リアホナ2010年12月号 この町に末日聖徒19

この町に末日聖徒19

小さな教会,大きな信仰── 日本でもっとも小さなユニット大阪堺ステーク新宮支部

和歌山県新宮市。人口3万人程度の市に新宮支部はある。現在この支部では活発な会員,宣教師含め8人ほどが,毎週この小さな教会に集っている。「実はこれね,すごいことなんですよ」と語るのは5年前にバプテスマを受けて以来,毎週欠かさず教会に来られている坪井秀夫兄弟だ。「だって一昨年は活発な人が2人しか来ていなかったんですから。宣教師を入れても4人だけの聖餐会はとても寂しかったんですよ。」

しかし小さいから悪いということはない。むしろ良いところがたくさんあるという。坪井兄弟はこう続ける。「わたしは前に人数が100人を超えるワードに行ったことがあるんですよ。そのときの聖餐会で壇上で話していた方が『1年ぶりにこの場で証をします』って言っていたんですね。新宮支部は小さな支部だから月に何回でも聖餐会で証をする機会に恵まれています。そうです。証を多く述べられる機会があることはとてもうれしいです。」

また新宮支部はとても小さな支部なので,宣教師の役割は大きい。教会の事務や管理などは宣教師が行っている。「わたしは新宮駅に着いてすぐに思いました。『ああ,ここでバプテスマをするには主に人を連れて来ていただくしかないな』と。そして新宮支部の皆さんが主に頼っている結果,ほんとうに立て続けにバプテスマが増え続けているんですよ。不思議なくらいに」と語るのは,現在この支部で働いている水口長老だ。

「2年前に和田ご夫妻,去年の12月に高丸維久子姉妹,そして今年の4月に永井英雄兄弟といった具合に。まさに奇跡ですね。新宮支部の方々が主に頼ったときに主が人を連れて来てくださる……伝道が主の業であることを改めて思い知らされましたね。」──アメリカのフロリダ州から来たソロモン長老は新宮支部についてこのように語った。「宣教師としてこのような機会はとても特別な祝福であり感謝しています。とても不便な場所だということは聞いていたのですが,ほんとうにそのとおりでした。しかし,会員の皆さんの信仰の強さにはとても驚かされます。」

最近改宗した高丸姉妹は,次のように教会について感じている。「この教会に通うようになって,宣教師さんたちや支部の人たちの優しさに触れることは,わたしに平穏な気持ちをくれました。日々の生活の不安や将来の不安,娘の病気や孫の養育など暗闇の中でもがいていた現実は変わらなくても,現実に向き合う気持ちが変わっていったように思います。心を患っている娘には,表情,言葉,行いすべてがよりいとおしく感じ,大きな気持ちで彼女の快復を見守っていこう,また彼女の息子も子育ては大変だけれど娘の分までいっぱいの愛で育てていこうと思い,その気持ちはまるで神様が支えてくれているようなそんな思いがします。聖霊を受けてより心の平安を頂き,頑張っていこう,頑張っていけるという自信がわいてきます。だからわたしは教会に行くことが大好きです。」

今年の4月に改宗した永井兄弟はこの教会の必要性について,改宗してすぐとは思えないほど力強く証した。「ほんとうにこの教会についてたくさんの人が知った方がいいですよ。この教会に来たときに,自分が夢だと思っていたものが来たというか,わたしが求めていた宗教にピタッとはまったんですよね。末日聖徒イエス・キリスト教会のことを知らないせいで,たくさんの人がいろいろなことで悩んだり罪とかに縛られていると思います。もっとこの教会は人々に知られるべきですよ。」

その新宮支部,福音の勉強ということに対してとても熱心だ。新宮支部の中で「勉強会」と呼ばれている福音のレッスンは,会員の家や教会などで1週間に何回にもわたって開かれている。「皆さんとても活発でびっくりしています。なんと1週間の間,日曜日以外の日にほとんどすべての教会員と会うんですよ」と水口長老は語る。

この勉強会の常連は,2年前にバプテスマを受けた和田ご夫妻だ。夫婦でよくこの勉強会に来られることが多い。「わたしは教会に行くと安心するんです。この勉強会はわたしにとって知らないことを学べるのでとてもうれしく思っています。またこの勉強会に出ることによって,イエス様に守られていることにわたしは感謝しています」と和田美子姉妹は語る。また一緒に参加する和田武俊兄弟も「わたしは妻ほど勉強会には行けていないが,仕事のないときは行くようにしているんですよ。福音の教えの中に理解できないことがたくさんあって,自分の知識のなさを痛感しましたからね。聖句を学び御霊を感じることには,とても喜びを感じますね。」

「確かに御霊のあるすばらしい支部だと感じる」(水口長老)という新宮支部,今掲げている目標は「聖餐会出席人数10人」だという。多くの人々が集まる大きな集会所ではないが,主イエス・キリストは確かに小さい群れをも祝福してくださっていることが分かる。◆レポート:水口福太郎長老 神戸伝道部専任宣教師