リアホナ2014年9月号 アジア北地域に自立支援センターがオープン

アジア北地域に自立支援センターがオープン

─日本・韓国・グアムに同時開設,霊的な自立によって経済的に自立することを支援

去る7 月12 日,東京・渋谷ワード(渋谷区桜丘町28-8)の3 階に東京自立支援センターが開設され,テープカットが行われた。地域七十人の恩田豊長老をはじめ,関東地区の5つのステークの代表者,奉仕宣教師,自立支援スペシャリスト,アジア北地域自立支援サービス部のダーウィン・W・ハルヴォーソン部長らがテープにはさみを入れ,同センターのオープンを祝った。東京と時期を同じくして,アジア北地域のグアムと韓国でも自立支援センターが開設された。

自立支援センターとは何か,との問いに,ハルヴォーソン部長は,「それは職業支援センターではありません」と禅問答のように答える。「霊的・物質的な自立を支援する場です。つまり,霊的なものを考えながら仕事をどう探すか─仕事に就くスキルではなく,生活を変えるスキルをお伝えするのです。」職業支援と言えば,地域福祉部の雇用センターでこれまで行われていた,就職や自営業のためのキャリアワークショップのイメージが会員の間に根強い。しかし,東京自立支援センターマネージャーの淺井直也はこう語る。「今後は全く新しいカリキュラムに様変わりします。霊的に備える部分と仕事の部分をバランスよく取り入れ,両面で自立しようというものです。仕事では成功しているけれども,霊的に飢えて困っている人もおられると思います。『仕事に就いたから,もう日曜日に教会に行けない』『自分だけに頼って,仕事に就きました,神様を忘れていました』……ではなくて,神様に頼ることによって仕事を見つける,自立していくということを一緒に考えていきたいのです。」

キャリアワークショップのプログラムは新しいカリキュラムに吸収され,後継となる訓練プログラムが開始される。そこでは,80 本にのぼるビデオ教材を見ながら学ぶことになる。町田ステーク自立支援スペシャリストの藤木真兄弟は語る。「これから始まるプログラムは12 のポイントにわたるそうですが,そのうち半分は霊的なプログラムなのです。中央幹部が,『霊的な部分がメインでなければ,現実を司ることはできない』と言っています。霊的なものが重要であり,霊的な部分を通して経済的な自立を行なわれなければならないのです。」

淺井マネージャーは,「東京自立支援センター」という名称ながら,「東京のためだけのものではありません」と強調する。

「福祉というのは,ビショップ,ステーク会長に鍵が与えられています。(主から)その導きを受けることができるのは地元の指導者なのです。東京自立支援センターは全国の指導者の皆さんをサポートさせていただくところです。各ステークや地方部が自立支援委員会を開いて,ステークや地方部で自立支援センターができて,スペシャリストの方が会員の方へよく働きかけられることが理想です。全部のセンターが同じことはしないかもしれません。その地域,地域に合ったものを( 展開していくことができるでしょう)。それが本当の『支援』です。会員の方一人一人の自立支援サポートもさることながら,ステーク・地方部やワード・支部が自立して地元の会員を支援できるよう助けることもわたしたちの支援なのです。

東京自立支援センターとしては,神権指導者のサポートとともに,直接ここに来られる会員の皆さんもお手伝いしていきます。特に,わたしたちスタッフが平日の日中にお助けして,夜や週末は地元の指導者の方に助けて頂けたら,支援が効果的に広がるでしょう。また,センターはここ東京の仕事は紹介できますけど,地方から東京に人を呼んできてしまっては意味がありません。地元で仕事ができ,地元が活性化して,ワード・支部が強くなっていくことが理想だと思います。

東京ではこんなことをしています,名古屋ではこんなことを……とお伝えすることで,それなら自分たちのところではこんなことができるぞ,というヒントになればいいですね。例えば,名古屋では( 某自動車メーカーなどで) 仕事があるようです。そういう情報により,地元の指導者の皆さんと一緒にその会社に行って人脈作りをして,教会員を紹介できたらいいなと思っています。

東京でしていることを名古屋や札幌ではできないかもしれない。しかし札幌には札幌の,名古屋には名古屋の独自のニーズがあるでしょう。教会の中には就労支援関係やハローワークなどで働くたくさんの人材がおられるので,そのような方々ともコラボレーション(協働)しながら,困っている方々をお手伝いできるようになれればいいなぁと思っています。」

また居住地域にかかわらず,自立支援のウェブサイト ldsjobs.org 上に自身のプロフィールを登録することで,ネットを通じて求人情報を得ることができる。雇用者側も,登録プロフィールから人材を探すことができる。(現在は英語・スペイン語・ポルトガル語サイトが公開中。日本語の公開時期は未定)

ネットワーク作りの説明会

東京自立支援センターオープン前日の7月11日,同センターには20人ほどの兄弟姉妹が集まっていた。教会外の大手ハウスビルダーの社員がプレゼンテーターとなり,そこに建築の仕事に携わる教会員が参加する。「求人説明会」と銘打たれたその集会は,東京自立支援センターを通じて,建築業者と,住宅建築の職人である教会員間の交流とネットワークづくりを促すために開催された。

淺井マネージャーはこの会についてこう説明する。「自立支援サービスでは,誰かと誰かをマッチングするというよりも,ネットワークの場を設けていきます。それによって,企業と個人が知り合うだけでなく,同じ仕事の会員同士の横のつながりができます。『今後一緒に仕事をしましょうよ』という交流の場ができて,それが仕事につながっていく。ゆくゆくは教会員の生活の安定につながればと思っています。」

この日,会場にはある韓国人の兄弟が足を運んだ。日本語が堪能でないため仕事を得るのに悩んでいた。この会にも,「言葉が分からないから」と参加をためらっていた。しかし,奥さんと一緒に来場し,他の参加者とともに「大工は(言葉ではなくて)腕ですから」との話題で盛り上がっていたという。彼をこの会に誘った淺井マネージャーは言う。「(彼は)少しにこやかになりました。『自分にもできるかもしれない』という希望を持たれたようです。」◆