──アメリカ大統領選に伴い，日本でも教会へのメディアの関心が高まる
アメリカ合衆国大統領選挙の候補者のニュースに関連して，米国では末日聖徒イエス・キリスト教会に関する報道が増えてきている。また，日本においても，テレビの特集番組や新聞報道でも教会名が採り上げられる機会が多くなっている。ソルトレーク冬季オリンピックの際にも教会に関する報道量が増えたが，今回のメディアの関心は，教会の教義や信条，政治的立場といったより本質的な部分に焦点が当たっている。
アメリカでは大統領選挙が行われる度に，政治的に中立であるべき教会の指針が集会で読み上げられる。つまり，教会では，団体／組織として特定の政党，政治家，候補者を支持，支援することは行っていない。また，同様に，教会員へも特定の政党，政治家，候補者を支持，支援するような指示や奨励は行っていないことが確認される。
現在，アメリカと日本の教会公式サイトでは，「政治的中立に関する指針」と題されたメッセージが掲載されている。
教会の使命はイエス・キリストの福音を宣のべ伝えることであり，政治家を選ぶことではない。末日聖徒イエス・キリスト教会は政党政治に関しては中立であり，その指針は教会が設立されている多くの国のすべてに適用されている。
以下，公式サイトへ掲載されている内容から紹介する。
教会は以下のことを遵守しています：
● 政党，候補者，政策に対して，支持，宣伝，または妨害をしません。
● 教会の建物，会員名簿，その他の資料を特定の党が政治目的で利用することを許可していません。
● 候補者が末日聖徒イエス・キリスト教会の会員か否かにかかわらず，どの候補者または政党に投票するかを会員に指図しません。
● 政府指導者に指図または命令しようと試みることはありません。
教会は以下のことを行っています：
● 会員がそれぞれの地域において責任をもって行動する市民となるよう勧めています。これには政策をよく理解し，選挙で投票することも含まれます。
● 教会員に対して，政治活動にかかわるときには，十分な情報を伝えて礼儀正しく行い，個々の教会員は様々な経歴，経験を持っており，政党支持についても見解が異なるという点に配慮するよう求めています。
● 候補者に対して，自分が立候補していることや自分の政策が教会から支持されていると暗示しないように要求しています。
● 教会は社会的または道徳的に大きな影響を与える問題や，教会の利益に直結する問題に公正な立場で対処する，一団体としての権利を保有しています。 世界中の末日聖徒の半数近くが居住する合衆国内において，国政選挙の度に，投票するように会員に奨励しながらも，教会の政治的中立について強調する手紙を発行し会衆の前で読み上げる慣習があります。
政府との関係
選挙で選ばれた末日聖徒の政治家がどのような立場を取るかは，各自で決定します。それらは教会員であるほかの政治家の立場，あるいは公式に表明されている教会の立場と必ず一致するとは限りません。教会は教会員である政治家に対しても，教会員でない政治家の場合と同様に，教会の見解を伝えますが，教会はこれらの政治家が最良の判断力を用いて，自分に投票した有権者に配慮して，自分の立場について決定を下さなければならないことを理解しています。
政府の役割に関する，現代の聖典の記述：
教義と聖約 第134章
教会管理役員が政党に参加することについて
さらに，2011年6月16日付けの大管長会の手紙は，新たな選挙戦の開始に当たり教会が政治的中立の立場を取っていることを，再度宣言しさらに明確に示しています。これはすべての専任中央幹部，中央補助組織指導者，伝道部会長，神殿会長に当てはまります。この方針は専任の教会職員を対象とするものではありません。
「教会の中央幹部と中央役員，また彼らの伴侶，その他専任で奉仕している教会の指導者は政治運動に個人的に携わるべきではない。この場合の政治運動には，候補者を売り込むこと，政治資金集め，候補者の利益となるよう話すなどして候補者を支持すること，財政的に貢献することが含まれる。
地域七十人，ステーク会長，ビショップは教会の専任役員ではないので，自発的に寄付し，選挙委員会で奉仕するなど，自分の選択する候補者を支援することができる。その際，以下のことを理解しておく。
● 一市民として民主的な選挙の過程において行動しているのであり，あたかも自身の行動や支援が教会を代表しているかのようにほのめかしたり，そう思わせたりすることのないようにする。
● 教会の事務用品，教会が作成した住所録，または電子メールリスト，教会建築物を政治的な宣伝活動の目的で使用しない。
● 自身の管轄下にある教会員を対象に政治資金集めなどの選挙運動に従事しない。」◆