リアホナ2011年4月号 十二使徒のホランド長老とクック長老が日本を訪問

十二使徒のホランド長老とクック長老が日本を訪問

──宣教師制度を含む学生の学外活動について,日本の教育政策関係者に提言を行う

2011年2月12日から20日にかけて,十二使徒定員会会員のジェフリー・R・ホランド長老とクエンティン・L・クック長老,また七十人会長会のロナルド・A・ラズバンド長老がアジア北地域のエリアレビューの一環として韓国と日本を訪れた。

ホランド長老とラズバンド長老は東京伝道部,名古屋伝道部を訪れ,神権指導者や宣教師との集会に臨んだ。15日には東京・吉祥寺の武蔵野ステークセンターで会員とディボーショナル(礼拝集会)を行った。関東地区から1,200人以上の会員が詰めかけ,ホールや教室に入りきれない会員は廊下や玄関で使徒のメッセージに耳を傾けた。19日には同様に名古屋市公会堂の大ホールでディボーショナルが行われ,約1,000人の中部地区の会員が集った。20日の安息日にはホランド長老が静岡ステーク大会を管理し,ラズバンド長老は名古屋東ステーク大会を管理した。一方,クック長老は,神戸で神権指導者との集会に臨み,13日の安息日には岡山ステーク大会を管理,16日には明治神宮を表敬訪問した。

教育政策のVIPと宣教師制度について語る

2月16日,これまで教会と交流を重ねてきた遠藤利明衆議院議員(自民党筆頭副幹事長)の仲立ちで,元文部科学副大臣の塩谷立衆議院議員,前早稲田大学総長の白井 克彦先生を迎え,教会の中央幹部との朝食会が行われた。教会側はホランド長老,ラズバンド長老,アジア北地域会長会のゲーリー・E・スティーブンソン長老と顧問の青柳弘一長老,教会広報部のコナン・P・グレームズ長老と新山靖雄 長老が出席した。 

この席上では,ブリガム・ヤング大学の元学長であるホランド長老を中心に,若人の教育について意見が交わされた。特に,日本における大学の休学制度について焦点が当てられた。ホランド長老は,在学中に一定期間休学し,留学やボランティアなど学外での活動に携わることが,若人の人格形成に得難い教育的影響を及ぼすことを強調した。ブリガム・ヤング大学では7割の学生が帰還宣教師であって,その経験が,学術的にも貢献し,キャンパス内の国際的な文化環境形成にも資するなど,大学にとっていちばん良い影響力を発揮している,とホランド長老は語る。伝道で培われた資質や見識,語学力を生かし,ビジネスなどの一線で国際的に活躍する実例が提示され,日本の学生にどのようにして同様の良い経験が与えられるか,との対話が交わされた。そうした学生がもっと容易に休学できるような,また休学中の学費をなるべく負担することのないような制度の確立に向けて,今後,日本国としても対応できるよう討議を進めることが話し合われた。ちなみに,教会の宣教師制度が学生に及ぼす良い影響については,昨年の8月5日に菅 直人 首相が国会答弁でも言及している。

また,ブリガム・ヤング大学と早稲田大学が姉妹校として提携し,教授レベルから学生レベルまで人材交流などを推し進めていくことが提案された。ホランド長老は白井先生と遠藤議員,塩谷議員に向け,ブリガム・ヤング大学を視察するよう招待した。

自民党の谷垣総裁と会談

その後,一行は永田町の自民党本部を訪れ,歴代自民党総裁の肖像写真が並ぶ幹事長室にて谷垣禎一総裁と約15分にわたって会談した。ホランド長老は,歴史的な部屋で谷垣総裁と会談できることへの感謝を伝え,教会が家族のきずなと若人の将来を大切にしており,日本の教育や家族のために教会がどのように役立てるかを常に考えている,と語り,日本に常駐する中央幹部である地域会長会を紹介した。

それを受けて谷垣総裁は,経済的にも文化的にも自信を喪失した日本では,児童虐待などに見られるように,家族のきずな,地域社会のきずな,政党と国民との信頼のきずなが緩んでいる,それをいかに再生するかが課題である,と語り,取り入れるべきは取り入れたい,と謙虚に耳を傾ける姿勢を示した。ホランド長老は,家族を強めることが社会を強めることであり,家庭の生活が安定する限り,国家も安定するとの福音の原則を示した。児童虐待のような家族間の悪循環を断つために,この教会のみならず日本の伝統宗教も大きな役割を果たせる,と述べ,また教育を受ける人が社会的にも役立つ人になる,と若人の育成の大切さを強調した。谷垣総裁は,遠藤議員と塩谷議員を,自民党の教育政策立案の中心メンバーであるとホランド長老に紹介した。お互いに笑顔を交え,終始,和やかな雰囲気での会談であった。

なお,日本の大学でも昨今は,休学して様々な経験を積もうとする学生に対して門戸を開く趨勢にある。最近,これから休学して伝道に赴こうとしている明治大学と慶応義塾大学の兄弟姉妹から,2011年春より大学の制度が変わり,休学中の学費が以前より大幅に減免された,との報告が寄せられた。彼らは,「この出来事を通して,わたしは主の助けを確かに感じることができました」「祈りが聞き届けられたと思い,ほんとうに感謝しています」と喜びを表している。◆