リアホナ2013年3月号  2013年度の地域における福祉活動の強化

2013年度の地域における福祉活動の強化

  (地域福祉部)

非常事態への備えと対応②/3

自立の向上

備えの第一歩は自立の向上を目指して進むことです。世の中には危機的な状況に陥る家族がありますが,そのような状況の多くは,福音を実践し,愛と赦しの心を深め,親子や兄弟,夫婦の関係を強めることにより回避しやすくなります。バランスの取れた食事,運動,十分な睡眠が重要です。勤勉に働き,同僚の信頼を得,絶えず学び向上することは,雇用に関する危機を乗り越える大きな助けとなります。常に食料を一品でも多く購入して,貯蔵し回転するなら,遭遇するかもしれない緊急時に守られるでしょう。支出を収入の範囲内に収め,負債を返済し,毎月少しずつ貯金をするなら,困ったときにも多少の余裕を持てるでしょう。目標とするべきは,長期間収入がなくても生活できるほど十分な貯金をすることだと言えるでしょう。

備えに向けた小さなステップ

また,わたしたちは突然襲ってくる困難に対処する備えに役立つような良い習慣を身に付けておくとよいでしょう。例えば,常にガソリンをタンクの半分以上入れておいたり,財布には常に緊急用のお金を入れておいたりといったことです。もう一つの良い習慣は家の中や庭を歩いて回り,安全であるかどうかを確認することです。

アルマ書48章から50章,第3ニーファイ3章から17章を熱心に研究すると,遭遇するかもしれない緊急時に対する備えと対応に関する霊的な見識を得られるでしょう。主の言葉を聞き,こたえることが重要です。

有益な情報

備えるために役立つ対策を挙げれば限りがありません。政府や保健機関の多くが一般向けに無料で情報を提供しています。時々少し時間を取って,そのようなウェブサイトに掲載された内容を読み,備えの程度を高めてください。災害へ備える方法だけでなく,災害が起きている間や起きた後にすべき事柄について学ぶこともできます。米国国立子供の心的外傷ストレスネットワーク(The National Child Traumatic Stress Network)は災害に関連した心的外傷についての情報を提供しています※1。対策の一例として,地震について子供たちに教えるために使用できる,英語および日本語の簡単な話があります※2。LDS.org(教会公式ウェブサイト)にも緊急時に備えるための基本的な指針が掲載されています。教会員は緊急時に備えるための簡単な計画を立てるよう勧められています。その計画には以下の事柄を含めるとよいでしょう。

● 日々の食事に用いる食料を3か月分

● 飲料水

● 貯金

● 長期的に保管できる基本的な食品

● 医薬品および救急用品

● 衣類と寝具

● 重要書類

● 災害後に家族と連絡を取る方法(LDS.org,緊急時への備えと対策)

家族の必要に重点を置いて備える

これは良い出発点です。ここから出発して,各家族はそれぞれの状況について考え,備える方法を決定するべきです。大人数の家族と少人数の家族では必要が異なるでしょう。これから子育てをする家族と子供が巣立った家族の必要も異なるでしょう。さらに,乳幼児,特別な必要を抱えた人,高齢者のいる家族はそれぞれの必要に応じた備えが求められます。年少の子供がいる親は,学校からの避難手順について教師と話し合っておくとよいでしょう。高齢者を抱えた家族は,必要な際に利用できる緊急時の避難や支援について,隣人や地元の福祉サービス,支援事業者,自治体などと連携するとよいでしょう。特別な必要を抱えた家族が生命維持のための医療器具を使用している場合には,停電時や避難後に本人の命を守るにはどうしたらよいか,あらかじめ医師と相談しておく必要があるでしょう。災害後に病院または看護施設に入る可能性についても,前もって話し合いをしておく必要があります。

2011年3月11日の東日本大震災時に多くの人が眼鏡を失いました。最初の数日間は,眼鏡がなくてもさほど支障はなく,だれも大きな不安を訴えませんでした。しかし,状況が落ち着き始め,支援を受ける申請用紙に記入したり,家族を捜すために書類を読んだりする必要が生じると,眼鏡がないために非常に不便になりました。眼鏡,入れ歯,補聴器,杖などの基本的な健康関連用品について考慮に入れる必要があります。健康保険証,定期的に服用している薬の処方せん,病状の記録などを携帯することも,いざというときに役立つでしょう。

家族で話し合う

備えの中で大切な要素となるのは,家族がなすべきことについて心を開いて話し合うことです。親が,火事や地震の際の避難経路について話すと,パニックになる子供がいます。家族の経済状態を子供たちに話すことは避けるべきだと感じている親もいます。家族が集って,様々な状況においてなすべきことについて話し合うことは大事なことであり,生死を分ける違いとなることもあり得るのです。災害に見舞われたときに,家族全員が在宅している場合,寝ている場合,仕事や学校に行っている場合など,それぞれの場合にどうするべきかについて話し合うことが賢明です。家から避難する方法,自分を守る方法,家族が離れ離れになっている場合の集合場所について話し合っておくとよいでしょう。家族一人一人が自宅とそれぞれの携帯電話番号を記したメモを所持するべきです。これらの番号を携帯電話に登録しておくことは,常に最善であるとは限りません。電池が切れることがあります。家族の緊急時の計画についてホームティーチャーや訪問教師と話し合うこともよいでしょう。必要な場合にワードや教会に助けを求められるように,連絡方法を聞いておいてください。◆