リアホナ2013年7月号  真の成長のために⑩

真の成長のために⑩

   七十人 マイケル・T・リングウッド長老

改心のサイクル

◉ 今年のアジア北地域のテーマである「真の改心」(true conversion)について,地域会長のマイケル・T・リングウッド長老が語ります。改心とは何か,どのようにして成し遂げるのか─ 前後編でお届けします。(編集室)

聖文にある改心に関する最も良い例がヒラマン書第15章,特に7節と8節でしょう。ここで,真の改心までに5つのステップがあることが分かります。ちなみにこの5つの順番は,それらがその順番に起こるということであって,必ずしも重要度の順番ではありません。

第1に,聖文と聖なる預言者の言葉を信じることです。

2番目がイエス・キリストを信じる信仰を持つこと,

3番目が悔い改め。

4番目が心の変化。そして,

5番目は,時としてこれが最も重要なのですが,確固として堅固であることです。

これはとりもなおさず,大管長会と十二使徒定員会がすべての教会員に到達してほしいと願っている状態です。また,真の改心を判断する目安でもあります。人が確固として堅固であるかどうかが,改心を判断する最も重要な要素です。また,教会における真の成長の度合いを測るはかりでもあります。教会にいるのは人です。教会にとどまるのは人です。教会員となる人が,改心して,教会にとどまるのです。

改心のライフサイクル

このことを会員に説明するのに,わたしたちは図(3ページ参照)を考案しました。まず,真の改心,真の成長を目標として,夫婦が神殿で結び固めを受けます。

(─神殿で結び固めを受ける機会をまだ得ていない独身会員が大勢いることをわたしたちは理解しています。夫婦の結び固めと聞いて彼らが悲しむことのないよう願っています。既婚,独身を問わず,わたしたちのだれもが神殿に入るふさわしさを備えなければなりません。結婚している人も,独身の人も,この図に書かれていることを実現する機会があります。まだ神殿で結び固めを受ける機会に恵まれていなくても,忠実であるならいつかその機会が訪れます。そう約束されています。わたしたちは日本と韓国の独身会員の皆さんがこれを知って,神殿における最も重要な儀式を受けるために努力するようになってほしいと願っています。)

若い世代の人たちが改心するための最高の場所は家庭であると,わたしたちは考えます。これが,彼らを改心に導く真の成長のサイクルです。聖約の下に生まれた子供たちは,そうでない子供に比べて神殿で結び固めを受ける割合が高いという統計があります。もちろん,聖約の子供として生まれることが,改心するための最も重要な要素でないことは明らかです。ただ,一般的に言って,神殿で結び固めを受け,改心している親は,神殿で結び固められていない親よりも,子供の改心に,より大きな影響力があるということなのです。中には神殿の結び固めを受けていなくても,福音を家庭で非常によく教えている親御さんがいることをわたしたちは知っています。このような方は多くの場合,自分自身が改心しています。彼らは,子供たちが5つのステップを経験できるよう,教えています。

この図は,教会で成長する若い人たちにたどってほしいとわたしたちが願うプロセスを示しています。若い人たちは家庭の中で福音について学び,福音に改心します。彼らが御霊を感じるのは家庭です。キリストを信じる信仰を持ち,聖文を信じることを教えられるのは家庭の中です。悔い改める方法について教えを受けるのも家庭です。そうして心の変化を経験するようになります。若い人たちは家庭の中で改心し,成長して伝道に出,神殿で結婚するようになります。

この図を見ると,このサイクルのどの段階からでも改宗者が入って来られることが分かります。改宗者がこのサイクルに足を踏み入れ,学ぶべきことを家庭で学ぶよう願っています。

教会が中心ではないのです。この図の中心は教会になっていますが,これは,教会を中心として家庭を支援することを示しています。初等協会は子供たちを育てる家族を助けます。若い男性,若い女性は青少年のいる家族を支援します。神権組織と扶助協会も独身会員や家族を助けます。教会が家族を,改心のプロセスにおいて助けることが目標です。

防衛のサイクル

─このサイクルについてはよく分かります。わたしたちが求める理想だと思います。しかし,反抗期の子供を抱える家庭があり,また,信仰が持てない,あるいは自分の信仰に疑問を感じる子供がいる家庭があります。現実問題として,子供がこちらの思うようには進歩していないとき,どのようにすればこのサイクルに沿うことができますか。

まずこうお答えしましょう。改心のプロセスは子供がごく幼いときから始まります。12歳までに改心できている男の子が反抗的になる可能性はそうでない場合に比べて低くなります。

アルマ書の,戦争を記録した章で,司令官モロナイは大切なことを教えています。アルマ書第59章9節です。「ところでモロナイは,ニーファイハの町にすでに兵が送られていて,その町を守り通すために民を助ける任務に就いているものと思っており,またレーマン人の手に落ちないように町を守ることの方が,それを彼らから取り返すことよりも容易であるのを知っていたので,ニーファイハの町の民が容易にその町を守り通せると思った。」

敵の手に落ちる前に町を守ることの方が,町を敵から奪い返すよりも簡単であることは自明の理です。教会の親や指導者にこの原則を理解してもらいたいと思っています。福音の中で子供たちを育てることができるなら,世の悪から彼らを守ることはより簡単になります。一度失ってしまった子供たちを引き戻すことより簡単です。これは防衛のサイクルです。こうして教会の青少年を守ることができます。彼らに霊的な鎧を身に着けさせれば,それは誘惑に耐える助けとなります。

第3ニーファイ第18章で,救い主がニーファイ人に聖餐を与えられた記述の中に,わたしにとって興味深いことが記されています。聖餐と聖餐の意味について教えておられたとき,主はこれをいつも行う必要があると言われました。そして,15節と18節で2度,悪魔に誘惑されないように,常に目を覚まして祈るようにと言われました。このことが実行されていてほしいものです。つまり,目を覚まして祈り,守るようにするのです。そうすれば,誘惑に耐えやすくなります。

悩める親へ

そうしていても反抗する子供はいます。そして,反抗的でない子供にとって大切なことは,反抗的な子供にとっても大切なことなのです。しかし,教える方法は異なります。反抗的な子供はじっと座って,福音について教える親の言葉を聞かないからです。そこで親ができる最善のことは,自分自身が揺るがないでいることです。良い模範となるような生活を続けることです。その子供を仲間外れにしないでください。その子供が,自分が何にも増して愛されていると分かるようにしてください。そうして,教える機会を求めて常に目を覚まして祈ってください。

─家庭で早い時期に子供へ養いを与えることができなかったと感じている親のためにアドバイスはありますか。

今この瞬間から始めて,あきらめないでください。最初は自分自身から始めてください。子供たちが一緒にやろうとしなくても,親のあなたたちだけで続けるのです。親は子供の霊的幸福に対する責任者ですが,自分自身の霊的幸福に対する責任も負っています。親が霊的に健康なら,子供たちを霊的に健康にすることはもっとたやすくなります。

それが,教会員に対する,そしてもちろん中央幹部に対する,モンソン大管長からのメッセージの一つです。絶対に,絶対に,絶対にあきらめてはいけません。始めるのに遅すぎることはありません。また大管長のもう一つの教えは,人は男性でも女性でも変わる,ということです。ですから,わたしたちは決してあきらめずに努力し続けることができるのです。正しい態度で,適切な環境があれば,だれでも変わり,改心することができます。

さらに,教会のすばらしい点は,教会は家族を助けるためにあるということです。子供で苦労している親がいれば,神権指導者,若い女性の指導者,ホームティーチャーなど助ける人が必ずいます。この人たちは皆,親を助けるためにいます。それに,子供の年齢にもよりますが,親以外の人の方が,手を差し伸べやすく,助けやすい時期があります。わたしたちは,どの家族が特別な助けを必要としているのかを教会の指導者が把握しているようにと望んでいます。◆(以下次号)

7 見よ,……彼らの多くは今真理を知っており,

彼らの先祖の言い伝えが邪悪で忌まわしいことも知っており,

また聖文,まことに書き記されている

聖なる預言者たちの預言を信じるようになっている。

これらの預言は主を信じる信仰と悔い改めに彼らを導き,

その信仰と悔い改めが彼らに心の変化をもたらしている。

8 したがって,……

このようになった者は皆,信仰において,また彼らに自由を得させた事柄において

確固として堅固である。 (ヒラマン書 15:7-8)