リアホナ2007年10月号200人の聖歌隊,2,000人の勇士たち─YSAの証─

200人の聖歌隊,2,000人の勇士たち─YSAの証─ 

東京ステーク小岩ワード 宇田川麻衣姉妹

わたしは恵まれて最後のべドナー長老の大会での聖歌隊の指揮をさせていただける特権に与りました。わたしほど神様から祝福を受けた人はいないのではないかと思うほど,多くの経験や人を通し主の愛と導きを感じました。

初めての試み……高長老からは2,000人で歌ったらどうかという提案をいただきました。2,000人で歌う。それはわたしにとって未知のものでした。でも2,000人が立ち上がり全員で歌うのを想像しただけで御霊を感じ鳥肌が立ちました。

べドナー長老が分かち合ってくださったモーサヤ24章は今回のわたしの経験そのものでした。「彼らの苦難は非常に大きかったので,彼らは熱烈に神に叫び求めるようになった。……そして主は,彼らの心の思いを御存じであった。」(モーサヤ24:10,12)

今回の聖歌隊は北海道,東京,名古屋,大阪の各インスティテュートがそれぞれに練習を重ね,そして前日に全体で合同練習をして本番に臨むというものでした。練習は前日たった2時間半しかありませんでした。その中でどうやってみんなが一致して歌えるか,導きが必要でした。また,3週間前に,もう1曲歌うようにとの依頼が来ました。限られた時間の中で『主よ,われと共に』,『シオンの娘,ニーファイのように』の2曲を仕上げなければいけなくなり,わたしの力ではとても難しいと思いました。主が助けてくださるように,また聖歌隊が一つとなれるよう,どのように導いたらよいかをいつも心から祈り求めました。

そしてもう一つわたしにとって試練が来てしまったのです。それはわたしの声でした。7月末からのどに異変が起こり,病院の診断では声帯に結節ができて声が出にくくなっている,長く声を出したり歌ったりするとかすれて出なくなってしまう,と言われました。指導するには,話すこと歌うことは必要不可欠です。わたしにはほんとうに強い信仰と主の助けがますます必要になりました。

カンファレンスの前に導きを求めて神殿で祈ったとき心の中で感じたことがありました。それは「これはわたしのプログラムです。だから何も心配する必要はないのです。恐れないで信じなさい」でした。心に主の愛があふれてまた平安と慰めがありました。これは主の計画。だから何も心配はない。ただ行って主が命じられることを喜んで行おう。そう思いました。わたしの肩の荷はすっと軽くなりました。

カンファレンス1日目に,このカンファレンスのテーマを知りました。それは,「Be not afraid, only Believe.」(恐れることはない。ただ信じなさい)です。山下長老から,エバンズ長老から,エバンズ姉妹からこの言葉を聞くたびに,主がわたしの思いを御存じで彼らの言葉を通して励まし,支えてくださっていると感じました。

「またわたしは,あなたがたの肩に負わされる荷を軽くし,あなた方の背にその荷が感じられないようにしよう。」(モーサヤ24:14)

わたしはカンファレンス前日に父から癒しの祝福をしてもらい,そこでも主の愛を感じました。2日目の2時間半の練習で,驚いたことに,みんなに話すためにマイクを持つと出ないはずの声がとてもきれいに出ました。またこう歌ってほしいと伝えるためにわたし自身でも歌を歌うことができました。途中東京のメンバーで歌を歌いました。あんなに声が出たからと歌おうとすると,声がかすれて出ませんでした。そしてまたみんなの前に立ちマイクを持つと驚くほどよく声が出たのです。これは主がわたしを支えまた癒してくださったとしか思えません。わたしにとって奇跡でした。主がともにいてくださったのです。

ほかにも小さな奇跡がたくさんありました。前日練習で使う部屋は練習時間が始まる8時半にしか部屋が開かない予定でした。でも練習前にキーボードを運んだり開場設営をする必要がありました。わたしは1時間前に部屋の前に行き祈り待っていました。やはり鍵は開きませんでした。しばらくすると掃除のおじさんが近づいてきました。「いや?早いね!」と声をかけられ,わたしは部屋が開くまで待っていることを伝えました。「そろそろ開くはずだよ,やってごらん。」おじさんは言ってくれました。わたしはいや……でもさっきだめだったので……と半信半疑でパスワードを押しました。「カチャ!!」何と鍵が開きました……わたしには彼が主の天使に見えました。おかげで時間通り準備された部屋で練習を始めることができました。「そこで,アルマと彼の同胞に負わされた重荷は軽くなった。まことに,主は,彼らが容易に重荷に耐えられるように彼らを強くされた。そこで彼らは心楽しく忍耐して,主の御心にすべて従った。」(モーサヤ24:15)

練習に入り続々と200人が集まってきました。初めて顔を見る方が多かったです。でもわたしの心は一緒に歌ってくれる皆さんへの愛と感謝でいっぱいになりました。

練習時間は驚くほど楽しくてみんなの協力がありスムーズに進みました。どのようにみんなに伝えようか事前にいろいろ考えていましたが,御霊に頼るときになんと言ったらいいかすぐに分かりました。備えていれば必要なときに必要な言葉を与えてくださる。主の助けがありました。

初めて『シオンの娘,ニーファイのように』を歌ったときの感動は忘れられません。リハーサル室が御霊でいっぱいになりました。歌っている一人一人の顔が輝き,また皆が一

つとなっていると感じました。その場にいた人すべてが同じ御霊を感じていることが分かりました……。歌が終わるとわたしは「すごい。すごーい!すごーい!!」という言葉しか出ませんでした。これが全日本の力だと思いました。わたしの心は御霊でいっぱいで涙があふれ,自然と証が出てきました。皆の歌を通して神様が生きていらっしゃることを確かに知ることができたこと,また,皆さんの歌声が,神殿で祈っていた「恐れることはない。ただ信じなさい」の答えだということ,また明日2,000人の前で歌うとき,今わたしが感じたように会場にいる人すべてにこの御霊を伝えられると確信したことを伝えました。一人一人が主の証人として光輝き,歌う姿はまさに主の聖歌隊でした。

練習の最後に,歌う前に聖句を分かち合いました。これはイエス・キリストがわたしたちのために祈ってくださっているところです。「さて,父よ,わたしは彼らのために,また彼らの言葉を信じるすべての者のためにお願いします。彼らがわたしを信じることができるようにしてください。父よ,あなたがわたしにおられるように,わたしが彼らにいることができ,わたしたちが一つとなれるようにしてください。」(3ニーファイ19:23)──その後の歌はさらに一つとなっていると感じました。2時間半の練習は主の助けがあり,大成功でした。笑顔がいっぱいでとにかく楽しく霊的に鼓舞されるすばらしい時間となりました。

そして本番当日。──べドナー長老の大会はわたしの人生にとって大きな祝福となりました!! べドナー長老のすばらしいお話を聞き,歌う前から何度も御霊を感じ涙が流れました。そして,200人の聖歌隊また2,000人の指揮は本当に楽しくまた霊的な経験でした。「イエスは彼らを祝福された。また,イエスは彼らにほほえみかけ,イエスの顔の光が彼らを照らした。すると彼らも,イエスの顔のように,またイエスの衣のように白くなった。そして見よ,その白さはあらゆる白さに勝っており,まことに,地上のものでこれほど白いものはあり得ないほどであった。」(3ニーファイ19:25)聖歌隊で歌ってくれる一人一人から証,愛,信仰,勇気,を一心に受けて最高の歌を聞かせてもらうことができました。その表情からは福音に対する喜びと,輝く瞳,心からの笑顔,そしてキリストの光があり,清く白く輝いていました。

2,000人が立ち,皆が一致して歌ったときの力はすごく大きいものでした。会場中の誰もが強く御霊を感じ,涙を流す人も多くいました。指揮をしながら,ああ,これから日本の教会が変わっていくと強く感じました。その姿はヒラマンの勇士と同じように,日本の2,000人の勇士たちでした!

べドナー長老はこれは始まりだとおっしゃいました。このカンファレンスは決意する時,変化する時だと教えてくださいました。信仰は行いであることも何度も言われました。このカンファレンスで受けた証,そして御霊,心の変化を忘れずに,これからの日本のためにわたしにできることを喜んで行っていきたいと強く思いました。わたしたちには日本の教会を変える力があると強調されました。べドナー長老を通し主から頂いたこの言葉を信じ,これからも力強く前進して行きたいです。指揮者という特別な召しをいただきわたしの証はさらに強められました。確かに主は生きていらっしゃいます。またこの教会は確かに真実です。たとえ困難と思われることでも,「恐れることはない。ただ信じなさい」この言葉の通り主を信じ恐れずに前に進むなら主は必ず助けてくださり,道を備えてくださいます。そして奇跡を起こしてくださることを知っています。◆