リアホナ2014年10月号 宮城県漁協に漁船の補修設備を寄贈

宮城県漁協に漁船の補修設備を寄贈

─東日本大震災から3年,教会の復興支援プロジェクトが一段落する

東日本大震災(2011年3月11日)被災から4回目の夏,宮城県漁業協同組合の石巻市荻浜漁港へ教会から,漁船上架設備が寄贈された。7月31日に落成式と寄贈式典が行われ,関係者約30人が参加した。教会からは,仙台伝道部へこの7月に着任したジェフリー・R・スミス会長ご夫妻と,仙台ステークの菅原誠一郎会長,アジア北地域自立支援サービス部ディレクターのダーウィン・W・ハルヴォーソン兄弟が出席した。

漁船上架設備とは,漁船をレール上の台車に乗せて電動ウィンチで海から引き揚げ,船底の清掃や船体の補修に当たるための設備である。船底には貝類などが付着して水の抵抗が増すため,年に1 度は高圧洗浄機で除去する必要がある。

かつて荻浜漁港にあった1 基の上架設備は震災に伴う津波によって全壊した。それから3 年を経た今年の春,荻浜漁港にスロープ状の岸壁が復旧する。そこに,10 トンほどの重さの船にまで対応できる上架設備2 基が新設された。宮城県漁協石巻地区支所の伏見眞司運営委員長は落成式典で,「(これまで)上架設備がないのはネックでした。豊かな海の幸を世界に届けられるように頑張りたい」と挨拶した。震災以来,この付近の上架設備は石巻港に1 基あるだけであった。そのため伏見運営委員長は,この設備を,荻浜漁港の漁船20 隻のみならず,この地区一帯の他の漁港の漁船にも利用してもらうと語っている。

震災への支援を振り返って

教会はこの3 年余り,緊急支援段階から復興支援段階まで,さまざまな人的・物質的な援助を東日本大震災の被災地に向けて行ってきた。ことに,漁業をはじめとする地場産業を復興させ,被災家族に自立の道を開く漁業・農業・林業支援,また教育・雇用支援に

粘り強く取り組んできた。教会の人道支援基金から大規模な支援がなされ,行政の予算規模から見ればささやかなその「やもめのレプタ」が地域社会の復興のため最も効果的に使われるよう,地域福祉部は地元の必要を精査して数々のプロジェクトを実施してきた。この漁船上架設備の寄贈は一連の最後のプロジェクトとなる。

教会が支援を行う際には,資材の調達も施工も地元業者に発注し,地元経済の活性化に役立つよう配慮された。また教会は東日本大震災において延べ3 万1,669 人のボランティアを被災地に送った。その交通手段や宿泊などの手配も東北の業者に委託し,地元に雇用を生むことを意図してきた。教会の基金とは別に,ボランティアたちが東北で個人的に消費したお金も経済復興に貢献した。また,多くの教会員が実際にボランティアに携わり,災害対応のノウハウを体得したことで,教会にとっても貴重な経験値を得る機会となった。

「災害からおよそ3 年半がたって,ここでようやく,これまでの日本(の教会)で一番大きな人道支援プロジェクトが終わるわけですけど,(これは)たくさんの,全世界にいる兄弟姉妹の献金によって成し遂げることができたものです。この援助によって直接的に(漁業や林業などの組合員とその家族,また雇用被支援者,奨学生など)7 万人以上の人々が,希望と,喜びと,明日に向けて歩こうという気持ちを得ることができたとわたしたちは理解しています。」─ハルヴォーソン兄弟はしみじみと述懐する。「それに携わることができたのは本当に大きな祝福だったと感じています。東北に行くと,すごく喜んで迎え入れてくれる人たちがたくさんいます。彼らのところに平安の日々が一刻も早く戻ることを,いつも願っています。」◆