リアホナ2014年8月号 「世のものではない」教会の自立支援─先行き不透明な時代の確かな原則

「世のものではない」教会の自立支援─先行き不透明な時代の確かな原則

(地域自立支援サービス)

アジア北地域に間もなく開設される「自立支援センター」の準備のため,この5月19日に東京で訓練集会が開かれた。日本,韓国,グアムそれぞれの国の自立支援センターマネージャーと職員,奉仕宣教師が一堂に会し,七十人第一定員会のロバート・C・ゲイ長老をはじめ,ソルトレークの教会本部職員数人,地域自立支援サービスのダーウィン・W・ハルヴォーソン部長らがトレーニングを実施した。

自立支援センターとは何か教会の「自立支援センター」とは,教会員が霊的にも物質的にも自立し,家族を養えるように,就職・起業支援,職業訓練,永代教育基金などの支援を行う部門である。また,自立支援を必要とする個人のみならず,彼らを助ける神権指導者(ステーク・地方部,ワード・支部)への支援業務も行う。

行政には生活保護などの福祉政策があり,ハローワークや民間の職業紹介事業もある中,なぜ教会が支援をするのだろうか。自立支援サービスのマイク・マーレイ兄弟はこう話す。─「世の福祉の方法では物質面・金銭面での支給を受けられますが,希望を失い,暗闇の中に落ち込んでしまいがちになります。」真に富んでいる人とは,主の原則を理解している人であり,「お金」がないこと以上に「望み」がないことが人を破壊するのだという。

サタンはイエス・キリストに世の全ての国々と栄華とを見せ,自分に従うなら全部あげようと誘惑した※1。ただ,物を与えるだけの福祉は主の方法ではない。「サンタクロースになってはいけない」とゲイ長老は表現する。

主の目的は,「万物はわたしのものであるから,……聖徒たちに必要なものを与えることである」と記されている。「しかしそれは,わたし自身の方法で行われなければならない。……地は満ちており,十分にあり余っているからである。」※2

列王記上17章には,貧しいやもめが飢饉に際して預言者エリヤを養ったことが記されている。やもめの信仰によって,「かめの粉は尽きず,びんの油は絶えなかった。」※3教会で言う「自立」とは,単に経済的・物質的に暮らしを立てることではない。「わたしにとってはすべてが霊にかかわるものであり,わたしはいまだかつて,現世の律法をあなたがたに与えたことがない。」※4 教会の自立支援とは,主が,どのような霊的原則に基づいて神の子供たちを養われるのか,という自立の原則を教え,決意を促し,行動を変えてもらう,という方法で行われる。

「赤ちゃんは『はいはい』をしますが,失敗をします。あきらめますか? いいえ,続けて努力しますよね。(支援を受ける方は)前進する努力を続けます」とマーレイ兄弟は説明する。そうして支援を継続する人をメンターと呼ぶ。将来的には,「親が子を(年齢に応じて)次第に助けなくなるように,自立をさせる」という。

「教会の責任は,その人の問題そのものを解決することではなく,自立の原則を教えて,自分で問題を解決できるよう助けることです」とゲイ長老は説く。「『あなたがたは,この世と妥協してはならない。むしろ,心を新たにすることによって,造りかえられ,何が神の御旨であるか,何が善で〔あるか〕,……わきまえ知るべきである』※5とあるように,神様の御心を知り,世の方法ではない方法で『自立する』,つまり『自分自身で助ける』必要があります。……問題を人が解決してあげるのではなく,自分で主に伺い,自分で啓示を受けて解決するのです。昇栄するのは自立した者であり,これは救いの業です。」

自立支援センターは,この7月に開設され,今後,会員自身と,会員の自立支援をサポートする神権指導者への大きな助け手となることが期待されている。◆