リアホナ2012年4月号 十二使徒のオークス長老が東北被災地を訪問 ─東日本大震災後1年を経て

十二使徒のオークス長老が東北被災地を訪問 ─東日本大震災後1年を経て

十二使徒定員会会員のダリン・H・オークス長老と七十人定員会会長会のドナルド・L・ホールストロム長老が2月18日に日本を訪問し,26日まで滞在した。18日と19日に福岡ステーク,熊本ステーク,長崎地方部を訪問し,宣教師訓練集会,神権指導者会,補助組織訓練集会で指導を行った。

 21日に東京で宣教師訓練集会を終え,23日からは仙台周辺の被災地を訪問した。宮城県東松島市と石巻市を訪れたオークス長老夫妻とホールストロム長老夫妻は,被災地を視察するとともに,教会が行った人道支援活動やモルモン・ヘルピングハンズの活動についてアジア北地域会長会から報告を受けた。24日には宣教師大会と,仙台ステークの一般会員を対象とした集会が開催され,被災した教会員たちに慰めと励ましがもたらされた。25日には札幌での大会が予定されていたが,雪のために飛行機での移動が困難になり仙台への滞在を余儀なくされた。そのため,急遽,ウェブキャスト(教会施設間を結ぶインターネット回線)で札幌の会場とつなぎ,簡易的なシステムで神権指導者会と補助組織訓練集会が行われた。結局,オークス長老夫妻の一行は札幌へ向かうことができず,北海道の会員たちと交流する機会は持てなかったが,北海道の指導者や会員からは「被災した仙台地域の会員の皆さんのところへ少しでも長く使徒が滞在し,祝福と癒しがもたらされることは喜ばしいことです」との言葉も贈られた。

 今回の訪問の中でオークス長老とホールストロム長老は,自然災害をわたしたちは避けることができないと語り,備えるという原則を繰り返し述べた。しかし,それと同時に,わたしたちの人生はすべてが予定どおり進むのではなく,様々な障害や困難によって閉ざされてしまったかのように感じることもあると話した。そのためにも,万全の備えをするとともに,直面した問題を解決するために柔軟に対応できる能力も備えなければならない。「具体的に計画を立て,柔軟性をもって実行してください」とオークス長老は強調した。

 中央幹部の滞在は事前に綿密なスケジュールが立てられるが,今回,時ならぬ大雪によって札幌訪問の予定がキャンセルされた。それにもかかわらず,ありあわせの機材のみによるインターネット通信で札幌の会員との集会が実現した。オークス長老の言葉には,このことも念頭にあったと思われる。

 また,オークス長老が仙台へ向かう際,東京駅にてこのようなエピソードもあった。東北新幹線の上り列車が終点の東京駅に到着すると,ホームで待ち構えていた清掃チームが車内に入り,緻密な分担作業によりてきぱきと短時間で清掃を終え,下り列車として乗客を迎える。オークス長老は乗車を待ちながら,この清掃作業を興味深く観察し,これは日本人にしかできない! と感心したという。

地域会長会の青柳弘一長老はそれを受け,後日次のように語った。「日本人は緻密に計画するのが得意ですが,教会ではよく準備をしたうえで,御霊の導きを受けて柔軟に行う必要があります。人の思いではなく神様の業ですから。しかし,準備をしっかりしないと主の導きは得られません。」◆