リアホナ2013年4月号  子供たちに受け継ぐ4つの隅石

子供たちに受け継ぐ4つの隅石

─十二使徒定員会 ラッセル・M・ネルソン長老の日本訪問

冒頭のニュース記事に記したようにこの2月下旬から,十二使徒定員会のラッセル・M・ネルソン長老ご夫妻,七十人会長会のタッド・R・カリスター長老ご夫妻,管理ビショップリック第二顧問のディーン・M・デービーズビショップご夫妻がアジア北地域を訪れました。日本においては,ネルソン長老が沖縄で,カリスター長老が名古屋,大阪,東京で,デービーズビショップが仙台で会員とのディボーショナルに臨みました。日本の聖徒に向けて語られたメッセージを抜粋・要約してお伝えします。(編集室)

3月2日(土)の夜,ネルソン長老ご夫妻はアジア北地域のマイケル・T・リングウッド会長とともに国立劇場おきなわ(浦添市)において会員とのディボーショナルを開いた。

ネルソン姉妹─「聖い人」になる実験

2007年11月,ネルソンご夫妻は,トンガ・ヌクアロファ神殿の再奉献の割り当てを受けた。改修後のヌクアロファ神殿を視察したとき,何か足りないものがあると感じた。それは神殿の外壁に掲げられるべき,「主の宮居,聖きを主に捧ぐ」という文字だった。そこでその言葉が加えられ,予定どおり奉献式が行われた。「その経験はわたしにとって印象深いものとなりました。……特に『聖き』という言葉がわたしの注意を引きました。『聖き』とは何でしょう。概念としてはとても大きいもののように思えました。聖文には,絶えずわたしの前で徳高く聖くなければならない』(教義と聖約46:33)と書いてあります。主は非常に真剣にわたしたちに語っておられます。これは提案ではありません。『なければならない』と言っています。そして『絶えず』とも言っています。」

ネルソン姉妹は以下のような実験をするよう提案する。3日間時間を取り,普段していることを「聖い人」ならどのように行うだろうかと考えながら実践するというものだ。あるカナダの女性がこの実験をした。

2人の子供の母親で,3人目を妊娠していた。聖い女性なら朝はどう過ごすか自問して,彼女は聖典を読み始めた。そこに二人の子供たちがやって来て袖を引く。「お母さん,ちょっと来て。」聖典を読んでいるのに子供が母親を求めている。こんなとき聖い女性ならどうするか,と考えたとき,聖霊がこうささやく。「子供たちと一緒にいなさい。」そこで,子供たちに一所懸命自分の時間をささげる決心をし,新しいゲームを出して駒を並べ,時間をかけて相手をした。

やがて4歳の娘が突然言う。「こんなすてきな日は初めて。」「えっ,どうして?」「だって,お母さんが一緒にいてくれるから。」「いつも一緒にいるじゃない。」「そんなことないよ。うちにいるけど掃除してたり,それでわたしたちは自分たちの部屋で遊んでたりとか。でも今日はほんとうに一緒にいてくれるね。こんなすてきな日は初めて。」

「皆さんに考えていただきたいことは,主はわたしたちに『聖い』とはどういうことかを教えたいと望んでおられるということです」とネルソン姉妹は言う。「わたしたちが,どこに時間を費やし,どこにエネルギーを向け,どこにお金を使っているのか,考え直して変えなければならないかもしれません。

……イエス・キリストの贖いを通して,主がわたしたちを聖くしてくださる。もちろんそうです。ぜひこの3日間の実験を試してください。そして天父の御前に皆さんが聖さをささげたい,聖さを得たいと真剣に望んでいるということをぜひ示してください。皆さんがすでに行っている日常の生活の一つのことを取って,そして3日間考えてください。聖い男性,聖い女性,また聖い子供だったらどうするか,と考えながら行ってください。」

ネルソン姉妹は,これはイエス・キリストの教会であり,救いに必要なすべての儀式を備えている,と証する。「飛行機に乗りたいと思っている人はたくさんいるでしょう。けれどもイエス・キリストの贖いを通したチケットなしに,またチケットの代価を支払うことなしに,そして荷物と皆さん自身がしっかりとチェックを受けることなしに,飛行機に乗りたいという望みを持ってずっと座っていても実際に飛行機に乗ることはできません。疑いの余地もなく,救いに必要なすべての儀式がこの末日聖徒イエス・キリスト教会にあることを知っています。……わたしはほんとうに皆さんがもう少しだけ聖くなることができるように祈っています。」

ネルソン長老─4つの隅石

ネルソン長老は,ゴードン・B・ヒンクレー大管長の説いた「信仰の4つの隅石」※1 について話した。旧約時代には4つの隅石を置いてから家を建てていたため,隅石とは物事を支える重要な事柄の象徴となっている。

1.「最初のもっとも大切な隅石は神への信仰です。すばらしい神が御父であること,その御子イエス・キリスト,そして聖霊,この御三方をはっきりと理解すること。この最初の隅石を子供たちに教え,神の子供であることの意味を教えてください。それは,神の形にかたどって造られているということです。見ることのできる目,聞くことのできる耳,また感じることのできる指があります。子供たちに,体は確かに神殿であることを教えてください。もう一つの神殿はいつ日本に建つのかと聞く人がいます。神殿はここにあるではありませんか。そのことを理解してください。

体は神聖な贈り物として与えられています。体は少しずつ時を経て変わっていきます。成長するとともに,少し髪も薄くなっていきます。また皺も増えていきます。それはすなわち,わたしたしがここに永遠にいるのではないことを教えているのです。天の御父はその子供たちを愛しておられ,ご自分のもとに子供たちが戻って来てほしい,神とともに永遠に生活することに備えてほしいと思っておられます。」しかし,御父は強制されず,わたしたちが自分でその道を選ぶことを望まれる。すなわち信仰をはぐくみ,悔い改め,バプテスマ,聖霊の賜物を受け,また神殿の神聖な聖約を交わして忠実であることを望んでおられる,とネルソン長老は説く。「わたしたちがこの地上で何年住むかは問題ではないのです。そうすることでわたしたちは天父に会う備えができます。」

「子供たちがイエス・キリストの務めと生涯を理解できるように助けてください。主の務めとは無限の贖いを提供することでした。その贖いを通して神のすべての子供たちは死後も生きることができるようになりました。わたしたちは皆,一人一人が復活をします。それはすべての人々が無条件で神から与えられたものです。贖いを通して可能になりました。また贖いはわたしたちに永遠の命というすばらしい贈り物をくれます。でもその贈り物は無条件というわけにはいきません。わたしたちがそれにふさわしいことを証明する必要があります。ですから皆さんはこの教会にやって来たのです。わたしたちはすばらしい人に囲まれ,善い行いをし,すばらしい家庭があります。でもこの教会に来るほんとうの理由は永遠の命という賜物を得るためです。そして家族が永遠に結ばれるようにするためです。その贈り物をほんとうにわたしたちが理解するとき,それは恐ろしい死のとげを取り払うことができます。家族が取り去られるときは悲しみに沈みます。でもそれは一時的なものであるとわたしたちは知っています。家族はまた永遠に一つになれると信じているのです。」

「聖餐を取ることによって,イエス・キリストの贖いを覚えるよう子供たちに教えてください」とネルソン長老は呼びかける。「わたしたちが毎週,バプテスマのときに交わした聖約を新たにするとき,非常に大きな約束を頂いています。すなわち,主の体と肉と血の記念を頂くときに,わたしたちは主の御霊をいつまでも常に受けるのです。」

2.「では二つ目の隅石です。ヒンクレー大管長はこの地上にいる預言者の大切さを説きました。神はいつの時代もその預言者を通して教えを説かれていたと大管長は言いました。アダムは預言者でした。ノアも,エノクも,その他の人も。ヤレド人のための預言者,ニーファイ人のための預言者,そして主はまたこの現代にも教会を回復されました。預言者や使徒たちが召されているのです。わたしたちのだれもこの職につくようにお願いされたのではありません。……わたしたちは預言によってまた啓示によって召されているのです。今日もわたしたちに預言者が与えられています。トーマス・S・モンソン大管長です。この神権時代に預言者ジョセフ・スミスが与えられています。わたしたちはジョセフ・スミスを通してこの今までの時代以上にたくさんの聖典の啓示を頂いています。」

3. ネルソン長老は,ジョセフ・スミスがモルモン書の翻訳を口述したとき筆記者が書き取った原稿の写真を持っている。原稿には句読点もなく,節にも段落にも分けられていない。そのような時間がまったくなかったことが見て取れる。「預言者の口から出たものをそのまま原稿にまとめているのです。」現代の翻訳者たちにはコンピューターや辞書やスペルチェッカーがあり,既訳資料もある。「それでも教会の最高の翻訳者が聖典を訳すのは1日1ページが限度です。」預言者ジョセフ・スミスは周囲から常に迫害を受け,絶えず移動しつつ毎日8ページから10ページの翻訳を口述し,同時に教義と聖約のその他の啓示を受けていた。「神の啓示という力によって翻訳されたのです。……子供たちに聖文の大切さを教えてください。もしモルモン書があってもそれを読まなかったら意味はないのです。聖書も教義と聖約もそうです。父親の皆さん,聖典をどうぞ,声を出して子供たちに読んで聞かせてください。」ネルソン長老は子供たちが幼いときから聖文を読み聞かせてきた。それは簡単ではなく,時に夜中に子供たちを起こす必要もあった。「何年もたって彼らがどうなったか。彼らは皆,伝道に出て主に仕えています。そして主に帰依しています。また家庭の中に愛があるのです。」ネルソン家族には,今では孫の家庭に至るまで同様に,子供たちに聖文を読んで聞かせる家族の伝統が根付いているという。

4.「そして子供たちに神権が回復されたことの大切さを教えてください。それがヒンクレー大管長が教えた4番目の隅石です。天の使いを通して神権が回復されました。バプテスマのヨハネを通して,またペテロ,ヤコブ,ヨハネを通して。またモロナイの働きを通して。またモーセの働きを通して。エリヤ,エライジャ,エライアスの働きを通して。彼らは鍵を回復しました。そして預言者に教えを説いたのです。これらが皆さんの子供たちに教えてほしい4つの隅石です。」

2月23日,大管長会は日本を含め世界に58 の新たな伝道部を組織した。「主はこの時代における御業を早めておられます。」ネルソン長老は,子供が伝道に出る,また神殿に参入するふさわしさを選ぶのを助けるよう要請した。また,知恵の言葉を守り,霊と肉体を破壊する習慣性のあるもの,またポルノグラフィーから家族を守るように警告する。

「主を愛するように子供たちを教えてください。そうすれば子供たちに与えられる平安は大きなものになります。」

閉会後,ネルソン長老ご夫妻は会場に集った沖縄の会員たち一人一人と握手をして,主の愛を伝え,別れを惜しんだ。◆