リアホナ2008年10月号 「日本論語研究会」で論語とキリスト教の接点を説く

「日本論語研究会」で論語とキリスト教の接点を説く

── 北海道教育大名誉教授 潟沼誠二兄弟

9月13日(土)に慶応義塾大学(三田キャンパス)を会場として,北海道教育大学名誉教授である潟沼誠二兄弟による「論語とキリスト教-比較によって見えてくる課題を考える」と題した講演会が開催された。論語をテーマとして,各界で活躍するオピニオンリーダーによる講演を定期的に開催している「日本論語研究会」は,自民党政務調査会首席専門員(安保・テロ対策,憲法,情報問題などを担当)の田村重信氏が代表幹事を務め,今回の潟沼兄弟の講演で第41回目を迎える。ブリガム・ヤング大学で毎年開催される「法律と宗教に関するシンポジウム」にかつて田村氏が招かれたことから,教会広報部を介しての交流が始まり,今回の潟沼兄弟への招聘につながった。

講演では,キリストの教義との比較に視点を置いた論語研究が語られた。孔子と弟子たちの教えがまとめられた論語は,政財界で活躍する人々に長く支持され,最近では子供への教育にも盛んに推奨されて脚光を浴びている。簡易な表現でありながら,礼節を説き,心に響く教えは,キリストの教義と通じる部分が少なくない。講演の中で潟沼兄弟は,学生時代に論語と出会って研究を始めたエピソードを紹介しながら,論語,聖書,モルモン書に見いだされる共通点などを分かりやすく聴講者に解説した。「論語を読み解くうえで『家族』というキーワードに焦点を当てると,末日聖徒イエス・キリスト教会の会員にとって,違和感なく受け入れられる教えが多くあります」と語り,参加者に論語に対する新たな視点での解釈を伝えた。

会場には約80人の聴講者が集い,潟沼兄弟の講話に耳を傾けた。聴講者の中には高校1年生のときに潟沼兄弟から国語を学んだという女性も出席し,恩師との41年ぶりの再会を喜ぶ場面もあった。主催者である田村氏は「ブリガム・ヤング大学で講演をしたのが縁で教会の方々と知り合い,潟沼先生をお招きすることもできました。『朋有り,遠方より来る,亦楽しからずや』と論語にもありますように,様々な御縁が生まれたことをありがたく思っております」と教会や聴講者との出会いに感謝を込めながら語った。教会の資産でもある会員一人一人の才能が社会に還元されることの価値と必要性を感じさせる講演であった。◆