武蔵野ステークと福島ワード─東日本大震災から3回目のクリスマス
武蔵野ステークでは,東北被災地へのヘルピングハンズ活動を継続している。昨年暮れの12 月 7 日 ( 土 ),福島県伊達郡川俣町の農村広場仮設住宅に暮らしている住民約200軒へ1年ぶり5回目の訪問をした。今回初めて,地元・仙台ステーク福島ワードの会員も協力し,仮設住宅に暮らす方々へのクリスマスプレゼントとして,ハンドマッサージと傾聴サービス,音楽コンサート,合唱などを一緒に行った。
早朝 6 時,東京・吉祥寺の武蔵野ステークセンターに約60人のボランティアが集まり,一同の乗り込んだバスは一路,東北道を目指す。午前 10時過ぎ,一足先に現地入りした武蔵野ステークの6人と福島ワードの会員7人が,仮設住宅を一戸一戸訪問してプレゼントを届け,イベントの告知をしつつ,会場を整えた。
現地の方とすでに良い信頼関係を築いている「ヘルピングハンズ武蔵野隊」。とはいえ,最初の訪問時を振り返って実行委員長の齋藤博昭兄弟は語る。「自治会長の廣田さんからは,『わたしたちのことを知らない教会の方々がなぜ来てくださるのですかね? なぜまた来てくれるんですかね?』って聞かれたんです。」驚きというよりも,むしろ不審な目で見られていたかもしれない。しかし,2回目の訪問からその関係は大きく変化する。その経緯は以前掲載した記事に詳しく記載されている。※1
この日は寒い日で,はらはらと白い雪も降っていた。それにもかかわらず,多くの住民の方が時間前から集会場に集まる。最初は「一人でできるマッサージ」と題して,全員で自分の体をもみほぐしていった。さらに,(教会外から)毎回参加されているフルート奏者による演奏が披露される。別室では,武蔵野ステークが最も得意とする心温まる傾聴とマッサージが続けられた。最後には,全員が集会場に集まり,聖歌隊と住民の方々とでクリスマスソングなどを合唱した。
準備中に仮設住宅を回っているとき,一人の女性に呼び止められた。「いつもありがとう。もうあと2年(ここに) いなければなんねって(ならないと)言われたんよ。うそみたいでしょ……。足かけ4年になんね(なるね)。 3年目のお正月を迎えるんだもん。もう 2年(と言)ったらね,5回目の正月だもんねぇ。心の晴れる日はいつになんだろう……。」そのやるせなさをどこにぶつければよいのか分からない様子で話された。訪問時間の終盤に来場した川俣町の古川町長は,各戸へと帰る住民に「なるべく早く帰れるように頑張ります」と話していた。被災から3年,マスコミの話題に上ることも少なくなったが,現地の人々の暮らしを取り戻す道のりはいまだ遠い。◆