リアホナ2007年8月号 中央補助組織会長会が来日,日本の指導者を訓練── ファイヤサイドの話から

中央補助組織会長会が来日,日本の指導者を訓練── ファイヤサイドの話から

去る6月下旬,中央補助組織会長会がアジア北地域を訪れた。中央若い男性会長会第二顧問のマイケル・A・ナイダー兄弟と,中央日曜学校会長会第一顧問のダニエル・K・ジャッド兄弟は6月16日に来日した。二人は千葉,東京,仙台,札幌を訪れて各地の指導者を訓練し,また青少年の家庭を訪問するなどして交流した。6月17日には東京・吉祥寺の東京ステークセンターでファイヤサイドが開かれた。

また中央初等協会会長のシェリル・C・ラント姉妹,中央若い女性会長のスーザン・W・タナー姉妹,そして中央扶助協会会長会第二顧問のバーバラ・トンプソン姉妹は6月19日に来日。福岡,沖縄,大阪,名古屋,東京を訪れ,各地の指導者の訓練や姉妹たちとの集会に臨んだ。6月23日には同じく東京・吉祥寺でファイヤサイドが開かれた。

以下にそれぞれのファイヤサイドでの話から抜粋してレポートする。

◆6月17日

◆6月17日

●中央若い男性会長会・ナイダー会長

●中央若い男性会長会・ナイダー会長

ナイダー会長は,「若人の皆さん,アンテナを張り巡らして,どうぞ助けを求めている人に気づいてください」と呼びかけた。会場の青少年を壇上に招き,「若い女性の信条」「アロン神権の目的」を暗唱してもらう。「世界中で同じテーマを暗唱しています。若人の心はすばらしいもので満たされます。」

そしてある週末,家族でスキーに行ったときの経験を分かち合った。娘,娘婿,二人の息子とともにリフトに乗って山の上へ行った。そこにはジャンプ台があり,息子たちは行きたがったが,少し高すぎると感じた。

「わたしはいつも小さな声を心で聞いて忠実に従ってきました。何か危険が起ころうとすると,その声が語りかけるのです。その声に従うのを誇りにしていました。息子たちに『それは危ないよ,大けがをするよ』,そう口にするのを誇りに思いました。息子は,『熊ちゃん,恐いの?』とからかいました。しかし息子たちが急角度を体勢を傾けて滑って行くのを見て,自分もジャンプ台に立ったのです。なぜそれをしたのでしょう。子供たちからのプレッシャーに負けたのです。これが『同年代の仲間からのプレッシャー』というものです。もう一つの感情は,『彼らよりも上手にできる』というものでした。それは高慢です。息子たちよりもっと前傾姿勢で滑り,もっと完全な着地を見せてやろうと思いました。そして着地しようとしたとき,顔がスキーの先に当たったのです。そこら中血だらけになりました。息子たちは笑っていました。わたしは怒りを表し,とても意地の悪い顔をして顔中の血を息子たちに見せてやろうと思いました。憐れみを求める屈折した感情です。正しいことをしてきた者が,わずか2分のうちに,同世代のプレッシャーに負け,高慢になり,怒りを表し,自己憐憫に陥ったのです。──それが人生から学べることです。息子たちに謝る必要がありました。『ごめんなさい,どうか赦してください』と時に言う必要があります。時に父親が,時にビショップが──息子たちに,救い主に。そうすることで正しい道に戻ることができます。天の御父からの愛を感じることができ,正しい見方で物事を見ることができます。たとえわたしたちがどのようなことをしてしまったとしても,天父はわたしたちを愛しておられます。『ごめんなさい,どうか赦してください。』それは力強い言葉です。天父と主がこの言葉を与え,生活を改めることができるようにしてくださったことを感謝します。」

●中央日曜学校会長会・ジャッド会長

●中央日曜学校会長会・ジャッド会長

ジャッド会長はまず聖文を引用する。『……目をくらまされ,見いだす場所を知らないということだけで真理を得られずにいる多くの人々がいる。』(教義と聖約123:12)

「日本には,知らないだけで真理から離れている人が多くいます。どこに真理を見いだすべきか分からないからです。皆さんには大きな責任があります。」ブリガム・ヤング大学古代聖文学部の部長であるジャッド兄弟は,青少年に伝道に備えるよう勧告した。

「わたしは学士,修士,博士号を持っていますが,宣教師としての2年間は教育で得られないすばらしいものを与えてくれ,人生の土台となっています。」ジャッド兄弟は,わたしたち一人一人が予任されていた,と述べ,自身の経験を分かち合った。

「ある夜明けに,特別な夢を見ました。」

小さな一切れの紙があり,上端には「末日聖徒イエス・キリスト教会」とスタンプが押され,その下にアルファベットで「C A L」と書かれていた。その下には写真が貼付されていた。古い建物の横に白い帽子をかぶった人が立っており,ドアの外で棒(バー)が上がったり下がったりしていた。それは召しに関係していると感じた。「その写真が何かはさっぱり分かりませんでしたが,CALはカリフォルニアの伝道部だろうかと思いました。」その夢を見たのは伝道の召しを受ける1年以上前のことだった。

1975年7月,大学生のときに召しの手紙が実家に届く。「母から電話があり,『帰って来て(手紙を)開けてごらん』と言われました。『どこに行くか分かるよ。カリフォルニアでしょう。サンディエゴでは?』そう言うと母は,『キンボール大管長から電話でもあったの?』──それは実のところ大管長の上司から知らされたのですが──母に,封を切って読み上げてくれるよう頼みました。カリフォルニア州サンディエゴ伝道部でした。

皆さんに証します。皆さん一人一人が神様から託された特別な使命を持っています。宣べ伝える人のためだけでなく,自分のためにも。伝道の経験により,良い夫・父親,良い妻・母親になることができます。」

伝道中のあるとき,従軍牧師を助けて軍の基地で奉仕するよう伝道部会長に指示された。日曜礼拝の管理を任されたのだった。何百人もの海軍兵を前に,お話をして彼らを導くように,とのことだった。「エレミヤも同じような気持ちを感じたことでしょう。『ああ,主なる神よ,わたしはただ若者にすぎず,どのように語ってよいか知りません。』(エレミヤ1:6)──わたしには少しどもりがありました。しかし主はエレミヤに答えられました。『あなたはただ若者にすぎないと言ってはならない。だれにでも,すべてわたしがつかわす人へ行き,あなたに命ずることをみな語らなければならない。彼らを恐れてはならない,わたしがあなたと共にいて,あなたを救うからである』(エレミヤ1:7-8)この聖句から,わたしは大きな自信を得ました。

その日曜日,わたしは大変緊張しながら車の後部座席に座り,基地のゲートで守衛に身分証を差し出しました。そのとき何を見たと思いますか?── それは2年前にあの夢で見た写真とまったく同じ光景だったのです。

わたしたちにどのような試練が起こるのか主は御存じです。わたしだけでなく,皆さん一人一人に当てはまります。特にこれから伝道に出る皆さんにとって,すばらしい経験が待っています。皆さんが信仰深く仕えることができるよう祈ります。」

◆6月23日

中央補助組織会長会の3人の姉妹たちは,その指導において,預言者の優先順位に従うこと,すなわち①イエス・キリストへの信仰を強める②家族を強める,この二つを強調した。その日のファイヤサイドにおいてもこれが主要なテーマとなった。

●中央初等協会会長・ラント姉妹

●中央初等協会会長・ラント姉妹

教会におけるすべては家族を強めるためにある,と前置きして,ラント姉妹は人生における選択について話した。「人生で何を選ぶかによって,祝福を受けるか罰を受けるかが決まります。(アルマ3:26-27参照)御霊は常に正しい方向へ導きます。サタンたちは不幸になるよう悪い生活をするよう必死で働いています。子育ての期間,子供に選択の自由を与えるのは難しいものです。良くない選択のもたらす結果について葛藤し,時に子供の選択の自由を取り上げたくなるときもありますけれど,それは天父の計画ではありません。どんな選択がどんな結果をもたらすか子供に教えなければなりません。そして子供たちはそれを自分で発見しなければなりません。いつも正しい道を選ぶ子もいれば,正しくない選択をする子もいます。間違った選択による苦い結果が必要なときもあります。そうして,天父のもとへ戻るための正しい道へ立ち返るのです。主の贖いに感謝しています。そのおかげで選択の自由が生じたのです。贖いは一人一人のためのものです。その祝福を特権だと感じています。

初等協会のときから神殿で結婚することを目標にする子供がいます。しかし,毎日の生活での小さな選択が積み重なり,ほかの方向へ向かって行くこともあります。長い目で見ると大きな違いにつながるのです。」

ラント姉妹は,ヒンクレー大管長が話された,農場の入り口にある幅の長い門の話をする。蝶番のところで生じた小さな回転幅の違いが,ゲートの先端では大きな違いになるのである。「わたしたちには信仰が必要です。今日選ぶことが長い目で見てどんな結果になるか分からないからです。また信仰だけでなく,行いも必要です。ニーファイは,何が起こるか分からなくても信仰によって進んで行きました(1ニーファイ4:6-7参照)。信仰に基づいて良いものを選ぶなら,毎日の選択の中で正しい選択をするのが容易になります。選択は結果をもたらします。子供に選択について教えるときはいつも同じ態度を執る必要があります。時には悪い選択から来る結果を取り除いてあげたいと思うこともありますけれど,両親として永遠の律法に従わなければなりません。苦難の中で助けを与えることはできます。けれども子供たち自身が学ぶために,選択の結果を受けさせなければなりません。危険から遠ざかる選択を教えることが大切です。……

良いものと悪いものではなく,良いものと良いものの間の選択が難しいのです。世の中には良いものがたくさんあります。才能を伸ばす,成功をもたらす──そうしたものと,永遠に価値あるものとの選択があります。安息日をどう過ごすか,どんな友達を持ち,どんな服装をするか──それは小さなことかもしれませんが,大きな結果をもたらします。天父は永遠の家族としてわたしたちが戻って来るのを願い,この世での生活と福音を与えてくださったのです。」

●中央若い女性会長・タナー姉妹

●中央若い女性会長・タナー姉妹

タナー姉妹が,「家族の一員だという方は立っていただけますか」と会場に呼びかけると,その場の全員が起立した。「皆さんは家族の一員として,家族を強めるという責任を担っています。」タナー姉妹は,『家族─世界への宣言』を読み上げ,「愛と義をもって……子供を養い育てる」という親の務めについて話した。「わたしたちは家族の一員として,お互いもう少し優しくなり赦し合い,平和を作り出す者となることが求められます。そしてともに祈らなくてはなりません。

ジョンという3歳の孫の話です。両親は彼に祈ることを教えました。毎回,同じ一つのことを祈ります。『お父さんが亡くなった友達を祝福してください。』友達の父親が亡くなったとき,小さなジョンは何かを心に感じたのです。両親は引き続き教えたいと,家庭の夕べでエノスの祈りを教えました。『エノスは一日中,一晩中祈ったんだよ。』ジョンは目を丸くしました。母親は,『そんなに長くしなくても大丈夫。でもあなたが感じているすべてを天のお父様にお話ししなければならないのよ』と教えました。閉会のお祈りはジョンでした。彼は今度は3つのことをお祈りしました。──この両親は,家庭の夕べを,子供に聖文と祈りを教える道具として使っています。家族を教えるという務めを両親は真摯に受け止めて実行しています。

次は大学生のジェスの話です。彼は学校で生徒会長をしています。あるとき,全米の生徒会長がワシントンD.C.に集まる大会に参加しました。それは道徳的また政治的なことを話し合う会議でした。プログラムの中に,自分の立場を表明するゲームがありました。広いグラウンドの両端にゴールポストが置かれ,一方は絶対賛成,もう一方は絶対反対を表します。あるテーマが示されると,走って行って自らの意見を表す場所に立つのです。そのとき示されたテーマは『婚前交渉』でした。走って行って振り返ると,絶対反対のポストに立っているのはジェスだけでした。たった一人でいることは時にばからしく感じるかもしれません。けれどそのとき,圧倒的な平安を感じたとジェスは語っています。……なぜ反対なの? と皆は聞いてきました。ジェスは『若人の強さのために』から,清さにより,結婚のきずながダメージを被ることから守られることなどを説明しました。清さについて理解していない青年たちの中には,『それをもっと理解していたら,こんなに傷付かずに済んだのに』と言った人もいました。──ジェスは,子供に教えるという責任を全うした両親に育てられたのです。

ヒラマンの2000人の兵士たちには,聖約を守るという模範を示したすばらしい親がいました。子供たちを教えるという責任を,両親はしっかりと真摯に受け止めていたのです(アルマ53:21参照)。わたしたちには親,養護者,守ってくれる人が必要です。わたしたちを愛し,養ってくださる天の父母が必要です。わたしは,一人一人を御存じで愛しておられる天のお父様がおられることを知っています。」

●中央扶助協会会長会・トンプソン姉妹

●中央扶助協会会長会・トンプソン姉妹

トンプソン姉妹の実家は薬局を営んでいた。「わたしは父親の薬局でどのように人を助けるかを学びました。父がどれほど心を尽くしていたかも知りました。父が働いている隣にいたからです。わたしはレジでお金の計算をしていました。父は必要な人にはつけで薬を売っていました。中にはお金を払わない人もいましたけれど── それでレジのわたしはむっとしていました。

ある日,初めて来店するカップルがつけで薬を買おうとして,父は処方しました。『どうしてつけで買わせるの? きっとお金は返って来ないわよ』そう言うと父は──『バーバラ,必要な服や食べ物はあるかい?』『ええ。』『自分が病気のときに薬はあった?』『あったわ。』『だったらバーバラ,それは心配する必要はないよ。』彼らには子供がいて,薬を必要としていたのです。お金より大切なことがあると知らなければなりませんでした。父の教えは後々までわたしの心に残っています。わたしたちは互いに支え合い助け合う必要があります。『これらの最も小さい者のひとりにしたのは,すなわち,わたしにしたのである』(マタイ25:40)

母も与えるのが好きな人でした。扶助協会会長や初等協会会長を務め,子供たちにいつもケーキやクッキーを焼いていました。『受けるよりは与える方が,さいわいである。』(使徒20:35)いつもクリスマスには,困っているだれかのサンタになろうと計画していました。いつも心待ちにしていたのは,贈り物を届けに行って,置いて,家の人に見つからないよう帰って来ることでした。

わたしはソーシャルワーカーでした。問題や困難を抱えた人とともに働いてきました。……わたしたちそれぞれが家族を強めるという義務を負っています。わたしには子供がいませんけれども,家族にはいろいろな形があります。片親の家族,大家族,子供が独立した家族……ワードという家族の一員でもあります。わたしたちが強められる人はたくさんいます。わたしも甥や姪と楽しい交わりの時を多く過ごしてきました。互いの人生に影響を与え,与えられてきました。ワードの子供たちや青少年,近所の人々も愛しています。彼らを助けようとするときわたしの人生も祝福されてきました。そこに一人の人がいれば,そこに問題もあります。アルコール中毒の家族や,教会に来なくなった家族,深刻な鬱病にかかった家族,失業して経済的問題を抱えている家族もいます。わたしたちの周りにいる家族を強めていこうではありませんか。信仰と希望を失わず,彼らを愛し続け,祈ることができます。励ますことができます。すべての人が戻って来るわけではありません。しかし,できる限りのことをしていれば,大きな祝福が約束されています。……『恐れてはならない,わたしはあなたを助ける』(イザヤ41:13)皆さんが主に信頼を置かれますように。」

●アジア北地域会長・エバンズ長老

●アジア北地域会長・エバンズ長老

ファイヤサイドの最後に,地域会長会のデビッド・F・エバンズ長老が壇上に立った。そして,これまで姉妹以外に話したことはない,という経験を分かち合った。

「わたしの両親は,ハロルド・B・リー大管長のホームワードに集っていたので,子供のときからリー大管長をよく知っていました。(日本で伝道して帰還した後),日本の友人がソルトレーク・シティーに来たとき,連絡を取ってリー大管長に紹介しました。大管長の家のリビングルームで30~40分ほど話し合い,わたしが通訳をしました。リー姉妹は,わたしの日本語がすばらしいとほめてくれました。リー大管長はユーモアを込めて,『(日本語が分からないので)彼の通訳が上手かどうか分かりませんよ』と言いました。でも,後にわたしを呼んでこう言われました。『エバンズ兄弟,決して日本語を忘れないで

ください。ふさわしい生活をしてください。そうすればきっと日本での主の業のために,主はあなたを呼ばれますよ。』──20年後,夫婦で主の業のために(名古屋伝道部の会長として)日本に行くようにと言われました。その召しが終わったとき,またいつか夫婦宣教師として日本に戻って来ようと思いました。ところがその後,アジア北地域会長会に召され,とても驚きました。リー大管長を通じ,主が遠くを見通すことがおできになると知りました。

今,皆さんに与えられている賜物を失わないようにしてください。ふさわしくないために,主があなたをお使いになれないことのないようにしてください。そうするならば,いつか主があなたを主の業に使ってくださると,わたしは約束します。」◆