リアホナ2013年8月号  モルモン書を世に広める

モルモン書を世に広める

─教会広報部が昨年に続き,東京国際ブックフェアへモルモン書を出展

2013年7月3日から6日にかけて東京ビッグサイトで開催された第20回東京国際ブックフェアに,教会広報部が2回目の出展をした。昨年に引き続き『モルモン書─イエス・キリストについてのもう一つの証』をテーマに,昨年の2倍の面積(4m×5.5m)のブースを準備して臨んだ。

 今回の展示は一般の方に,モルモン書と聖書の関係(聖書の証を補強するもう一つの証という位置付け)を理解してもらえるよう企図された。そのため,教会が制作し無償提供している,救い主の生涯の短編映像シリーズ『聖書ビデオ』(Bible Videos)と,そのタブレット用アプリケーションソフトウェアの紹介コーナーも設置された。また,1909年に出版されたアルマ・O・テーラー訳の『モルモン経』初版本と,レプリカの金版が展示されたほか,60インチの大画面で,モルモン書の世界を映像化した映画『証─一つの群れ,一人の羊飼い』が上映された。「けっこう受けるんですよ,大スペクタクル映画みたいな感じで,撮影もしっかりしていますので。DVDを買い求める人もいました」と地域広報ディレクターの関口 治兄弟は話す。

 ブースには4日間で延べ25人の教会員ボランティアが詰め,案内役を務めつつ来場者アンケートを取った。会期を通じて約1,000冊のモルモン書を手渡し,885枚のアンケート回答を得た。「昨年はモルモン書を配るのに一所懸命で,できるだけたくさんの人に渡そう渡そうという意識が強くて, こちらから呼びかけてブース内を案内したりアンケートを取ったりしたんです。でも今年は, ボランティアは笑顔で静かに立っていて,向こうから話しかけられることが多かったですね。無記名アンケートを記入してもらって,『よろしければ説明させてください』と,壁画や展示を使ってツアーガイド的にモルモン書の簡単な紹介をして。そして,『お荷物になりますけどお持ちになりますか?』と,受け取られる方にだけ渡していたんです,無差別に渡すのではなくて。それでいながら,昨年同様に約1,000冊を渡しましたから,よくできたなと思います。」(関口兄弟)

 ボランティアの会員たちはこう語る。「わたしはまだ学生で,伝道に出ていないのですごくいい経験になりますね。こうやって(一般の方に)教会のことを話す機会はなかなかないので。」(中野ワード 松本留香姉妹)

「どちらかというと年配の方が足を止めてくださって。アンケートだけでなく人生の先輩のお話を聞きながらなので,20分とか30分とか(一人当たりの対応)時間がすごく長くなりました。幾らかの方はすでにモルモン書の名前を知っていて,ただ,中身までは読んだことがない,この中にもし人生の(問題の)答えがあるようなら読みたい,っておっしゃる方もおられて。昨年のブックフェアでは姉妹宣教師がたくさんの方に声をかけました。

今年は教会員のボランティアだけなので,目立ったところはないですね。ただし,お話をじっくり伺える,わたしたち教会員が自分たちの経験を通して,証も一緒に伝えられるという点では良かったかな,と思います。」(小岩ワード 山口寿美子姉妹)

 アンケート集計の結果,実際には,ブース来場者の男女比はほぼ半々,世代も20代から60代までほぼ均等に分布していたことが分かった。定点観測の意味で昨年と同じ質問もなされた。有効回答数が昨年(389枚)の倍以上であり調査の信頼性は増したものの,教会が一般からどう見られているかについては昨年の結果にほぼ近かった。これは現状をある程度正確に表していると思われる。

●末日聖徒イエス・キリスト教会の名前を─

聞いたことがある:50%(ない:50%)

●モルモン教会という名前を─

聞いたことがある:74%(ない:26%)

●これらが同じ教会だと─

知っていた:18%(知らなかった:82%)

●何を通して教会を知っているか(複数回答)─

ユタ州ソルトレーク・シティー:12%

茶,コーヒー,酒,たばこを摂らない:12%

新聞・雑誌・テレビなどの報道:11%

自転車に乗る二人連れの宣教師:9%

モルモン書:8% 教会の建物:7%……

●教会についての印象─

非常に良い+まあまあ良い:29%

特に印象がない:65%

あまり良くない+悪い:6%

 この出展の意義について,関口兄弟はこう語る。「一般社会の時代のニーズだとか,彼らの持っている感覚を知ることができたのが一つの成果でしょうか。ですから,世間の反応を測るための実験的なアンテナショップのようなものです。来場した人の声を聞いて気づかされたことがけっこうあるんです。彼らは,モルモン書にいちばん関心を持って来ているわけではないんですよ。来場者と話しているとよく分かります。去年はアメリカ大統領選の話題がずいぶん出ていました。今年は,東日本大震災からもう2年ほどになりますけど,あなたたちの教会も東北地方でボランティアをしてるの? とか,モルモン書に電子版はあるの? とか,子供や青少年のために何をしているの? などと質問されることがあったんです。今回は入り口をモルモン書という1テーマに絞ってみましたけれど,様々な関心を持つ人がいたので,幾つか間口を広げてもいいのかな,と思いましたね。

 もう一つは,教会員と宣教師が伝道しやすい環境を作るのが広報の目的の一つなので,出展を何年か続けることで,『ああ,いつもブックフェアに出展してるよ』と,人の心に教会やモルモン書の印象が残ったら大きな成果だと思うんです。来場者には宣教師から過去にレッスンを受けていた方もいました。1人の人が改宗するまでに平均して3,4回,教会と接触があるとよく聞きますけど,その1回になれれば,さらにそれが良い印象であったらありがたい,と思います。」◆