働いています。」

大臣から教会の人道支援活動について尋ねられたスティーブンソンビショップは,教会が全世界で展開している5つの大きなプロジェクトについて説明した。

「予防接種の提供,飲料水への浄水化,難民問題への支援,食料問題の解決,視覚や視力の改善活動などを行っています。わたしたちは物資による援助も必要だと思っていますが,最も大切なのは,支援を受けた方々が自立して仕事に携われるようになることだと考えています。また,日本国内には多くの宣教師もいますので,災害時にボランティアが必要になった際には,彼らの助けを提供することもできます。」

訪問を記念して,スティーブンソンビショップとホワイティング長老から山谷大臣へ,今回の訪問のために準備された砂時計が贈られ,アジア北地域広報部ディレクターからの説明が加えられた。「教会は自立を支援するために,宮城県の漁協を中心に復興のお手伝いをさせていただきました。この砂時計の砂は津波によって被害を受けた地域の海岸の砂です。教会員のボランティアは合計で約60 万時間の奉仕活動を行いました。それを表すように約60 万粒の砂が入っています。被災地ではあたかも時間が止まったかのように,なかなか復興が進みませんが,それでも少しずつでも,砂時計の砂が落ちるように,人々は前へ進もうとしています。この砂時計は,わたしたちの東北での奉仕活動と被災された方々への思いを象徴しています。」

山谷大臣は砂時計の砂を見ながら「たくさんの尊い命が失われたことも感じさせますね。多くの方々が亡くなった場所で,皆さんが人々を助けてくださったことに改めて感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんの活動や助け合っている姿を拝見していますと,世界中の人たちが家族になるような活動をしているような印象を受けます。皆さんは,ギブ・アンド・テイクではなく,『ギブ! アンド・ギブ! アンド・ギブ! アンド・ギブ!』という感じですね」と声を高めて感謝を伝えた。

「わたしたちは若い頃に宣教師として日本に来て,日本が大好きになりました。日本からたくさんのことを頂いているので,恩返しがしたいと思っているんです。日本の人々を愛しています。将来,日本国内で災害が起きたときには,わたしたちは喜んで大臣を支援させていただきます」と語るスティーブンソン・ビショップとホワイティング長老。

山谷大臣は二人との別れ際に「とても励まされました」と固い握手を交わした。◆