リアホナ2012年2月号 北の大地に流れる救い主への賛歌

北の大地に流れる救い主への賛歌

──ヘンデル「メサイア」コンサートを北海道の3ステークと伝道部が合同で開催

2011年の暮れも押し迫った12月29日(木),札幌市厚別区の札幌ステークセンターにて,札幌,札幌西,旭川の3ステークと札幌伝道部の合同主催による第1回メサイアコンサートが開かれた。

「メサイア」はヘンデルの作曲になるオラトリオ(聖譚曲)で,イエス・キリストの生涯を題材とし,声楽とオーケストラにより演奏される。全部で50数曲に及ぶ作品中,この日は19曲を抜粋して演奏された。管弦楽団は19人編成で,そのうちの半分が教会員であった。声楽部は51人と,スペシャルゲストとしてバリトン歌手の西島厚氏が招聘された。

年の瀬,またあいにくの雪の天候にもかかわらず,札幌ステークセンターは礼拝堂からホールまで約600人の観客で埋まり,立ち見も出る盛況であった。

このコンサートは,2011年夏に札幌伝道部会長に着任したエリック・C・エバンズ会長夫人のリサ姉妹が,2009年のクリスマスに受けた霊感に始まる。当時,家族と日本に住んでいたリサ姉妹はソルトレーク・シティーに帰郷し,教会のメサイアコンサート演奏に参加していた。そのとき,「日本で教会の知名度を上げるために,また伝道のために質の高いメサイアコンサートを行うのはすばらしい方法だという啓示を受けました」とリサ姉妹は語る。その後,夫妻で札幌に着任してからリサ姉妹は,旭川ステーク札幌東ワードビショップの千葉隆芳兄弟・美香姉妹が関係する管弦楽アンサンブルの演奏会で演奏するよう招かれた。これが機縁となり,かねてよりリサ姉妹の心に温められてきた年末のメサイアコンサートが企画されることとなった。

しかし,エバンズ会長から3ステークの会長会に提案がなされたのはすでに9月,本番まで3か月しか時間がない。札幌ステーク会長会第二顧問の安田正彦兄弟は思わず,「来年からではだめですか?」と口にしたという。

実行委員長となった安田会長から指揮者に指名された,札幌ステーク高等評議員の濵村隆康兄弟も, 「これは無理だ」と困惑した。高校教員である濵村兄弟は吹奏楽部の顧問をしているが,弦楽器についての知識はない。練習時間は完全に不足し,管弦楽と声楽の合わせは5,6回しかできない。「プロならともかく,アマチュアには難しい」と感じた。

管弦楽についてはコンサートミストレスのリサ姉妹が指導した。エバンズ家の3人の娘さんも来日し,弦楽器パートに参加した。

多くの困難を乗り越えて迎えた当日。その感慨を濵村兄弟はこう語っている。「演奏後の聴衆の反応がすべてを物語っていました。まさに『奇跡』が起きた……たとえ困難なことが続いたとしても,その目的が正しいかぎり,最後まで堪え忍ぶのであれば,わたしたちは祝福されるのです。」

ドイツに留学して音楽を学び,当日はハープシコードを演奏した愛宕枝里香姉妹はこう語る。「本番中に……感謝と喜びが込み上げてきました。御霊を強く感じました。主が今も生きておられ,この会場を見守り,演奏を聴いてくださっていると思うと涙が出そうで,こらえるのが大変でした。」

リサ・エバンズ姉妹はこう振り返る。「わたしの希望と期待のすべてを超えていました。多くの,教会員ではない人と教会に来ていない会員がコンサートに出席してくださいましたし,何人かの新しい求道者を見つけることができました。新聞には記事が載りましたし,わたしたちは札幌での評判を築いていく助けとなる新しい伝統を始めることができました。短いリハーサルの時間しかなかったにもかかわらず,わたしたちの想像をはるかに超えるすてきな演奏をするために, わたしたちを導く主の御手を感じました。」◆