リアホナ2009年4月号 「こんなに神殿へ行きたい子供がいるのに,行けないのはおかしい」

「こんなに神殿へ行きたい子供がいるのに,行けないのはおかしい」

中嶋晃大兄弟 福知山地方部豊岡支部

2009年2月28日に中嶋晃大兄弟は初めて神殿で儀式を受けた。晃大兄弟は幼いころの事故による低酸素脳障がいのため四肢麻痺の状態で,身体を自由に動かすことはできない。現在も,生活の中で介護を必要としている。メルキゼデク神権を受けている晃大兄弟は21歳。毎月ホームティーチングの責任も完璧にこなし,福音を分かち合うことをとても大切にしている。その晃大兄弟が,長い間思い続けていた夢が神殿参入だった。

豊岡支部の会員の助けや応援を受ける中,晃大兄弟の兄の真之兄弟が豊岡から東京までの約600キロを運転し,長距離を真夜中に車で移動しての参入だった。長い道のりを経て初めて神殿に参入した晃大兄弟はバプテスマフォントをじっ見つめてつぶやいた。「ほんものだ!」豊岡支部の簡易式のバプテスマフォントしか見たことがなかった晃大兄弟にとって,大きな感動だった。

参入前の周囲の心配をよそに「ぼくは大丈夫だから。水の中に入り,身代わりのバプテスマの儀式を受ける!」と強い意志を示していた。バプテスマの水の中に入った晃大兄弟は,水に沈められると何度も体の一部が水の上に出てしまい,やり直さなければならなかったが,それでも無事に3人の身代わりの儀式を受けることができた。

「神殿参入と儀式を受けるという長い間の夢がかなえられました。初めての身代わりのバプテスマと按手でした。神殿会長がそばで見守ってくださっていました。すごく緊張しましたが,終わった後に,『ありがとう!』って言ってくださったのが,すごくうれしかったです。亡くなった人たちの喜びと重なって,とてもうれしかったです。ぼくは神殿に行けて,儀式を受けられたことで,もっともっと神殿の勉強がしたいと強く思いました。神様と助けてくださった兄弟姉妹に感謝しています」と晃大兄弟は神殿参入の喜びを語る。

母親の由美子ゆみこ姉妹は次のように話す。「三男の晃大は,我が家の鉄の棒のような存在で,神様からの特質を備えたとても勇気のある息子です。いつも,神様の思いに近づき,どんな窮地に置かれても粘り強く闘い続けてきました。しかし,晃大にも一つだけ遠い存在になっている場所がありました。それが神殿でした。私が抱きかかえられるころは,子供たちも一緒に神殿へ行きました。しかし,神殿別館への移動も困難になり,距離と体力も考えて,晃大を連れていくことは難しくなりました。」

そんな中,豊岡支部の会員から「こんなに神殿へ行きたい子供がいるのに,行けないのはおかしい。ぜひ,神殿へ連れていこう!」という晃大兄弟や中嶋姉妹を応援する声が上がった。そして,豊岡支部の神権者による計画が始まった。

豊岡支部の会員や家族の助けを得て神殿参入を果たした晃大兄弟の夢は大きい。「いつかアメリカへ行ってみたい」と話す。「アメリカのどこへ?」の質問に,目を輝かせ,笑顔で答える。「神殿!」晃大兄弟には周囲を和ませる優しさと,思いを奮い立たせる不思議な魅力が備わっている。きっと,その夢がかなうのも遠いことではないかもしれない。晃大兄弟の言葉は自信にあふれていた。◆

★中嶋兄弟についての詳しい記事を,来る6月号に掲載します。