リアホナ2009年10月号 ─豆知識⑰─非常用預金の「銭(セン)シブル」な方法

─豆知識⑰─非常用預金の「銭(セン)シブル」な方法

(地域福祉部)

(訳注:「センシブル」(sensible)とは「賢明な」という意味の英語である。本記事の英文タイトルの“Centsible”は,アメリカの通貨“cent”(セント)と掛け合わせた造。)

職を失い,何か月も就職できなくなったらどうしますか? 予定外の医療費を支払うことになったらどうしますか? けがで職場を離れ,長期療養することになったら? あるいは,洗濯機と自動車が同時に故障したら? もしくは,家族のだれかが入院することになり,医療保険に加入しているものの,自己負担金が高かったら,どうしますか?

皆さんは,そのような経済的危機を補えるだけのお金を持っているでしょうか?持っていないとしたら,大切なのは,非常用の預金口座を開くことです。経済危機のショックを和らげてくれるでしょう。

費用を計算する。理想的な非常用の預金口座を整えるための第1の目標は,少なくとも3か月分の出費を補える額を持つことです。それができたら,目標を6か月分,9か月分,12か月分に増やしていくことができます。財政の専門家は,経済危機のときには,家族は通常,出費を半分に減らしてでも生きていけると述べています。つまり,危機の期間の出費の月額が異常に高くなる場合を除き,恐らく1か月と半分の収入で3か月の生活費を賄うことができるだろうということです。食糧,衣服,その他の物品を,1年分の貯蔵品に頼ろうと考えているのであれば,目標額を調整することができるでしょう。

非常用の基金を蓄えるために,徐々に貯蓄を増やしたい人もいるでしょう。そのような場合,給与のサイクルごとに少しずつ貯蓄する方法が良いでしょう。例えば,給料が週払いの場合は,毎週お金をためます。月ごとに給料が支払われる場合は,毎月基金に加えます。専門家は,収入の10パーセントを貯金するように勧めています。我が家の場合は,最初は収入のわずか2.5パーセントしか貯金できませんでしたが,努力を続けて,やっとのことで目標に到達しました。努力することを通じて,節約上手になりました。幾ら蓄えることにするにせよ,大切なのは,定期的にお金を預金口座に入金することです。

基金の利用。非常用のお金は,困ったときに利用できるようにしておくべきですが,あまりにも簡単に利用できるものであってはなりません。日々の出費のために使う誘惑を受けてしまいます。浅はかにお金を引き出すことなく,安全に蓄えておくために,自制心を働かせ,以下のガイドラインに従うとよいでしょう。(1)非常用の預金口座を,その他の口座と別の場所に保管する。(2)非常用の預金口座のためのカードや小切手を作らないで,銀行に行かなければ引き出せないようにする。(3)非常用のお金を使うのはどのような場合かを,前もって決めておく。

また,利子を生む口座を持っておくことも賢明なことです。わたしたちの第1の目標は,いざというときのためのお金を持っておくことです。しかし,それが同時に利子を生む口座であれば,割増金が得られます。

始める。通常,これが最も難しい部分です。決意が鍵です。非常用預金口座への入金は,あたかもその他の請求書への支払いと同じように行わなければなりません。自動給与天引き制度を利用するにせよ,自分で口座に入金するにせよ,大切なのは,自分の預金制度を築く決意をすることと,自分の将来の経済的安定のために備える責任を引き受けることです。

忍耐をもって粘り強く,自分の非常用預金口座に入金してください。経済的な目標を達成するには,少しずつ,定期的に入金する必要があることを忘れないでください。ほとんどの人にとって,経済危機にうまく対処できるほどのお金を蓄えるには,1年から3年かかります。──ユタ州サンディー,バーン・コックス◆