末日聖徒イエスキリスト教会(モルモン教)リアホナ2014年10月号 GOEIGO 英会話 ─地域社会に根ざした教会へ

GOEIGO 英会話 ─地域社会に根ざした教会へ

(地域広報部)

水曜日の午後7時。仙台ステーク上杉ワードの多目的ホールに女性の声が響き渡る。「グッド イブニング エブリワン」─和やかな雰囲気の中,一言一言に歓声が上がり拍手が沸き起こる。集まったのは30人近くの英会話の参加者たち。下は就学前の小さな子供から上は退職した高齢者までバラエティに富んだ顔ぶれである。英語と日本語を織り交ぜながらの挨拶と歓迎の言葉が終わると英会話クラスが始まる。

18 歳のときの英会話がきっかけで改宗したという菅原史子姉妹は,2012 年に英会話コーディネーターとして召された。「英語は好きだけど全然。いまだに初級です」と笑う菅原姉妹だが,司会での英語はなかなかのものだ。

かつては宣教師が中心となって実施されていた英会話クラスだが,現在は会員が中心のクラス運営へと変化してきた。地域社会へのボランティアとして定着しつつある英会話は、参加者や教会員からも好評だ。

宣教師も印象を語る。「すごくいいですよ。教えることに集中できます。会員がいつも助けてくれますし,英会話の生徒と親しくなってくれます。宣教師が入れ替わっても英会話の質が変わらないのがいいところです」と,会員主導の英会話クラスを絶賛する。現在,菅原姉妹をはじめ数名の会員が英会話の運営に当たっている。さらに幾人かの会員が,入れ替わり立ち替わりだが,英会話に生徒として参加もしている。

菅原姉妹は英会話が始まる1 時間以上前に集会所にやって来る。初級,中級,上級クラスなど計5 つの教室に椅子と机を用意し,受付を設けて名札と出席簿を並べ,駐車場の立て看板や廊下の案内ディスプレーを設置する。一人,また一人とやって来る英会話の参加者に歓迎の言葉を掛けながらの準備である。純粋な奉仕としての英会話の方針が打ち出されたことで「とにかく,来て,楽しんでほしい。教会員であるとかないとかまったく関係なく,歓迎されているという温かい気持ちを感じてもらえるようにしたい」という思いになったという。

多くの人が通り過ぎる中で

会員や宣教師が模範となり,英会話クラスを通じて,福音を知っている者として地域社会へ奉仕し,教会や宣教師に対する良い印象を伝えることが提唱されている。参加者の中には,福音に興味を持つ人がいるかもしれないが,とにかく教会の門戸を広く開き,少しでも多くの人々を招くことに焦点が当てられている。いずれ英会話を学ぶのをやめる生徒がいたとしても,教会と宣教師に対して良い印象を持ちながら教室を後にしてくれることを意図している。

日本教会歴史を振り返ると,1970 年に大阪で開かれた日本万国博覧会(EXPO' 70)に教会がモルモン館を出展したことは,教会の発展に非常に大きな影響を与えた。半年間の会期中にモルモン館を訪れた入場者数は665 万8,532人に達した。万博を契機にどれだけの人が直接,改宗に至ったのかは詳らかでないが,1970 年から1975 年にかけて日本人の会員数は数万人の増加を見ている。

「きてごらんなさい(Come and see)」※ 1と救い主は言われた。一般の方が宗教施設へ足を踏み入れることに抵抗感の強い日本社会において,少しでも多くの人が教会に来て,宣教師や会員と話し,どのような雰囲気なのか,何が行われているのかを見てもらうことには大きな意義がある。上杉ワード英会話の受付テーブルには数多くの登録者の名札が並ぶ。東京や名古屋など,大都市圏のユニットの英会話には数百人の登録者がいるところも珍しくない。広く,浅く,たくさんの地域社会の人々が気軽に教会と接する。その中から自然と,「わたしの羊はわたしの声に聞き従う」※ 2      人が主によって備えられるかもしれない。

英会話は「福音を実践できる場で楽しいです」と菅原姉妹は話す。「一致を感じて愛を感じて。宣教師と一緒に働く祝福もあるし,教会外の人と親しくできる場でもあるし。すごく楽しいですね。」見返りを求めない菅原姉妹のオールウェルカムの精神こそが,地域に開かれた英会話を運営するうえで重要なマインドと言えるかもしれない。

「みんな会員ですけど,英会話の会員なので」という菅原姉妹の言葉が,会員と宣教師による新しい時代の英会話の取り組みを象徴している。◆