リアホナ2009年1月号 ─豆知識⑩─ 求職者への支援(続)

─豆知識⑩─ 求職者への支援(続)

(地域福祉部)

人類が初めて地球に送られたときから,人はすべての生き物を治める権利を受け,働くよう命じられました。労働は人が自立するための手段です。労働を通して,人は視野を広げ,技術と才能を高めるのです。肉体的なものであれ,情緒的,霊的なものであれ,人は働くときに喜びと平安を感じます。誠実で勤勉な労働を通して,わたしたちは周囲に良い影響を与える者となるのです。

一般的に日本人は大変勤勉です。日本人は戦争で打ちのめされた国を経済大国に変身させました。第二次世界大戦後,日本人は高校や大学を卒業すると一つの会社に就職して定年まで勤めました。それがその人の一生の職業となるのです。簡単な制度ですが,うまく機能しました。欠陥があるとの指摘もありましたが,家族,地域社会,企業に安定をもたらしました。

しかし,状況は変わりました。ビジネス界にアメリカの影響が押し寄せたせいか,バブルが崩壊したためか,安定した労働環境にぐらつきが生じました。それまでは,日本の企業は終身雇用制を標榜し,企業は社員の面倒を見,社員は企業に忠誠を尽くしていました。しかし今はそうではありません。

企業の考え方の変化に伴い,労働者の意識も変わってきました。会社にとどまるのは,自分にメリットがある間だけと考えるようになったのです。働く世代の中に「ニート」「フリーター」「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」「派遣社員」など,2,30年前には聞いたこともなかった言葉が使われ,当たり前のように受け入れられています。

神権指導者への助け

ビショップやその他の神権指導者にとって,もっとも神聖な義務の一つは,彼らが仕えている人々の物質的必要の面倒を見ることです。失業中あるいは不完全雇用の会員は,多くの場合,落胆し,挫折感と不安にさいなまれています。家族を支える十分な収入のない人,日曜日に働かなければならず教会に出席できない人,奉仕のために十分な時間が取れず召しを果たせない人もいます。

ビショップやその他の神権指導者には,LDS職業支援サービスという頼もしい味方があります。このプログラムは,神権指導者がそれぞれのユニットで効果的な職業支援体制を作るのを助け,雇用スペシャリストに必要なトレーニングを行います。さらにLDS職業支援サービスは,プログラム参加者の人脈を広げるために,業界関係者を紹介したりしています。

求職者は神権指導者の助けを得て,雇用主と見込み従業員のマッチングをする,教会の就職データベースに登録することができます。会員たちが自立し,喜んで働くことのできる仕事に就けたとき,ビショップやともに働く神権指導者は,その手助けができた喜びをかみしめることでしょう。

1996年10月号の『エンサイン』(Ensign)で,トーマス・S・モンソン大管長はある神権定員会の指導者について話しています。その指導者は,自分のビジネスの経験を生かしながら「ビショップの倉」の原則に従い,人々の就職活動の援助をしました。彼はモンソン大管長に言っています。「今年わたしは,失業していた12人の兄弟が定職に就く手助けをしました。」

この神権指導者は困っている人を助けることで愛を示したのです,とモンソン大管長は書いています。

「キャリアワークショップ」でキャリアチェンジに成功

また求職者は,教会が開発しLDS職業支援サービスが提供する「キャリアワークショップ」に参加して,安定した雇用を得るための技術や知識を無料で学ぶこともできます。最近,実際にあったケースから,ある姉妹の手記をご紹介しましょう。

「キャリアワークショップにタイミングよく参加できたおかげで,仕事がすぐ見つかり祝福を受けたことをとても感謝しています。

自分のスキルが再発見され,自分独りでは申し込まなかったであろうキャリアチェンジにつながりました。ワークショップの『情報収集』の単元で,教会のホームページの求人情報を閲覧しました。そのとき一緒にワークショップに参加されていた方が,わたしの興味のある会社の求人担当者の友人でした。こんなこともあって話はスムーズに進みました。たまたま空いたばかりのポジションを紹介していただいたのも何かのお導きであったと思います。面接もワークショップを受けた後すぐであっただけに,成果が現れたと思います。

以前は会計の仕事で数字を一日中見ていましたが,この度一転し,語学で培ったコミュニケーション力を生かして,顧客満足のためのケアを常に考えるといったコンシェルジェ(管理関係)の仕事に就きました。以前より収入は減りましたが,より人間的な感性を生かして,バランスの取れた生活をこれからしばらく過ごせそうです。新しいチャレンジに向けこのように自分を磨くチャンスが与えられたことをとても感謝しています。」◆