2014年2月号 主の御手に使われる─慰めの天使として

主の御手に使われる─慰めの天使として

下地美智子姉妹 那覇ステーク首里ワード

普天間ワードの上原家族はわたしたち家族をいつも助けてくださいました。自分が多くの試練でだめになりそうなとき,小さな子供たちを預け( めったにこういうことはしないそうですが) 夫婦で家を訪問してくれました。(2011年4月に病気で)亡くなった上原直人と 兄弟は言っていました。「下地姉妹,ぼくたちはワードも違うから,こんなふうに訪問しないでおこうと思えばできるけど,でもぼくたちは同じインスティテュートで学んだ仲間だから来たんだ。」わたしは彼らを見送りながら夜空を見上げました。星がきれいで,じっと数分見ていました。すると,心の中にあった苦しみが全部消えているんです。問題はありましたが御霊に満たされ,苦しい気持ちがなくなっていました。

2011年4 月10 日,上原兄弟の葬儀の

前日,わたしはセミナリーのことで,いちばん遠くに住んでいる生徒たちを訪問していました。時間も夜の10 時を過ぎていました。

でも,そのときに,上原家を訪問するよう強く御霊を感じたんです。その場所から上原家まで行くと高速道路を使っても40 分以上はかかり,着くのは夜中の11時を過ぎてしまいます。躊躇しました。けれど,御霊が強く促すので急いで車を走らせました。

わたしは行って,何をしたらいいのか分からず,お祈りしました。すると,上原姉妹をハグする(抱きしめる)ようにという促しを感じたのです。わたしは,時間が遅いのでまだ躊躇しながらもドアをノックしました。

すぐに子供たちが出て来て笑顔でわたしを迎えてくれました。中に入ると子供たちは,ふたが取られた棺に入っている,亡くなった上原兄弟の横で布団を敷いていました。お父さんと最後の夜なので一緒に眠るのだ,と言っていました。胸が熱くなりました。

わたしが,「お母さんはいますか?」と聞くと入浴中とのことでした。わたしは夜中の訪問にもかかわらず,「じゃあ,待たせてもらいます。わたしはお母さんをハグしないと帰れないんです」と言い,玄関で待たせてもらいました。その間,子供たちとおしゃべりをして過ごしました。上原姉妹が奥の方から来ました。子供たちは『お母さん,下地姉妹がお母さんをハグしないと帰れないって言ってるよ』と言いました。上原姉妹は,両手を広げながらわたしの胸に飛び込んで来て,わたしたちは強くハグをしました。

翌日,お葬式に参加しました。建物に入れず道にも列ができるくらい大勢の方々が参列していました。上原兄弟の生前の日記の一節が書かれた紙が一人一人に配られました。その冒頭に書かれていたのは,「突然ですが,夫婦でハグしてますか。……」そして末尾にも「……ハグしてください。直人」。

わたしは上原兄弟がハグを大切にしていることを知らなかったんです。◆