リアホナ2007年9月号 被災地に教会員ができる効果的な助けとは ─新潟県中越沖地震を巡る教会の動き

被災地に教会員ができる効果的な助けとは ──新潟県中越沖地震を巡る教会の動き

午前10時13分の地震発生直後,長岡支部の小林強支部会長は直ちに会員の安否を確認する。「電話の通じた所は被害が比較的軽微で安心しました。柏崎方面以外は無事を確認し,大きな被害のないこともテレビで確認しました。柏崎地区の人の被害状況(の情報)は(公衆)電話で収集しました。」携帯電話は災害に弱く,安否の確認が集中する被災地域では固定電話も通話規制が行われるが,公衆電話は優先されるためつながりやすいのである。「入澤姉妹の家が全壊し,坂井姉妹が下敷きになっていると連絡を受けたのは12時ごろでした。」

坂井姉妹の救出のために集まった教会員の男性と宣教師は支部会長会顧問の野崎寛志兄弟とともに教会で待機する。「入澤姉妹宅には,柏崎の赤沢家族(被害は比較的軽微)に連絡し訪問してもらいました。」

小林支部会長は地方部会長,赤沢姉妹,野崎兄弟と携帯電話で連絡を取りつつ長岡から約30キロ先の柏崎へ向かう。野崎兄弟は地方部会長,伝道部会長への連絡中継の任に当たった。柏崎へ向かう北陸自動車道は閉鎖,国道も寸断され,大渋滞が発生する中,小林会長は午後遅く「奇跡的に」入澤姉妹宅に到着した。「救出は自衛隊などの専門技能を持つ人が行っていることが知らされ,教会に集合した人たちは解散してもらいました。扶助協会では被災した教会員に必要な物資を集め,翌日届けました。」

新潟地方部の近藤成吉会長はこう称賛する。「今回の震災では,発生直後から小林支部会長をはじめ長岡支部の方々,とりわけ柏崎在住の会員の働きは目を見張るものがあり,すぐに現地に赴く術のないわたしにとっては大きな助けとなりました。」7月19日,近藤会長らは被災した柏崎地区の6家族を訪れ,水道の復旧しない世帯にミネラルウォーターを届けたほか,家族の必要について聞き取り,支援の手配をした。7月31日には新潟地方部で働く宣教師全員が,新潟県社会福祉協議会ボランティアの一員として現地入りし,被災住民への奉仕に汗を流した。

近藤会長は「今後の教会としてのボランティアのあり方について考える機会にもなりました」と振り返る。「いつの災害でも,すぐに駆けつけて炊出し等で活躍されるボランティア団体がいます。そのように教会でも行えないかと考えたこともありましたが,ほとんどの場合,非常に難しいことが分かりました。」被災地に義援金を渡すだけではなく,災害時にわたしたちが広く奉仕できる効果的な方法とは? と話し合う中,こんな発想に至った。「家が全壊して住めなくなり,近々建てられる仮設住宅に入られる方々がいちばん困っているのではないだろうか。行政は仮設住宅は提供しても,住宅内の日用品などの提供には限度がある。住む人が望むものを作ったり,人道支援の資金で必要な物品を購入してパッキングするような奉仕であれば,多くの会員が参加することができる。」

近藤会長は言う。「仮設住宅の入居も始まりましたが,これからが大変なんです。前回の中越地震で仮設住宅に居住された方々の意見などを伺って,教会員としてできる息の長いボランティア活動を進めていきます。」◆