リアホナ2012年9月号  福祉のABC 23

福祉のABC 23

 (地域福祉部)

労働と職業

神は,男と女を創造されてからこうお命じになりました。「生めよ,ふえよ,地に満ちよ,地を従わせよ。また海の魚と,空の鳥と,地に動くすべての生き物とを治めよ。」(創世1 :28 )この「治める」という言葉は,この世的な支配とは反対に,キリストのような指導と自立の精神によって行うことであると理解するべきでしょう。また,このように記されています。「主なる神は人を連れて行ってエデンの園に置き,これを耕させ,これを守らせられた。」(創世2 :15 )アダムとエバが禁断の実から取って食べた後,「主なる神は彼をエデンの園から追い出して,人が造られたその土を耕させられた。」(創世3:23)わたしたちは現代の啓示を通して,次のことを知っています。「アダムは,主なるわたしが命じたように,地を耕し,野のすべての獣を治め,額に汗してパンを食べることを始めた。彼の妻エバも彼とともに働いた。」(モーセ5:1)

アダムとエバの息子たちも,自分自身の働きによって,耕し,守り,食物を得るという伝統に従って働きました。「アベルは羊を飼う者となり,カインは土を耕す者となった。」(創世4:2)わたしたち一人一人には,愛にあふれた天の御父から頂いた賜物と才能を,この地上で善いことのために使う機会が与えられています。現代の預言者たちは「労働は自立と物質的な福祉の基盤である」と教えています(『手引き 第2部』6.1.1,「職業」の項)。この地上に生まれてきたすべての人には,働く能力と責任があります。

職業に就いている人は,時間や技術,才能,労力などを会社に提供する代わりに,会社から報酬や給料を得ています。自分で自分を雇用している人,すなわち自営業を営んでいる人もいます。自営業者はサービスや製品を顧客に提供する代わりに,顧客から代金を受け取ります。世界中には,就職するか自営業者にならないかぎり,生活が成り立たないという段階にまで発展している国もあります。日本や韓国もそのような国に分類されます。生きていくためには,働いてお金を得て,そのお金を使って自分と家族のために衣・食・住その他の必需品を入手しなければなりません。会社員であるか自営業者であるかにかかわらず, ベニヤミン王の勧告は非常に有益です。「賞を得るために勤勉に励むのは必要なことである。」(モーサヤ4:27)

わたしたちが現在直面しているような困難な時代,景気低迷の時代にあっては,適切な職業に就けない場合もあるでしょう。教会福祉プログラムが導入される少し前の1930年もそのような状況でした。「例えば,パイオニアステークの賃金労働者の60パーセントは失業中でした。ある時点では,同ステークの失業率は70パーセントに達しました。」(Pure Reli gi on,7)人々がどれほど失望し,不安になったか容易に想像できます。政府の援助を求めていた人々も,政府の支援を受けることに慣れてしまったかもしれません。教会福祉プログラムが発表されたとき,大管長会は次のように語りました。「教会の目的は,人々が自助努力をするよう助けることにある。勤労が再び教会員の生活を貫く原則にならなければならない。」(Conference Report,1936年10月,3)困難に直面したときに,教会員は集まって,互いに助け合わなければなりません。

労働と職業は,わたしたちの幸福の基盤です。いいえ,それ以上のものです。モルモン書の預言者ニーファイは,次のように教えました。「しかし,シオンで働く者は,シオンのために働くべきである。もしも金銭のために働くならば,滅びるであろう。」(2ニーファイ26:31)この聖句は,教会員に対し無償で働くべきであると言っているのではありません。なぜなら,わたしたちは次のようにも教えられているからです。「働き人が報酬を受けるのは当然だからである。」(教義と聖約31:5)これは,わたしたちが働くときに,救い主の次の勧告に従うべきであることを意味しているのかもしれません。「そのように,あなたがたの光を人々の前に輝かし,そして,人々があなたがたのよいおこないを見て,天にいますあなたがたの父をあがめるようにしなさい。」(マタイ5 :16 )

家庭や地域社会で熱心に働き,賃金に見合うよう誠実に働き,職場で明るく過ごし,会社の発展と福利に貢献することによって,わたしたちは人々に奉仕する能力を増し,キリストの光をよりいっそう分かち合えるようになります。労働と職業の原則を若い世代に教えることによって,勤勉に正直に働く将来の人々のために環境を備えるのです。そうすることによって,わたしたちは,天の御父が「人の不死不滅と永遠の命をもたらす」(モーセ1 :39 )という業を成し遂げられるために助けとなるのです。◆