リアホナ2012年7月号 子供たちが主に近づく方法を教える

子供たちが主に近づく方法を教える

─中央初等協会会長会第一顧問,ジーン・A・スティーブンス姉妹の日本訪問

2012年5月下旬,中央初等協会会長会第一顧問のジーン・A・スティーブンス姉妹と,中央若い女性会長のイレイン・S・ダルトン姉妹が来日しました。5月20日には,スティーブンス姉妹が松戸ステークセンター,ダルトン姉妹が武蔵野ステークセンター(吉祥寺)で一般会員との集会に臨みました。この7月号では,スティーブンス姉妹が日本の親と子の世代へ向けて語られたメッセージを要約してお伝えします。なお,ダルトン姉妹のお話は8月号に掲載します。(編集室)

子供たちの将来への親のビジョン

スティーブンス姉妹はこの5月初旬,ユタ州ファーミントンにある集会所を訪問した。その教会の大きな壁には,1878年に組織された最初の初等協会の子供たちと女性を描いた壁画がある。当時は224人の子供たちがいた。ファーミントンワードのオーレリア・スペンサー・ロジャーズ姉妹は,この子供たちが将来どのような人物になるかについて大きなビジョンを受け,彼らの成長を助けられる組織がほしいと願った。それが初等協会発足の発端となったという。

スティーブンス姉妹はまず,会場の幼い子供を持つ家族に対して, 「子供たちに対してどんなビジョンを持っていますか」と問いかけた。母親である一人の姉妹が立って壇上に上がり,「神殿に入るにふさわしく成長し,神殿で伴侶に結び固められ,強い家族を築いてほしい」と答える。

スティーブンス姉妹はその姉妹に感謝を表し,「彼女が言ったことのすべては永遠にかかわることでした」と続ける。おもちゃやゲーム,この世の価値や達成は永遠の前にあまり大切ではない。「わたしたちは初等協会の子供たちに,天のお父様の計画を知ってほしいと思っています。この地上に来る前に何年も何年も,ここにいるすべての人たちが天のお父様と一緒に住んでいました。わたしたちは現世で一所懸命,神様の知り合いになろう,天のお父様と近い関係を築こうとしていますけれど,実際はただ忘れているだけの状態なのです。」それを理解するとき,現在の自分の生活をもっと違った目で見ることができる,とスティーブンス姉妹は語る。

そして,「どこに住んでいようと,子供たちはその土地の将来なのです。彼らは教会の将来でもあります」と続ける。子供たちは神権者となり宣教師となり,義にかなって子供を育てる父母となり,世界中で指導者になっていくのである。

「ニール・L・アンダーセン長老はこのように言いました。『わたしたちには,若人が託されています。彼らは重要な責任と偉大な霊性を持ってこの地上に来ました。彼らを備える務めをおろそかにすることはできません。親や教師であるわたしたちの課題は彼らの心に霊的なろうそくの芯を作ることではなく,前世ではぐくんだ信仰の炎ですでに赤らんでいるその芯に,風を送ってやることなのです。』※0 彼らが何者であるか,どんな人になることができるかというビジョンを持っていることは彼らの将来に備えるために必要です。」

また,今,子供たちの将来のために彼らを適切に備えているだろうか,との重要な質問を親の世代に投げかけ,中央初等協会会長のローズマリー・M・ウィクソム姉妹の言葉を引用する。「親が子供に教えなければ,世の人々が教えるでしょう。子供たちには非常に幼い時期から,この世が教えるあらゆることを学ぶ能力があります。5年後の子供たちに知ってほしいと思うことは,今日から会話の話題にする必要があります。」※1

子供という貴重な時期

「子供たちはみなさんの言うことがほんとうだと信じる心を持っています。わたしたちが真実を告げていると信頼しています。今こそ天のお父様の計画を子供たちに理解してもらう大切な時期です。彼らは天のお父様の子供であり,天のお父様が彼らを愛しておられ,気にかけておられることを知ってもらう大切な時期です。」この貴重な時期には,親だけでなく祖父母や親戚,初等協会の教師など,子供を取り巻くすべての人が彼らを教えることに尽力する必要がある,とスティーブンス姉妹は強調し,そのための方法を提案する。

福音に浸かる

スティーブンス姉妹の近所の小学校では子供にフランス語を教えるのに,「言語に浸す」すなわち授業や学校生活そのものをフランス語で行う教育法が取られている。「わたしは『そのものに浸かる』という方法がイエス・キリストの福音を教えることに対しても応用できるのではないかと考えています。わたしたちも,子供たちがイエス・キリストの福音が見られたり,感じられたり,聞けたりする場所で,福音に浸かることによって教えることができます。」そして具体的な3つの方法を挙げる。

1. 祈りという力に浸かる

ヒンクレー大管長の息子のリチャード・G・ヒンクレー長老が幼いとき,父親のヒンクレー大管長が重い肺炎にかかった。医師は,癒しの祝福をする以外にもう打つ手はない,と告げる。近所の神権者が呼ばれ,ヒンクレー姉妹は不安な面持ちで,二人の子供たちをも招き入れた。「ひざまずいてお父さんのために一緒に祈りましょう。」リチャードは母親が心を注ぎ出して祈っているのを感じ,その切望と,主への信頼を幼心に強く印象づけられた。「ヒンクレー姉妹は子供たちを連れて一緒に祈ろうとしたので,子供たちも人生の中での祈りの重要性を理解するようになりました。ヒンクレー姉妹は子供たちが天のお父

様に近く,つながりを感じられるように助けたのです。祈りの力は真実です。わたしたちが心から語り,天のお父様の祝福を求めるとき,祈りの力はほんとうのものになります。」こうした特別な機会をとらえること,また家族の祈りを常に続けることで子供たちに,一生続く祈りの規範を浸透させることができる。

2. 聖文という守りに浸かる

スティーブンス姉妹は壇上に幼い男の子を招き,大人が持ち上げているほうきの柄(鉄の棒を表す)につかまるよう促す。両手ではつかまってぶら下がることができたが,片手では落ちてしまった。このデモンストレーションを通じて,鉄の棒=聖文にしっかりつかまることの大切さをアピールする。

ある神権指導者には賢い母親がいて,幼いころから彼が毎朝シリアルを食べているときに聖文を読み聞かせた。「彼が興味がなさそうにしていたときでさえも,聖文の力は彼の心に場所を見つけて根付いたのです。子供たちを聖文に浸からせる,親しみ深くさせることはその子たちがイエス・キリストの忠実な僕になるための大きな助けです。」

3. 聖霊を感じる機会に浸かる

スティーブンス姉妹がかつて幼い子供たちを車に乗せて夕食の買い物に出かけたときのこと。坂道を下っていると,リュックを背負って歩く12歳ほどの男の子を見かけた。辺りはすでに暗く,学校の帰りにしては遅いと感じた。そのとき御霊が,「行って彼を助けなさい」との印象を与える。 躊躇していると再び同じ声が聞こえ,スティーブンス姉妹は車をUターンさせた。話しかけると,少年は涙を流した。─「ぼくはだれかが助けてくれないかとずっと祈っていたんです。」彼は最終のスクールバスに乗り遅れ,家に向かって歩いていたのだった。スティーブンス姉妹は少年を乗せ,車でもかなり遠い道のりを送り届けた。「多くの場合,聖霊はわたしたちの心に来る思いや考えといった方法で働きかけてきます。それを教える良い機会になりました。神様がこの少年の祈りにどう答えたかを学ぶ機会にもなりました。わたしたちが霊的な経験を子供たちと分かち合ったり,そうしたことに浸かるような経験をさせてあげることで,子供たちは献身的で忠実なイエス・キリストの僕となることができます。」

主に近づく能力を養う

「子供たちがたとえ何歳であっても,彼らが天のお父様に近づける能力を持っていることが大切なのです。……『わたしに近づきなさい。そうすればわたしもあなたに近づこう。』祈り・聖文を読むこと・聖霊を感じて認識することは,子供たちが主に近づくための方法です。わたしたちの家族の中にこういった規範がしっかりと築かれていることは,天のお父様のもとに戻るために大切なことです。わたしたちは天のお父様の顔を認識することができます。主はこの教会の頭として立っておられ,わたしたち一人一人が主に近づくことを願っておられます。」◆