リアホナ2009年8月号 ─豆知識⑯─ 正しい財政管理

─豆知識⑯─ 正しい財政管理

トーマス・S・モンソン大管長                                                                                      

  (地域福祉部)

50年前(訳注:現在から数えて73年前)の4月5日,当時の地上における神の教会の預言者,聖見者,啓示者たちは一堂に会し,大変重要な会合を開きました。その会の管理者はヒーバー・J・グラント大管長,そしてその顧問はJ・ルーベン・クラーク・ジュニア管長と,デビッド・O・マッケイ管長でした。これを機に,福祉計画として知られる永遠の原則が,今日教会に取り入れられるようになったのです。……

その同じ年の10月の総大会で,ヒーバー・J・グラント大管長は,教会の福祉活動の基盤となる原則を説いた大管長会のメッセージを読み上げました。その一部に,次のよく知られた一節があります。「わたしたちの第一の目的は,可能な限り,忌まわしい怠惰や施しのもたらす悪弊を除去し,独立心,勤勉,倹約,自尊心を再びわたしたちの間に確立する体制を築くことである。教会の目的は,人々の自立を助けることにある。勤労が再び教会員の生活を貫く原則にならなければならない。」(Conference Report,1936年10月,3)

このプログラムがスタートして以来,教会は,神より状況に応じた適切な指示を受けてきました。福祉の原則を実践するための……基本となる原則は変わりません。それは今後も変わることがないでしょう。なぜならそれらは啓示として与えられた真理だからです。……わたしはこれらの指導原則を次のようにまとめてみました。まず,労働,自立,正しい財政管理,1年分の貯蔵,(同居している両親や子供だけでなく)親戚の人々の世話,そして教会の援助手段の賢明な利用です。

収入の範囲内で生活する

収入の賢明な使い方に関する助言ほど,繰り返し与えられてきているものはありません。現在,世界各国の個人個人の負債額は,驚くべきレベルに達しています。教会員の中にも,不必要な借金を負っている人が大勢います。そのような人々の経済的蓄えは,たとえあってもごくわずかです。こうした状態を避けるための解決策は,まず予算を立て,収入の範囲内で生活し,幾らかを将来のために蓄えることです。以下のJ・ルーベン・クラーク・ジュニア管長の率直な助言ほど,借金をすることで負う過酷な負荷を明確に教えてくれるものはありません。「借金に対する利息を払うことは,財政,経済上のルールとして世界共通です。利息について少しお話ししてもよろしいでしょうか。

利息は眠ることも,病気になることも,死ぬこともありません。入院もしません。日曜日も休日も働き,決して休暇を取りません。訪問も旅行もせず,娯楽にも興じません。人員整理もなければ解雇されることもなく,時間を短縮して働くこともありません。……ひとたび借金をすると,利息は昼夜を問わずあなたにつきまといます。あなたはそれを遠ざけることも,逃れることも,また捨て去ることもできません。利息は懇願にも,要求にも,命令にも応じません。そしてやり方に口をはさんだり,反したり,要求に応じなかったりしようものなら,たちまちあなたを押しつぶしてしまいます。」(Conference Report,1938年4月,103)

主に対して貸し借りはないだろうか

正しい経済管理の一面に,上手に予算を立て,貧しい人々のために主に断食献金をささげるというのがあります。自らを整え,完成に近づきたいと思うのであれば,わたしたちはこの原則を感謝と喜びの気持ちをもって取り入れなければなりません。

わたしが若くしてビショップをしていたときのことです。ある晩遅く病院からの電話で,ワード内の,夫に先立たれたある姉妹が亡くなったという知らせを受けました。

わたしは病院に行き,彼女のアパートの鍵をもらうと彼女の残したメモに従って行動しました。彼女の住んでいた質素な地下のアパートの部屋に入り,明かりをつけると,狭い居間に置いてあるテーブルのところに行きました。テーブルの上には,小さな瓶が二つあり,その下にメモがはさんでありました。瓶には硬貨がびっしり詰まっています。身内に生存者がだれもないこの優しい,小柄な,夫に先立たれたキャサリーン・マッキー姉妹は,このようなメモを残していたのです。「ビショップ,これはわたしの断食献金です。わたしは主に対して貸し借りはありません。」

わたしたちも互いに「主に対して貸し借りはないだろうか」と問い合う必要があるのではないでしょうか。まことの断食の原則を思い起こしてください。それは,飢えた者にわたしたちのパンを分け与え,さすらえる貧しい者をわたしたちの家に入れ,裸の者を見てこれに着せ,自分の骨肉に身を隠さないなどといったことではないでしょうか(イザヤ58:7参照)。正直な断食献金,惜しみない断食献金は,わたしたちがこの特別な律法を理解し,従うことを天の御父に示すことにほかなりません。

わたしたちは,主イエス・キリストの弟子でありたいと思います。個人として家族として備え,教え,高め,築き,動機付け,霊感を受けて,生活をこれらの福音の原則に添わせられますように。わたしは神が生きておられ,イエスがキリストであることを証します。またわたしたちが教会の福祉計画と呼んでいるこのプログラムが,神より与えられたものであり,神の子供たちに祝福を与え,昇栄をもたらすものであることを証します。◆