リアホナ2013年2月号  2013年度の地域における福祉活動の強化①

2013年度の地域における福祉活動の強化①

 (地域福祉部)

非常事態への備えと対応①/3

人災と自然災害

人生は喜びにあふれた幸せなときがある反面,悩み,苦しみ,恐怖などにおびえるときもあります。時として,人生は試しの時と考えることによってそうした苦しい時期を受け入れることができます。しかし試練のときは必ず訪れます。人生の中で最も辛い場面の一つは,愛する人の死に直面することでしょう。その人の死が間近に迫っている兆候が見える場合もありますが,何の前触れもなく突然命を奪われることも珍しいことではありません。失業,長患い,突然の病,事故,火事による家屋の焼失,結婚生活上の問題,離婚,家庭内のもめ事,反抗期の子供の問題,他人からの暴力や愚かな行為などは,人が直面する非常事態の一例です。繰り返します。前もってその兆候がある場合もありますが,容赦なく突然に差し迫った場面を迎えることもあるのです。

視野を広げてみると,経済的な問題,犯罪,地震,台風,豪雪,津波,悪天候といった自然災害も大きな問題を引き起こします。ここ数年を振り返ってみると,日本でも人々は伝染病や様々な疾病に悩まされ,3月11日の巨大地震と津波による被害からの復興に伴う困難にもがき苦しみ,福岡,熊本を襲った洪水と闘ってきました。昨年12月パラオに大災害をもたらした台風は,その後フィリピンを襲い,甚大な被害を引き起こしました。チュークでは半年間一滴の雨も降らず,人々は水を求めて悲痛な叫び声を上げました。韓国は再度「最も寒い冬」に見舞われており,毎年襲ってくる干ばつと洪水による被害を乗り越えるために絶えず奮闘しています。また昨今,テロや戦争,また戦争のうわさなどで不安定な情勢を目の当たりにしています。

人災並びに自然災害は,わたしたちの人生につきものです。わたしたちは,こうした事柄はほかの人にやって来るものであって自分には来ない,などと安心していてはいけません。

災害の影響

人災並びに自然災害はいずれも大きな傷跡を残し,その傷が長い間癒えないこともあります。直接被害を受けた人々がそうした傷を抱える場合もありますし,周りの人々や,災害に襲われた町や都市部にその傷跡が残ることもあります。災害は,屈強な人々をも打ちのめしてしまうことがあるのです。家族関係の断絶を招き,愛する人々の仲を切り裂くこともあります。また,地域社会やさらに広範囲の社会機能をまひさせることもあります。こうした災害はじわじわと広がるさざ波のような影響をもたらし,最終的には間接的により多くの人々に影響を与えます。深刻な自然災害の場合,その通り道となった場所にあった家や学校,病院,店舗,そのほかあらゆる建物が一瞬のうちにがれきの山となってしまうこともあります。支援物資を運ぶ経路が寸断され,人の人生が瞬時に一変してしまうことすらあります。

災害の影響はその時々で違うかもしれませんが,いかなる災害をも克服する鍵は,個人,家族,地域社会が前もってどのような備えをするかにかかっています。

非常時への備え

教会員は長年にわたって,あらゆるタイプ,規模の非常事態や災害に備えるよう奨励されてきました。東日本大震災にまつわる一つの有名な話は,備えの必要性を如実に証明しています。それは,釜石市にある小学校の生徒たちの話です。彼らは,群馬大学の片田教授から(1)想定にとらわれるな,(2 )その状況下において最善を尽くせ,(3)率先避難者たれ,という指導を受けていました。彼らはできるだけ学校から遠くに避難すべく坂道を走り始め,走り疲れて休もうと思ったものの,学んだことを思い出し走り続けました。彼らは3度避難場所を変えながら走り続けました。その結果,学校や彼らが一時避難した多くの建物が津波にのみ込まれてしまいましたが,子供たちは全員無事でした。備えが威力を発揮し,人の命を救ったのです。

非常時の備えには,個人と家族,ワード,そしてステークの3つの段階があります。個人的にわたしたちは,災害直後の命を守るために必要な物資を備える必要があります。また,災害やトラウマに伴う恐怖を克服し平安を見いだすために,霊的,情緒的に備えたいものです。避難場所や,他の人との交信手段を知っておく必要もあります。この件に関しては,次号で採り上げます。◆