リアホナ2007年6月号画家のグレッグ・オルセン兄弟が来日 ──創作にかける思いを語る

画家のグレッグ・オルセン兄弟が来日 ──創作にかける思いを語る

救い主の肖像や福音にまつわる絵画を数多く描いていることで知られる末日聖徒の画家,グレッグ・K・オルセン兄弟がこの3月下旬に来日し,関東の各地でファイヤサイドが開かれた。オルセン兄弟は1958年,アイダホ州に生まれ,3歳のころから祖父の農場の風景や動物たちを描いていたという。長じてカナダ・トロント伝道部で伝道中にキンボール大管長が伝道部を訪れた際,伝道部会長の要請で大管長にささげる絵を描く。伝道活動にまつわる様々な場面を一つの画面に集約した作品だった。それを見たキンボール大管長は,絵画の面で将来,教会に貢献するようにとオルセン兄弟を励ましてくれた。帰還後,ユタ大学で美術を学んだが,カリキュラムに彼の学びたかった古典技法がなかったことと,学生結婚して家族を支えなければならなかったことから,2年で中退する。その後数年はイラストレータ-として働くも,注文に応じたイラストではなく自分の絵を描きたいという希望から画業に専念するようになり現在に至るという。

オルセン兄弟は無垢な子供たちをよく画題に採り上げる。そのモデルの多くは自身の6人の子供たちであり,家族への深い愛情が垣間見える。また親戚やワードの会員など身近な人々をモデルにすることも多い。

「人々がイメージする救い主の姿は人の数だけ多様です。わたしのイメージはその一つにすぎません」とオルセン兄弟は謙遜に語る。ただ,救い主を描くに当たって十二使徒のボイド・K・パッカー長老(パッカー長老は絵画や彫刻の才に恵まれていることでも知られる)から得た二つの助言をいつも心に留めているという。その第1は,大工の息子としての労働で培われたであろう肉体を持つ,たくましい男性として救い主を描くこと。第2に,救い主がある意味でいかに平凡な御方であったのかも描くべきだということ。「驚きました。そのアドバイスを聞いて最初に思ったのは,神の御子であって一般の人であるイエス・キリストは,わたしたちと同じようにこの世を経験するために来られたということです。痛みや苦しみを味わうためにもお生まれになり,肉体的に普通の人と違っていたわけではありません。ユダが裏切るとき,この人がイエスであると接吻で示したのは,主が普通の人と同じ外見をしていたからです。ただ,救い主のどこが普通と異なっていたかというと,外見ではなく内面であった,そうした性格などの特徴を捉えて描く努力をしています。」◆