リアホナ2009年1月号 地域活性化のイベント

地域活性化のイベント

「100本のクリスマスツリー」で歌う聖歌隊── 松戸ステークつくばワード

「それでは,末日聖徒イエス・キリスト教会聖歌隊の音楽をお聴きください!」──2008年12月6日,暮色に包まれた茨城県つくば市で司会者の声が響いた。地域活性化のためのイベント「100本のクリスマスツリー」点灯式でのことである。

1985年に科学万博が開催されたことで知られる筑波研究学園都市の中心に位置するつくばセンタービル広場では,1998年より「100本のクリスマスツリー」(www.100-tree.com)が開催されている。これは,夏休みに地域の子供たちから募ったクリスマスツリーのデザイン画を審査し,入選したものを実際に作ってクリスマスの季節に展示するイベントである。今では1,400点以上もの応募作から60点が厳選され,ほかの団体や企業によるものとあわせて100本のクリスマスツリーが12月に広場を飾る。作品が入選した子供たちの家族は総出でツリーの制作にあたることになり,家族のきずなを深める絶好の機会にもなっている。2007年には「世界のこどもたちとの交流」枠で,元つくばワードのデービス家族(現在米国ユタ州に在住)から寄せられたデザイン画を基に,つくばワードの青少年たちが制作したツリーも出展された。

美しいイルミネーションで彩られた100本のツリーが立ち並ぶ広場では,ミニコンサートなど期間中様々なイベントが催される。この「100本のクリスマスツリー」実行委員会の一員が教会員であった縁から,つくばワードの聖歌隊も2005年からミニコンサートに出演するようになった。やがてその歌声が認められ,2007年からは点灯式で歌うことになったのだった。

つくばワードではかねてから聖歌隊の活動に力を入れてきた。根本清貴ビショップはそのビジョンをこう語る。「1993年にステーク音楽委員として召されてからずっと,わたしはクリスマスコンサートにかかわってきました。その中で,『上質の音楽は多くの人が御霊を感じる助けになる』ことを経験してきました。さらに,クリスマスコンサートは教会員でない人々も誘いやすい方法であると感じてきました。『会員が肩に力が入りすぎずに自然体で伝道ができるように』という動機で聖歌隊を維持しています。ある姉妹は求道者時代から聖歌隊に加わってくださり,皆と一緒に活動していました。改宗後も聖歌隊を継続され,聖歌隊は友人となる一つの方法であったかと感じます。

また,地域の活動に参加することにより教会の認知度が上がっています。『100本のクリスマスツリー』では,わたしたちが何も言わなくても司会者の方が『末日聖徒イエス・キリスト教会』の名前を連呼してくださいます。一般の方々で聖歌隊に参加してくださっている方もいらっしゃいます。聖歌隊を通じて,様々な人々と交流するチャンスができています。つくばワードはたまたま聖歌隊でしたが,いろいろな方法があるでしょう。今の世界では,様々な面で『上質なもの』が求められています。わたしたちは『心を感動させる』ことでは一流になれると思います。一芸に秀でる方法を模索することは大事かなと思います。」

こうしたビショップのビジョンを「質」の面で支えてきたのがつくばワードの田中ご夫妻である。田中安紀子姉妹は聖歌隊指揮者,田中明彦兄弟は伴奏者を務める。安紀子姉妹は3歳ごろからピアノとクラシックバレエを始め,21年前から個人レッスンを受けて声楽を本格的に始めた。ロサンゼルスのオペラカンパニーのオーディションに合格し,5公演に出演した経験もある。帰国後も2人の声楽家からレッスンを受け,茨城県内の小中学校のための芸術移動教室に定期的に出演している。明彦兄弟も子供のときピアノの基礎を学び,その後独学で高校卒業までに賛美歌を全部弾けるようになった。

また2007年からは息子さんがドラムで聖歌隊と共演している。安紀子姉妹はこう話す。「指揮に関しては教会の召しを通して経験から学んだことがほとんどですが,『とにかく分かりやすく』をモットーに取り組んできました。参加してよかったと思っていただけるように指導の質を上げることと,教会内外を問わず,目標となる発表の場を作ること(ビショップと音楽委員長が率先してやってくださっています)を努力しています。今現在のレベルで最善を尽くすことによって,御霊の助けが得られます。5年前に始めた当初から本番では必ず御霊の助けがありました。皆の気持ちが一致し,霊的に研ぎ澄まされれば,多少音楽技術的に短所があっても御霊の助けは得られます。しかし,まず,練習と経験の積み重ねによってレベルアップすることが大事だと思います。『継続は力なり』です。また,聖歌隊員とサポートしてくださる会員の証あかしによって御霊を得ることができ,聴衆にもそれを感じていただくことができると思います。今,振り返れば,そのときのレベルに応じて,主が発表の場を準備してくださったと感じます。またそれを霊感として受けているのがビショップであると証します。」

さらに田中ご夫妻はこう語る。「実は,100本のクリスマスツリーイベントで聖歌隊が歌えるようになった背景には,イベントを主催するNPO法人の必要をビショップや会員,宣教師たちが満たしていることがあります。ビショップは得意の音響機器関係のプランやセットアップをイベント開催期間中(およそ20日間)のプログラムごとに助けてきましたし,100本のツリーの設置と撤収に宣教師たちが奉仕活動としてかかわっています。このような奉仕を通してNPO法人と良い関係が維持され,聖歌隊発表の機会も頂けているわけです。もっと教会について知っていただくためにはわたしたちが積極的に地域とかかわりを持ち,良い関係を築くことが大事であると,経験を通して学ぶことができました。」◆