リアホナ2014年9月号 東京国際ブックフェア ─開かれた門戸がどこにあるか知らせる

東京国際ブックフェア ─開かれた門戸がどこにあるか知らせる

(地域広報部)

2014 年7 月2 日から5 日にかけて東京ビッグサイトで開催された,第21 回東京国際ブックフェアに,アジア北地域広報部が3 回目の出展をした。「モルモン書─イエス・キリストについてのもう一つの証」のテーマに加え,教会が制作し無償で提供している,救い主の生涯の短編映像シリーズ 「聖書ビデオ」(Bible Videos)と,そのタブレット用アプリケーションソフトウェアも紹介された。また,1909 年に出版されたアルマ・O・テーラー訳の「モルモン経」初版本と,レプリカの金版が展示されたほか,60インチの大画面で,モルモン書の世界を映像化した映画「証─一つの群れ,一人の羊飼い」が上映された。ガイドを務める教会員によって4 日間の会期中に1,000 冊のモルモン書が来場者へ贈られた。

「東京国際ブックフェアでモルモン書を展示することにはとても大きな価値があります」とアジア北地域会長会第一顧問の青柳弘一長老は話す。広報部の優先的な目的の一つには「教会の品位を守る」というものがある。このように公的な場所でモルモン書の展示を続けたり,実際に手に取ってもらったりすることによって,「モルモン書=書店で売っていない,めったに目に触れることのない書籍」というイメージから,「誰もが入手できる身近な本」というイメージに変えていく。そうすることで,聖書と同様に,イエス・キリストについてのもう一つの証(モルモン書)を使うキリストの教会であることを伝え,誤ったイメージを払拭して教会の品位を守ることができる。誤った理解を持たれたまま隔絶されているよりは,門戸を開いて浅く広くでも伝えた方が,世の中における教会のより正しい理解と品位が確立されると広報部では考えている。

日本社会の関心を測る

ブックフェア出展では,これまで毎回,来場者へのアンケートが実施された。リフェローを得る目的ではないので,すべて無記名で行われる。今年,有効回答数が約850人であったアンケートには,「モルモン教会と末日聖徒イエス・キリスト教会が同じ教会であることを知っていましたか?」という設問や,「あなたが最も『関心のない』ことは次のどれですか?」という問いかけが並ぶ。

教会の認知度は昨年の調査からほぼ横ばいで変化がなかった。教会についての印象も同様である。※ 1 着目すべきは,教会について特に印象がない,という回答が64%に上ることである。聖文には,ジョセフ・スミスの名前が世において「良くも悪くも……語られる」 ※ 2 とある。日本社会においてはまだまだ「語られ」ていないことをこの数値は示しているのかもしれない。また,「関心のない」ことを尋ねるアンケートで多かった項目は,「生まれる前や死後の世界」( 9%:77 回答)であった。ブースに来場した約1 割は見えない世界に関心がないという結果は,日本社会のある側面を示唆しているのかもしれない。

広報部では毎年,回答の傾向を比較しながら,教会として的外れなことに焦点を当てて活動を展開してはいないかなどのリサーチを行っている。

「教会のあらゆる活動で伝道に関係していないものはありません」(青柳長老)と言われるように,広報も実は伝道活動とは密接な関係にある。「教会員や宣教師に先立って伝道を行いやすい環境を作る」のが広報ディレクターの役割である。会場でガイドを務める教会員と接点がなかったとしても,何万人という来場者にモルモン書が展示されていたことを記憶の隅に留めてもらうことは重要な意味を持つ。将来,宣教師や教会員と接点を持った来場者の何人かが,「確かブックフェアに出展していた教会と同じような気がする」という程度の認識を持ってくれれば─。幾つかのプロジェクトを通じて,人々の心に小さな準備の種をまくことも広報の大切な責任だ。「広報は伝道活動を行わない。」しかし,決して伝道活動の対極にあるのではなく,遠い先の着地点を見つめて,そこに至る伝道のための道筋をじっくり計画している。

教会は門戸を開くだけではなく,どこに門戸があるかを知らせる必要がある。その意味でブックフェアは,門戸がどこにあるかを人々へ案内する貴重な機会となっているのである。◆