リアホナ2012年1月号 アジア北地域会長会 年頭メッセージ

◉ アジア北地域会長会 年頭メッセージ

トーマス・S・モンソン大管長は2008年10月の総大会で,問題や変化,落胆に遭遇するとしても,「人生の旅路に喜びを見いだ」さなければならないと会員たちに語りかけました。人生で何が最も大切かを悟ると,受けている祝福に対する感謝の念に満たされる,と述べました。「死すべき世は,一人一人に与えられた唯一無二の機会です。長く生きれば生きるほど,一生の短さを悟ります。様々な機会が訪れては去ります。地上でのこの短い人生で得られる教訓の中で,最も重要な教訓の一つは,大切なこととそうでないことを区別するよう教えてくれる教訓であると,わたしは信じています。皆さんに切にお願いします。したいことを全部するだけの時間が与えられるような,非現実的な架空の将来のためにあれこれ計画している間に,人生で最も大切な事柄をやり過ごしてしまわないようにしてください。そうではなく,今,人生に喜びを見いだしてください。」1,2

十二使徒定員会のジョセフ・B・ワースリン長老も同じようなことを述べています。「人生には山も谷もあるし,何もかもうまくいかないと感じることはだれにでもある。でも,落胆や逆境にもめげず幸福な人たちは,困難から学ぶ方法を知っているので,彼らは,さらに強く,賢く,幸福になっていく。」3

東日本大震災が起きた直後に,わたしたち地域会長会は仙台へ向かい,地元の神権指導者や会員たちに会うことができました。目をそむけたくなるような有様でした。自然災害の恐ろしさをだれもが感じました。2011年3月11日の地震後最初に開かれた聖餐会はビショップが話しているときに大きな余震が起きたため一時中断しました。状況は言語に絶するものでした。会員たちが信仰と生き抜く決意をもって顔に笑みを浮かべている光景に接することなど考えてもいませんでした。……けれどもそうした会員たちを目にしたのです。そのような例は数え切れないほどあります。わたしたちは一人の忠実な姉妹のことを決して忘れないでしょう。夫に先立たれた姉妹でした。その姉妹はその初めての聖餐会に自転車でやって来ました。まだ多くの道路が封鎖されたままだったため,教会まで2時間以上もかかりました。ヘルメットをかぶり,余震が続く中を恐る恐るペダルをこいで来ました。水が不足していたため,彼女は唯一手もとに残った大きくて重い水の容器を自転車のかごに積んでいました。その日教会に来る会員の中で水がまったくない人がいるかもしれないと思ったからでした。駐車場で出迎えると,彼女はほほえんでこたえてくれました。その笑みはすばらしく輝いていたため,彼女を見た全員が心を打たれました。自分の家はひどく壊れているが,それでも雪や冷たい雨をしのぐ屋根が残っているから感謝していると彼女は言いました。

主は,この世の旅路を歩むための導きを与えておられます。その道がいつも平らであるとは言っておられません。教義と聖約の中で主は「あらゆる思いの中でわたしを仰ぎ見なさい。疑ってはならない。恐れてはならない」4 と言っておられます。また,次のようにも教えておられます。「……あなたがたは……父がどれほどの大いなる祝福を御手の中に持っていて,あなたがたのために備えておられるかをまだ理解していない。あなたがたは,今はすべてのことに耐えることはできない。しかし,元気を出しなさい。わたしがあなたがたを導いて行くからである。王国はあなたがたのものであり,その祝福もあなたがたのものであり,また永遠の富もあなたがたのものである。」5逆境のさなかにあってもあらゆるところで喜びの模範を示している会員たちの様子を目にして,わたしたちはへりくだり,そして感謝しています。わたしたちも彼らの模範に倣い,「人生の旅路に喜びを見いだす」ようにと言われたモンソン大管長の勧告に従っていきたいと思います。

心からの愛と感謝を込めて,

アジア北地域会長会

マイケル・T・リングウッド  ゲーリー・E・スティーブンソン  青柳弘一